01 August 2019

夏の燕岳 その2:燕岳山頂、星空

合戦尾根を登り燕山荘前に到達後、燕岳・北燕岳へ向かった。

もくじ

夏の燕岳 : 天候事前調査
夏の燕岳 その1 : 合戦尾根を登り燕山荘まで
夏の燕岳 その2 : 燕岳山頂、星空
夏の燕岳 その3 : 咲きほこる高山植物
夏の燕岳 その4 : 下山し、松本城に登城

ヤマレコの記事

山頂までの全行程

区間標準コースタイム時刻所要時間
登山口 〜 第1ベンチ1:1006:32 → 06:540:22
第1ベンチ 〜 第2ベンチ06:54 → 07:150:21
第2ベンチ 〜 第3ベンチ1:5007:15 → 07:390:24
第3ベンチ 〜 富士見ベンチ07:39 → 08:080:29
富士見ベンチ 〜 合戦小屋08:08 → 08:350:27
合戦小屋 〜 合戦ノ頭0:9008:50 → 09:030:13
合戦ノ頭 〜 燕山荘09:07 → 09:500:43
登山口 〜 燕山荘 合計4:052:59
燕山荘 〜 燕岳0:3010:12 → 10:400:28
燕岳 〜 北燕岳--10:49 → 11:000:11
北燕岳 〜 燕山荘--11:04 → 11:410:37

燕山荘 〜 燕岳

松本盆地側(東側)から湧き上がるガスは常念山脈ですっぱりと止まっているが、稜線上のどこがガスの切れ目になるのかは微妙だ。

稜線を歩いていると、ガスの中に入ったり出たりを繰り返すことになる。

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燕山荘前(標高2,704m)から燕岳山頂(標高2,763m)を望む

山頂までの距離は約770mで、標準コースタイムは30分。 晴れ間の出るのを見計らい、出発。

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地質図では、この辺りの山は主に有明花崗岩からできていて、岩石が黒っぽく見えるのは花崗岩に含まれる黒雲母が多いからだ。 風化して砂礫となった花崗岩は、黒雲母が分解して水酸化鉄(III)になるため、赤茶色になるとのこと。

確かに、前掲の写真で岩は黒っぽく、砂礫地は少し赤茶色に染まっている

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燕岳に向かう登山道から振り返って眺めた燕山荘方向

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燕山荘から燕岳までの登山道は、砂礫地とハイマツ帯が交互に現れる

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燕岳山頂直下の分岐点

燕岳山頂直下のみ急な階段があるが、ハシゴや鎖などを使う核心部は無かった。 燕岳山頂には、ほぼコースタイム通りの約30分で到着。

燕岳 山頂 (標高 2,762.85m)

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燕岳山頂(2,763m)の石柱標

写真右側の四角いのが石柱標で、その横にはたくさんの硬貨が置かれている。 観光地じゃないのに、賽銭を置いていくとは…

燕山荘の方向を振り返ると、燕山荘はすでにガスの中に入り見えない。 ガスと晴れ間の境界線は、常念山脈の主稜線上で微妙に揺れ動いている。

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燕岳山頂から見た燕山荘(ガスの中)と常念山脈主稜線

上の写真では、ガスの中に隠れそうな大天井岳(2,922m)の山頂がぎりぎり見えている。

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燕岳山頂より、ガスの中から姿を見せた燕山荘と常念山脈の主稜線を望む

北方向には、北燕岳の岩山があり、高瀬渓谷を挟んで飛騨山脈の主稜線の烏帽子岳から蓮華岳辺りの山肌が見えている。飛騨山脈の稜線はすっぽりと雲に包まれ、晴れていればその向こうに立山連峰が見えるはずだ。

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燕岳山頂から北には、北燕岳が見える

山頂に居た登山者が “あそこまでどれくらい掛かるんですかね” と質問を投げていたが、私を含めて山頂に居る数人で情報を持っている人は誰も居ない

“行ってみれば、判るでしょう”

ということで、すぐ北に見えている第2ピークに行ってみることに

燕岳 〜 北燕岳

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燕岳から北燕岳へ向かう登山道は、砂礫地の中を進む

砂礫地を貫く登山道には、道を外れないようにロープが張られている。道の外は一面のコマクサの群落だ

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北燕岳

岩山を登って行くが高度感は殆ど無く、頂上直下の核心部は鎖などは付いていないが、足場は十分あり簡単によじ登れる

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北燕岳の南側の崖を登る核心部

燕岳から北燕岳まで、約11分かかった。 見た目に比べ、意外と近い。

北燕岳 山頂 (標高 約2,750m)

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北燕岳の山頂には石柱標は無く、小石が置かれていた

東側はガスに覆われ眺望は無い。西側も午後になって雲がたくさん湧いていて、高瀬渓谷の向こうにある飛騨山脈もガスに隠れつつある。

燕山荘のある南方向を振り返ると、すでに燕岳すら見えないくらいにガスが常念山脈の主稜線を覆いつつある

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北燕岳の山頂から南方向を眺める

北燕岳 〜 燕山荘

燕岳の西斜面をトラバースする近道を選んで燕山荘に戻る。ガスはどんどん濃くなり、視界は10mくらいしかなくなる

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ガスに覆われた燕岳の眼鏡岩

燕岳に登る団体客が向こうからやって来る。 話し声は韓国語だ。 国家一丸となって「打倒日本」のはずの韓国人が、こんな所に旅行に来ていて問題ないのだろうか…

燕山荘に宿泊

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燕山荘(標高2,712m) 正面入口

1937年に、今井兼次(基本設計)と高橋貞太郎(実施設計)によって作られた建築物だ。古さを感じさせない見事な作品だ

平日は1泊2食つきで10,300円。食事なしの素泊まりなら8,000円。毎年値上げしてるんじゃないの…

とはいえ、物資輸送のヘリコプター運賃が猛烈なインフレらしいので仕方ないか。 唯一の物資輸送のヘリ運行会社「東邦航空」が、近年事故で機材や優秀なパイロットを失い経営が厳しくなっているのだ。 山小屋はヘリ輸送が生命線だとして、つぎのような意見表明もある

・ 『登山文化の危機! 山小屋ヘリコプター問題』(雲の平山荘)

この記事に書かれている「T社」というのが東邦航空のことだ

小屋の食事は3,300円相当なのだが、地上からアルファ米やレトルト食品を持参してもそれほど費用節約にはならない。

アルファ米300円とレトルト食品2品400円で、1食あたり700円とすれば、2食分のコストは小屋の食事コストの半額程度だ。 ザックを1kg軽くするコストに2,000円を払うのが高いか安いか…。

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地上から持ってきた昼食

小屋にチェックインし、まずは昼食。自宅そばのスーパーで買ってきた塩バター フランスパンと、バジル風味サラダチキン。 レーズンブラウニーは間食に取っておいた

17時から夕食。小屋に到着した順に時間が割り振られて、私は最も早い17時の組に割り当てられている

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燕山荘の夕食

メインディッシュがチーズ入りハンバーグ、野菜付け合せ(キャベツ千切り、紅白なます、ワカメなます、ポテトサラダ)、白菜浅漬。付け合せの筑前煮、ご飯と高野豆腐の味噌汁、杏仁豆腐。地上の食堂で食べれば、1,000円位だろうか。 山岳料金で、これが2,000円でも十分納得できる。

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燕山荘 第一別館の蚕棚客室

私が割り当てられたのはこの上段で、1部屋の布団3枚(3畳)に登山客が4名だった。

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第一別館の上段寝室 (番号 157-162)

番号から判るように、最大6名が定員だ。今日は4名のため、燕山荘の最大定員600人に対して、本日の宿泊者は600×4/6 = 400人ほどだ

夕日が見れるか… というのは淡い期待だったようで、夕方まで濃いガスに覆われ綺麗な夕日は拝めずじまいだった

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夕方はガスに覆われ、燕山荘のテラスからの眺望は無し

この時の外気温は、21.4℃

星空

21時頃、24時頃と2回外に出たが、ガスに覆われていた。2時半頃外に出ると、晴れている。ガスがものすごい早さで流され、時々晴れ間が出るようだ。

外気温は18.1℃で、レインウエアを羽織っていけば全く寒くはない。

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3時30分の東の星空(ペルセウス座〜牡牛座)

この写真は、ちょうど冬の天の川が画面中央の上から下に流れているはず。 天の川が写るまでシャッタースピードを遅くすると、ガスに反射した小屋の照明で全体が白っぽくなるだけだった。

昨日と違い、風の吹く方向が東から西に変化している。かなりの強風が高瀬渓谷より吹き上げてきて、カメラが煽られて揺れないように、体で風をブロックするのも大変だ

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3時30分の東の星空(注釈付き)

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3時30分の天頂の星空(はくちょう座〜ペルセウス座)

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3時30分の天頂の星空(注釈付き)