01 August 2019

夏の燕岳 その1:合戦尾根を登り燕山荘まで

梅雨明けし、今年最初の遠距離登山旅行。今回は燕岳(つばくろだけ)へ。

もくじ

夏の燕岳 : 天候事前調査
夏の燕岳 その1 : 合戦尾根を登り燕山荘まで
夏の燕岳 その2 : 燕岳山頂、星空
夏の燕岳 その3 : 咲きほこる高山植物
夏の燕岳 その4 : 下山し、松本城に登城

ヤマレコの記事

大阪から安曇野へ

■ アルピコ交通 さわやか信州号
   大阪梅田阪急三番街BT 22:30 → 安曇野穂高バス停 05:00(運賃 8,100円)

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大阪梅田 阪急三番街バスターミナルに停車するさわやか信州号

バスは定刻通り出発。Web予約サイト(発車オーライネット)では満席のはずが、数席が空いたままだった。 登山を思い立った当日、直前にバス会社に電話して予約すれば乗れそうな感じだ。

隣席は八方尾根から縦走登山するという、枚方から来た人。 この数日の天気は、北に行くほど晴れ間が多くなると期待して、白馬に出かけることにしたそうだ。

バスは、1時15分頃に草津PA、4時25分頃に梓川SAの2箇所で休憩停車。

梓川SAで、2Lのミネラル水 「南アルプスの天然水」 とおにぎり1個を購入。 これで持参する食糧は揃った。

「北アルプス」の麓で、「南アルプス」の水を売るかね…

持参した食糧
おにぎり3個朝食 + 行動食
サラダチキン 小2パック行動食 + 昼食
パン2個昼食 + 行動食
ミネラル水 2L1本往路の登山用
エナジーバー 4本入り1箱非常食
合計金額 約1,000円

食糧計画としては、燕山荘で夕食と朝食(3,300円相当)、下山後に松本駅前で昼食(590円)ということになる。 食費は、総額4,800円といったところか。

梓川SAを出発すると、すぐに一般道に降りて最初のバス停「安曇野穂高」にほぼ定刻通り到着。だいたい5時ちょうど。数人がここで下車した。

穂高神社前のバス停から、歩いて数分の所にあるJR穂高駅前に向かう。

GPSログ

往路のGPSログ

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中房温泉の登山口に向かうバスに乗る

JR穂高駅前のバス停には、登山口行きのバスを待つ数十人の行列ができている。 並んでる人に聞いてみると、4時半頃に到着した新宿発の中央高速バスで来たそうだ。

果たして、これだけたくさんの登山客が中房温泉行きのバスに乗れるのか…。 乗れるはずはなく、大量の積み残しが発生。 すかさず、2台め続行便がやってきて(私も含めて)残りの登山客を全員乗せて、いざ登山口へ。

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JR穂高駅前から出発する中房温泉行きの登山バス (満員の第1便が出発していく)

■ 中房線乗合バス JR穂高駅 05:15 → 中房温泉 06:15 (運賃 1,700円)

バスは安曇野の田園地帯をしばらく走り、中房川の渓流に沿って標高差900mを一気に登っていく。

およそ1時間で、標高約1,450mにある中房温泉(なかぶさ おんせん)駐車場にあるバス停に到着。

バス溜まりになっている駐車場に停車しているのは、東京からやってきた「毎日あるぺん」の中型バスが2台、JR穂高からやってきた中房線乗合バスの中型バスが2台だ。

それぞれ30人程度乗れるはずなので、最大120人の登山客がバスでやってきているわけだ。 さらには登山者用駐車場が120台分あるそうなので、登山者と下山者で半分ずつとし、それぞれ2名乗ってきているとして、120人。

合計240人もの登山客が一斉に登り始めるわけだから、登山道は渋滞必至か…

バス停前の登山届ポストが設置された登山案内所や、トイレ周辺にはたくさんの登山客で溢れかえっている

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中房温泉バス停付近から見た登山案内所と登山口

自宅でプリントアウトした登山届をさっと提出し、ここはクリア

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中房温泉 合戦尾根の登山口 (標高 1,462m)、左側の建物が公衆トイレ

登山口にあるトイレには行列ができていたが、10分ほど並んで「大便タイム」を無事クリア

山頂までの全行程

区間標準コースタイム時刻所要時間
登山口 〜 第1ベンチ1:1006:32 → 06:540:22
第1ベンチ 〜 第2ベンチ06:54 → 07:150:21
第2ベンチ 〜 第3ベンチ1:5007:15 → 07:390:24
第3ベンチ 〜 富士見ベンチ07:39 → 08:080:29
富士見ベンチ 〜 合戦小屋08:08 → 08:350:27
合戦小屋 〜 合戦ノ頭0:9008:50 → 09:030:13
合戦ノ頭 〜 燕山荘09:07 → 09:500:43
登山口 〜 燕山荘 合計4:052:59
燕山荘 〜 燕岳0:3010:12 → 10:400:28
燕岳 〜 北燕岳--10:49 → 11:000:11
北燕岳 〜 燕山荘--11:04 → 11:410:37

中房燕岳登山口 〜 合戦小屋

6時32分、登山開始。 空は曇っていて、ところどころに小さな青空が覗いている。

登山道はいきなりの急登で始まり、大きな段差の丸太階段や木の根階段が続いている。登山口付近から第1ベンチまでは植林されたカラマツ林だ。

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登山口〜第1ベンチ間の登山道(1,480m付近)

第1ベンチまでの間で、20〜30人ほどの登山客を追い抜く。 年齢層が高い登山者や、子供連れが目立ち、かれらの登る速度はかなりゆっくりペースのようだ。

20分ほどで標高約1,670mの第1ベンチに到着。数人が休憩しているが、その横を通過する。

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合戦尾根 第1ベンチ (標高 約1,670m)

さらに何人もの登山客を追い抜かし、20分ほどで標高1,842mの第2ベンチに到着。

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合戦尾根 第2ベンチ (標高 約1,842m)

第2ベンチのすぐ脇には、合戦小屋と中房温泉を結ぶ荷物専用索道(ロープウェイ)の支柱があり、滑車が回る軽快な音が響いてくる。

ここでも休憩せずに先を急ぐ。 次第に尾根を感じられる地形となり、コメツガの森の中をどんどん登る。

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コメツガの葉

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第2ベンチ〜第3ベンチ間の尾根歩きを感じられる登山道(1,840m付近)

登山口から等間隔に設けられている「休憩用ベンチ」まで、およそ20分刻みで登ってきた。標高2,000mを超えたところで、第3ベンチに到着。

ここまで来ると登山者を追い抜くことも少なくなり、ベンチで休んでいる人もぐっと減ってくる。

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合戦尾根 第3ベンチ (標高 約2,020m)

標識には 『中房温泉口 2.7km ・ 燕山荘 2.8km』と書かれていて、ちょうど中間地点だ。標高差は“中房温泉口が558m下 ・ 燕山荘が684m上” なので、標高的には半分も来ていない。 これから地獄の急登があるのかしらん…

ここでも休憩取らずに、さらに先へ。 水はハイドレーション・ボトルから飲んでいるので、立ち止まる必要がない。

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第3ベンチ〜富士見ベンチ間の登山道(2,100m付近)

ひたすら登る。 登山道の傾斜角はこれまでと同じくらいで、段差の大きな丸太階段などをどんどん登る。こんどは30分程かかり富士見ベンチに到達。

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合戦尾根 富士見ベンチ (標高 約2,200m)

富士見ベンチでも休まず、先を急ぐ。

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富士見ベンチ〜合戦小屋間の登山道(2,300m付近)

相変わらず急登が続く。登山道脇の木に取り付けられた「合戦小屋まで 10分」 「5分」の標識を見て、気力をふり絞り最後の一登り。

突然視界が開け、合戦小屋の黒い建物が目の前に。 森林限界を越えて、ここから上はだんだんと高木がまばらになっている。

登山口からここまで2時間3分掛かったが、標準コースタイムは3時間なので、およそ3分の2で到達したことになる。

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合戦小屋(標高 約2,380m)

小屋横のベンチに座り、おやつ用に買ってきたおにぎり1個とサラダチキンを食べる。

合戦小屋 〜 燕山荘

合戦小屋で15分ほど休憩したのち、燕山荘に向け出発。

ここから先はコメツガなどの針葉樹が姿を消し、あまり育っていないダケカンバの低木やササが生い茂っている。

つづら折りの登山道を、標高差100mほどある合戦ノ頭まで一気に登る。

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合戦小屋〜合戦ノ頭間の登山道(2,430m付近)

森林限界より上は、トンボが大量に飛び交っている。

谷底からはどんどんとガスが湧き上がってきて、青空がどんどん狭まっていく。

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2,450m付近に設置されている「登山者カウンター」

つづら折りの道に妙な装置を見つけた。設置杭に、「登山者カウンター」と書かれている。

中部地方環境事務所が2014年に設置した、通り過ぎる人の数をカウントする装置だそうだ。『2014年09月28日 登山者カウンター設置と燕岳・常念岳・蝶ヶ岳登山道調査』に経緯が書かれているが、これ無線式じゃなくて人力でメモリーカードを回収するタイプらしい。 docomoの電波圏内だから、オンラインでデータ転送したほうが手間かからないだろうに…

合戦小屋から10分ちょっとで、三角点のある合戦ノ頭に到着。 ここにもベンチが置かれ休憩所になっている。 周囲は、さらに大量のトンボが飛び交っている。

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合戦ノ頭 (三等三角点 「濁沢」 標高2,488.24m)

谷から湧き上がってくるガスで、太陽が照ったり照らなかったり。 ここまで樹林帯だったので半袖で登ってきたが、ここからは紫外線対策で長袖のウエアに帽子を装備。

燕山荘まで1.3kmの標識が有り、標高差もたったの120mほどだ。 ここから先は、なだらかな尾根上をのんびり歩くコースだ。

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合戦ノ頭〜燕山荘間の登山道(2,550m付近)

尾根に岩稜が飛び出している場所。地質図では、花崗岩地帯のなかに、ここだけ安山岩の塊が飛び出しているとされている。その岩山の頂上付近をトラバースするが、周囲がハイマツや矮低木で覆われているため、全く高度感はない。

ダケカンバからハイマツに徐々に植生が変わって行き、登山道横の草地にはコバイケイソウ、シシウド、ハクサンフウロ、コケモモなどが咲き乱れている。

登山口から燕山荘までの間で唯一の核心部、岩場をトラバースする場所に鎖場がある。しかし、足場はしっかりしているし、高度感も全く無いため、「どこが核心部?」と拍子抜けするくらいの場所だ

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岩場をトラバースする核心部(標高2,580m付近)

東の谷間から上ってくるガスが、常念山脈の主稜線に近づくにつれ薄くなり、ときおり燕山荘の赤茶色の建物が稜線の上に見えることがある

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ハイマツ帯の登山道の先に、かすかに燕山荘が見える…

見えそうで見えない主稜線。 登山道の見晴らしポイントで10分ほど待っていると、ガスが切れて青空が覗き、燕山荘から燕岳までの見事な眺望が広がった

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合戦尾根の標高2,600m地点より、燕山荘と燕岳

登山道は燕山荘のある小ピークの東斜面を巻いて、燕岳の方に少し下ったテント場で主稜線上の道に合流している

松本盆地側から湧き上がってくるガスは、常念山脈の東側で止まっていて、槍・穂高のある飛騨山脈側は晴れている。

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左に燕山荘の石垣が、右にはテント場が見えている

常念山脈の主稜線上に到達。燕山荘とテント場の間で登山道が合流する。9時50分、登山口から休憩込みで3時間30分。常念山脈主稜線にある燕山荘前に到着。

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燕山荘前の分岐点から見た槍ヶ岳と西鎌尾根・硫黄尾根 (南方向)

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燕山荘前の分岐点から見た西鎌尾根・硫黄尾根・双六岳方向 (南西方向)

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燕山荘前の分岐点から見た西鎌尾根・硫黄尾根・双六岳方向 (南西方向)の解説図

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燕山荘前の分岐点から見た双六岳・黒部源流域・飛騨山脈方向 (西方向)

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燕山荘前の分岐点から見た双六岳・黒部源流域・飛騨山脈方向 (西方向)の解説図