17 July 2023

花の季節の双六岳登山:その2 新穂高から弓折乗越・鏡平分岐

もくじ

大阪から新穂高へ

半年ぶりの、北アルプス登山。夏山に限っていえば、2019年8月の燕岳登山以来だ。

今回は双六岳ということで、新穂高までのバスに乗る。日曜出発は平日より1,500円高い9,500円。観光路線なので、高いけどしょうがないね...

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■ 近鉄バス 大阪 東梅田 21:35発 → 新穂高センター 05:30着 (運賃 9,500円)

京都を出発した段階で、座席の3分の2ほどが埋まった状態。明日は祝日だが火曜は平日なので、このバスに乗ってる登山者は休みを取った労働者か、働く必要のない人たち、ということになる。

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名神高速 黒丸PAで25分ほど休憩

途中休憩は1回で、次は高山駅前までノンストップだ。

高山駅前、平湯、新平湯温泉と、幾人かの一般観光客が下車してゆき、残ったのは登山者のみ。終点の新穂高には予定時刻の15分ほど前に到着。

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6時28分、新穂高センター前に到着した近鉄バス

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新穂高センター (標高約1,080m)

天気は快晴、笠ヶ岳稜線を朝日が照らしている

新穂高センター 〜 左俣林道終点・二号堰堤橋

5時46分、登山開始。今日の最初の目的地は双六小屋、標準コースタイムの80%で歩くと6時間30分ほど掛かる予定だ。

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区間 時刻 所要時間
新穂高センター 〜 左俣林道終点・二号堰堤橋 05:46 〜 07:06 1時間 20分
左俣林道終点・二号堰堤橋 〜 秩父沢 出合 07:06 〜 07:43 37分
秩父沢 出合 〜 シシウドヶ原 ベンチ 08:01 〜 08:55 54分
シシウドヶ原 ベンチ 〜 鏡平山荘 08:55 〜 09:39 44分
鏡平山荘 〜 弓折乗越・鏡平分岐 10:02 〜 10:47 45分
弓折乗越・鏡平分岐 〜 くろゆりベンチ 10:58 〜 11:45 47分
くろゆりベンチ 〜 双六小屋 11:45 〜 12:08 23分
双六小屋 〜 双六岳 13:11 〜 14:03 52分
双六岳 〜 中道稜線分岐 14:09 〜 14:30 21分
中道稜線分岐 〜 双六小屋 14:30 〜 15:23 53分
双六小屋 〜 くろゆりベンチ 05:10 〜 05:29 19分
くろゆりベンチ 〜 弓折乗越・鏡平分岐 05:29 〜 06:06 37分
弓折乗越・鏡平分岐 〜 鏡平山荘 06:06 〜 06:34 28分
鏡平山荘 〜 シシウドヶ原 ベンチ 06:45 〜 07:12 27分
シシウドヶ原 ベンチ 〜 秩父沢 出合 07:12 〜 07:49 37分
秩父沢 出合 〜 左俣林道終点・二号堰堤橋 07:57 〜 08:25 28分
左俣林道終点・二号堰堤橋 〜 新穂高ロープウェイ 08:25 〜 09:25 1時間 0分

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新穂高センター前から見た蒲田川

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新穂高から歩くこと8分、蒲田左俣林道入口ゲート (標高約1,120m)

ここから、林道終点の二号堰堤橋まで約5.2kmの長く退屈な林道歩き。その間に標高を350mほど上げているので、それなりの坂道なのだ

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林道脇から冷たい風が吹き出すという「お助け風穴」は、この時間帯は逆風なのか作動してなかった...

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蒲田左俣林道の中崎橋。森林管理署の「橋が傾いているため 通行された場合の事故について 一切の責任を負いかねます」の看板がある

この免責看板が有効ならば、日本の至る所の「予算がなくてインフラが維持できない」ところに福音になるのではないだろうか。なにしろ、崩壊するまで自己責任で使えばよいだけの話だ

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新穂高より50分、笠新道登山口と給水ポイント (標高約1,370m)

激しい熊鈴を鳴らして、かなりのスピードで抜いていった男性が、笠新道を爆走し登っていく。急登と言われる笠新道を、どこまでハイペースを維持できるんだろうか...

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笠新道の分岐点から10分で、わさび平小屋 (標高1,402m)

まだ全然登っていないのに、もう休憩している人たちが居ます...

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蒲田左俣林道は、わさび平 ブナの森を抜けていきます

太陽光が中崎尾根に遮られ、とても涼しいロードです

ブナ林を抜けると、この林道で1箇所ある沢の渡渉箇所

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蒲田左俣林道を、A沢が横切っているので渡渉する。向こうに小さくなって消えそうな雪渓の残りカスが見えている

新穂高より1時間10分。林道歩きの終点、二号堰堤橋に到着

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蒲田左俣林道終点の二号堰堤橋 (標高約1,470m)

左俣林道終点・二号堰堤橋 〜 秩父沢 出合

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二号堰堤橋からシシウドヶ原までの間で、横切る沢をGoogleEarthで見てみると...


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二号堰堤橋の右岸側に、小池新道登山口

登山口を入ると、ドロノキやヤマナラシなどヤナギ(ポプラ)の綿毛が飛んでいる。蒲田川の河畔に生えているんだろうね

「落石注意」の看板が立つ、いくつかの涸れ沢の崩落堆積地のガレ場を横切り、道は奥抜戸沢の左岸側に沿って登っていく。

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奥抜戸沢末端のガレ場を横切る。登山道は浮石が無い場所にペンキでマーキングされている

ここから先、中崎尾根の陰を出て日なたを歩くので、体力がかなりのスピードで削られていく。きょうは岐阜県南部で最高気温39℃という猛暑予想なので、熱中症を防ぐために普段より多めの水を補給しながら歩く

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奥抜戸沢の左岸側の自然堤防に沿って整備された小池新道を登る。ダケカンバや笹に隠れて見えにくいが、左手のすぐ向こうには沢のガレ場がある

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奥抜戸沢の支流、石畳涸れ沢を渡る (標高約1,560m)

地理院地図や国有林地図を見ればよくわかるが、奥抜戸沢は末端部で右に急カーブを描いていて、そこを曲がりきれなかった巨岩が秩父沢方向に飛び出して堆積している

その堆積地を小池新道が横切っている

地震などが起きて落石してくれば、この付近に居るとひとたまりもなく下敷きになるはずだ

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奥抜戸沢から飛び出した巨岩が積み重なるところを越えていく (標高約1,680m)

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振り返ると、焼岳が顔をのぞかせている

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奥抜戸沢から飛び出た岩の間を抜けていくと、秩父沢の水音が近づいてくる。周囲はヨツバヒヨドリが群生している

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秩父沢 (標高約1,720m)

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秩父沢に渡された橋

秩父沢のほとりで20分ほど休憩。上流の雪渓が溶けた冷たい水で顔を洗い、ほとんど飲干していた500mlペットボトル2本の水もすべて入れ替える

ここまで、持ってきた行動食のうちプロテインバー1本、羊羹1個、ゼリー飲料1個とサイコロチョコ数個を消費している

秩父沢 出合 〜 シシウドヶ原 ベンチ

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チボ岩の上を乗り越えていく (標高約1,800m)

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まもなくダケカンバの樹林から出る

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秩父小沢のガレ場に出る。見晴らしが良いが、直射日光が強烈 (標高約1,840m)

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下涸れ沢の橋を渡る (標高約1,840m)

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イタドリヶ原 (標高約1,920m)

イタドリの花は夏から秋だが、この付近はまだ咲いていない

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上涸れ沢を渡る (標高約1,960m)

このあたりまで来ると、沢のガレ場の迫力も弱々しく、ちょっとした岩が転がっている程度

上涸れ沢をすぎると、少しダケカンバの低木が茂るところを通りかかる。木陰があるのはこのあたりが最後で、ベンチのあるシシウドヶ原は草原の中で陰がないので(炎天下での)休憩には適さない

私が道の横の岩に腰掛けて休んでいると、あとから来た女性もここで休むといい隣に座り込み、さらには高齢男性2名はもう少し上の木陰で涼んでいた

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シシウドヶ原に差し掛かる。このあたりから下山してくる登山者と頻繁にすれ違うようになる

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シシウドヶ原のベンチ (標高約2,090m)

幾人かが炎天下の中、休憩している。体力あるねぇ...

シシウドヶ原 ベンチ 〜 鏡平山荘

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シシウドヶ原からの眺め。西穂高岳〜焼岳、乗鞍岳が一望できる

もちろん、これまで登ってきた左俣谷の谷底にある二号堰堤までバッチリ見えている。結構標高上げてきたなぁと、感慨に浸る

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5分ほど登ったところから見下ろしたシシウドヶ原の全景と、大ノマ岳。矢印の先がベンチのある休憩所

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同じ場所から見下ろした蒲田川左俣谷。二号堰堤橋が中央に見え、背後には焼岳、乗鞍岳。ロープウェイのケーブルや西穂高駅も見えている

オオシラビソが茂る尾根を回り込んで、鏡平に続く小さな谷を登る

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オオシラビソのしげる緩やかな谷を登っていくと

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クマの踊り場と呼ばれる、小さな湿原に出る (標高約2,180m)

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カエデの群落のある急登を登る。鏡平まで「あと5分」とペイントされた岩がある

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急登はいきなり終わり、鏡平の湿原に入る。そして、鏡池の展望台へ (標高約2,280m)

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鏡池の展望台から見た槍ヶ岳・南岳・穂高連峰の稜線

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鏡池から3.8km東にある槍ヶ岳。頂上に豆粒のような登山者が幾人も見える

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登り・降り多くの登山者が休憩する鏡平山荘

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鏡平山荘で水を購入。雨水をろ過したものが、なんと500mlで100円

秩父沢から余分に1本持ってくる大変さと、幾らなら出しても良いという価値の均衡点の値付けが、100円/500g

まさに重さが価値なのだ。

そう考えれば、山小屋の食事のプライシングは、100円/500gという水で測った価値感と一致しているだろうか

夕食が3,000円というのが相場のようだが、高すぎないだろうか。私が今回持ってきたフリーズドライご飯(100g)は期限間近の処分価格150円のものだ。フリーズドライの千切り大根と味噌汁の具の野菜、それに乾燥ささみジャーキーをおかずとして加えても、300円程度だろう。合計質量は200g未満

鏡平山荘 〜 弓折乗越・鏡平分岐

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鏡池とは別の池塘の間を抜けて、弓折岳の稜線に向かう

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ナナカマドやカエデが茂る急登の道を標高差150mほど登る

視界が開け、道の脇に小さな池塘のある弓折中段を通り過ぎる

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弓折中段から、弓折乗越に続くトラバース道

二号堰堤から鏡平まで、すでに標高差1,000mほど登ってきている。この弓折中段から弓折乗越までの標高差150mのトラバース道ほどキツイものはないと思う

何人かの登山者に聞いても、皆一様に、この最後の坂道がキツイと...

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ミヤマキンポウゲやシナノキンバイが咲く、弓折岳の山腹を巻く急登

あまりのしんどさに、花を撮影する余裕すらありません

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振り返ると、鏡平から相当登ってきています。画面左端に鏡池がある

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登りの最後は階段。ここを過ぎるとすぐ弓折乗越

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弓折乗越(鏡平分岐)から見た槍ヶ岳

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弓折乗越 (標高約2,560m)