02 August 2019

夏の燕岳 その4 : 下山し、松本城に登城

燕岳の燕山荘に一泊し、早朝に下山して松本市に向かう。

もくじ

夏の燕岳 : 天候事前調査
夏の燕岳 その1 : 合戦尾根を登り燕山荘まで
夏の燕岳 その2 : 燕岳山頂、星空
夏の燕岳 その3 : 咲きほこる高山植物
夏の燕岳 その4 : 下山し、松本城に登城

ヤマレコの記事

夜明け

星空の撮影のために2時50分に起きて、ガスが出てきて撮影終了したのが3時40分。 燕山荘の本館入口ロビーに戻ると、食堂前に朝食を待つ行列ができている。

朝食は4時15分、5時、… と4回に分けられていて、それぞれ並んだ順に定員まで食堂に入ることが出来る。 大天井岳方向へ縦走するので、なるべく早く朝食を食べたい登山者が多いのだろう

私も、日の出の写真撮影するために初回4時15分の朝食に並ぶ。

食堂はほぼ定員いっぱいだったが、私が食事を終わる頃でも若干の残席があったようで、わざわざ30分近く並ばなくてもよかったようだ

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燕山荘の朝食

メインプレートは鮭の蒸し焼き、バジルソーセージ、卵焼き、漬物3品。ご飯、味噌汁、ゼリーというメニューだ

早朝より300〜400人もの客の朝食を用意する狭いキッチンは、まさしく修羅場だろう。 焦げ目が付かず蒸したような鮭は、自動焼器ではなくスチームコンベクションオーブンを使いまわしているのだろう

この日の日の出は4時50分頃。 4時半過ぎまでは晴れていたのだが、日の出直前になって西側の高瀬渓谷側からガスが上がってきて山小屋周辺をすっぽりと包んでしまった

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日の出直前、燕山荘の東側で日の出を待つ登山客 (遥か向こうに霧に霞んだ燕岳山頂が見える)

燕山荘のヘリポートから南を見渡すと、常念山脈東側の松本盆地は雲海に沈んでいて、常念山脈西側の飛騨方面からどんどんガスが流れ込んでくる。そのガスは波打っているので、時折槍ヶ岳の穂先がかすかに見えることがある。

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燕山荘から見た日の出直前の常念山脈と槍の穂先

日の出の予定時刻を20分過ぎた5時10分ごろ、東の空に満月が出てきたかのような、弱々しいオレンジ色の太陽が昇ってきた。

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ガスの向こうにかすかに太陽が見える (手前は燕山荘のテント場)

GPSログ

復路のGPSログ

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登山口までの全行程

区間標準コースタイム時刻所要時間
燕山荘 〜 合戦小屋0:4505:12 → 05:460:34
合戦小屋 〜 第2ベンチ1:1005:46 → 06:440:58
第2ベンチ 〜 登山口0:4506:44 → 07:190:35
燕山荘 〜 登山口 合計2:402:07

燕山荘 〜 合戦小屋

5時12分、ガスがかかっている燕山荘前 (標高2,704m)を出発

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燕山荘第一別館前から下山する道はガスの中へ

合戦尾根を少し下ると、空が晴れてきて朝日に照らされる。

振り返って燕山荘のある常念山脈の稜線をみると、稜線の向こうから滝のようにガスが流れ下ってきて、少し高度を下げると消えている様子が手に取るように見える。

燕山荘付近が、ちょうどガスの流れ道になっているようだ

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合戦尾根の登山道(標高2,640m付近)から振り返ったガスがかかる燕山荘のある尾根

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2,550m付近の登山道から見た常念山脈と松本盆地の雲海

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合戦尾根の登山道(標高2,520m付近)

5時37分、合戦ノ頭を通過

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合戦ノ頭 (標高2,488m) 左側のガスの中に大天井岳、右側には燕山荘のある丘が見えている

合戦ノ頭から一気に下るつづら折りの道の途中に何箇所か見晴らしの良い場所が有り、今回の登山で槍ヶ岳の姿を最後に拝んだのもこの辺だ

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合戦小屋と合戦ノ頭の中間付近から見た大天井岳(ガスの中)と槍ヶ岳

ダケカンバなどの低木の間に通されたつづら折りの道を、一気に合戦小屋まで下る。

途中、登ってくる登山者1名とすれ違う。 この時間に合戦小屋をクリアしているのだから、3時半前には登山口を出発したのだろう。

燕山荘を出てから約30分で合戦小屋までやってきた。小屋の前のテーブルには、下山途中の高校生の団体が休憩していた。学校登山なのだろうか…

合戦小屋 〜 第2ベンチ

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5時45分 : 合戦小屋の前にあるテーブル席で休憩する学生のグループ

私はここでは休憩せず、長袖のウエアを半袖に着替えてすぐに出発する

合戦小屋から富士見ベンチまでの間では、数人の登ってくる登山者とすれ違う

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花崗岩の岩場を下る2310m付近の登山道

2,300m付近には、「これより先は通れません」の黄色い看板が登山道の先に見えてきた。しかし、一本道の登山道で、進入禁止とは…

下から上ってくる登山者とすれ違ったので、この道で間違いないはずだ。スマートフォンのGPS地図も、コース通りだと表示している

標識を無視してこのまま進む

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進入禁止看板のある2300m付近の登山道

誰も休憩者がいない富士見ベンチを通過

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6時5分 : 誰も休憩者がいない富士見ベンチ

登って来る時は気付かなかったが、降りるときは高いところから見渡せるので、登山道が尾根上を一気に下っているのが手に取るように判る

合戦小屋から第2ベンチまでは、常念山脈を広く覆っているコメツガの林の中を降りていく

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標高2,050m付近の登山道 (尾根上を下っているのが判る)

この辺りから、登って来る人とすれ違うことが多くなる。 第3ベンチには、沢山の登山者が休憩していた。学生の団体も多いようだ

5時半頃に中房温泉に到着する「毎日あるぺん」か、自家用車で来た人たちだろうか。

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6時25分 : 合戦尾根 第3ベンチ

下山開始時には、これから降りていく先は雲海の中だった。第3ベンチを通過したのちに、見晴らしの良い場所から眺めると、雲海はすでに消えているようだ。

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1,950m付近の見晴らし台から見た常念山脈。雲海は消えているようだ

6時44分、第2ベンチを通過。これから登っていく沢山の登山客が休憩している

第2ベンチ 〜 登山口

ここから先は、沢山の人が登って来るので、すれ違うのに時間がかかる。第1ベンチまでやって来ると、かなりの数の登山者が休憩している。 6時過ぎに中房温泉に到着する路線バスできた登山者の多くは、この辺りから下ですれ違うことになる

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7時00分 : 合戦尾根 第1ベンチ

私が登った昨日に比べて、1.5から2倍の数の登山者がこれから登っていくように感じる。 昨日、燕岳山頂で韓国の団体を見かけたが、今日も登山口から登っていく韓国の団体が居た。 日本人だけですでに山小屋が満員状態なのに、ガイジンまで集客して入山させる必要があるのだろうか…

今日は、燕山荘は定員いっぱいの奴隷船状態になるだろう。 混雑しすぎだ

7時19分、合戦尾根の登山口に到着。 燕山荘からの所要時間は2時間7分だった

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合戦尾根の登山口

中房温泉から安曇野穂高へ向かい、穂高神社に参拝

1時間ほど登山口付近で休憩したのち、中房温泉から安曇野穂高に向かう始発のバスに乗車する

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中房温泉のバス停で出発を待つ中房線乗合バス

■ 中房線乗合バス 中房温泉 08:30 → JR穂高駅 09:22 (運賃 1,700円)

バスは5人ほどの登山者を乗せて出発。曲がりくねった谷間の山道は、所々にすれ違いの場所があるに過ぎない。大型のゴミ収集車がやってきた時は、崖ギリギリまで寄ってすれ違っていた。

穂高駅前でバスを下車し、松本行の電車の時刻を確認する。 待ち合わせ時間は約40分だ

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JR大糸線 穂高駅と、駅前に置かれた道祖神

駅前通りを歩いて数分の所に、穂高神社がある。 昨日、大阪から乗ってきた高速バスを下車したバス停があるところだ。 ここは、奥穂高岳の山頂にある穂高神社(嶺宮)の本宮で、「日本アルプスの総鎮守」とも呼ばれているそうだ

祭神は穂高見命(ほたかみのみこと)で、もともと北部九州が地盤であった海運を司る安曇氏(あずみうじ)が祀っていた神

神社の入口には、どこにでもあるような手水舎。しかし、ここには『安曇の銘水』の看板があり、ボトルを持って水を汲みに来ている人がいる。 ためしに、ハイドレーションボトルに汲んで飲んでみると、冷たくて気持ちいい。 砂ろ過された湧き水なので、味はない。 次回、ここで登山バスに乗り継ぐときには、この水を補給して登ろう

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穂高神社の北入口にある「安曇の銘水」手水舎

説明看板には “北アルプスの雪解け水が 長い歳月をかけ育んだ 天恵の銘水を地下30mより汲み上げている おいしい水です” とある。 安曇野は環境省の『日本銘水百選』にも選ばれているので、清浄さはお墨付きだ

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穂高神社 鳥居

この木造大鳥居は、1804年に建てられた先代の鳥居に代わり、今年2019年5月に改築されたもの

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穂高神社 神楽殿と拝殿

そろそろ電車が来る頃なので、駅に戻る

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JR穂高駅のプラットホーム

大糸線は単線で、1時間に1本(上下線であわせて計2本)の電車が走るローカル線だ。 プラットホームからは、常念山脈の名峰が一望できるとされるが…

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JR穂高駅から北アルプス常念山脈を望む

本来なら常念岳、大天井岳、燕岳、餓鬼岳が見えると説明板に書かれているが、主稜線は雲の中で山頂は一つも見えない。 燕山荘を早朝に出発し、あの雨雲の中の常念山脈を縦走している人もいるのだろう

松本行の普通列車に乗車。2両編成の車内は、全ての席が埋まる程度の程よい混雑度合いだ

■ JR大糸線 穂高駅 10:03 → 松本駅 10:40 (運賃 320円)

松本城へ

遅延した特急のすれ違いを待つため、数分遅れて松本駅に到着。駅前広場には、槍ヶ岳の開山者でもある江戸時代の僧 播隆上人像がある

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JR松本駅前の播隆上人像

駅前広場に面した松屋で昼食

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豚焼肉定食(590円)

食後、松本城に歩いて向かう。この日は、松本市で今年最初の猛暑日(35℃)となった暑い日だ

松本城の天守は、現存12天守のうちのひとつで、戦国時代か江戸時代初期に建てられたとされる。

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内堀と松本城天守

内堀の手前までは無料で、黒門より内側の本丸に入場するには600円が必要

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松本城 黒門 一の門

1960年に再建されたもので、名古屋城の渡り櫓を参考にそれらしい形に復元したそうだ

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松本城 本丸御殿跡の芝生広場と天守

天守の中央の建物が「大天守」、右側の少し小ぶりなものが「乾小天守」、左側のが辰巳附櫓と月見櫓。

朱色の柱が目立つ月見櫓だけ展望台のような建物だが、この建物は戦のない江戸時代になってから建てられたかららしい。実際、徳川家光を迎えるために急造された応接間のようなものらしい。

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松本城天守 第一層

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松本城天守第一層の狭間と石落し

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松本城天守 第六層(最上階)と井桁梁

松本から大阪へ

高速バスに乗る前に、ネットカフェ(Carefree-Cafe)でシャワーを浴び、2時間ほど冷房のよく効いた部屋で休憩。

入会金300円、3時間個室パック1,000円、シャワー室利用300円で、合計1,600円。

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松本のCarefree-Cafeでシャワー利用

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松本市上空には巨大な積乱雲 (松本駅前の平田新橋線)

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松本バスターミナル

■ 阪急バス 松本BT 15:00 → 京都深草バス停 19:50 (運賃 5,700円)

バスはほぼ満員の乗客を乗せて、大阪に向け出発。 松本駅前を出て、諏訪湖手前まで幾つかのバス停に停車しつつ、数名の乗客を拾ってゆく。

ときどき土砂降りの雨の中を通過する。スマホで雨雲レーダー画面を見ると、積乱雲が所々に湧いている。槍ヶ岳・穂高あたりにも巨大な雷雲があるようで、この日のネット掲示板では、稜線上の小屋では猛烈な雷を体験と書かれていた。

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多賀SAに停車する阪急バス「アルペン松本号」

16時30分に阿智PA、18時50分に多賀SAに休憩停車。多賀では夕食時間の意味なのか、25分の停車時間だった。

京都市内に入る手前、山科あたりでも土砂降りの雨。 高速を走る車はかなり減速していたが、それでもバスは定刻どおりの19時50分、京都深草バス停に到着

ここで下車したのは5名程度。ここが京阪電車の乗換駅だと知っている人だけだろう

高速道路上のバス停から駅まで、公園の中を歩いて5分程度。京阪電車に乗り継ぐ

■ 京阪 普通 藤森駅 20:06 → 丹波橋駅 20:10
■ 京阪 特急 丹波橋駅 20:12 → 京橋駅 20:48
■ 京阪 普通 京橋駅 20:55 → 中之島駅 21:05 (運賃 460円)

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京阪京橋駅に到着した特急列車

高速バスを梅田まで乗るより、京都深草で京阪に乗り換えたほうが安いし、時間もほぼ同じ。とくに京阪沿線住民にとっては効果絶大だと思う

・ 梅田まで直通: 松本 15:00 → 梅田 20:45 (運賃6,200円)
・ 京都深草乗換: 松本 15:00 → 京都深草 19:53 、 藤森 20:06 → 淀屋橋 20:54 (運賃 5,700+400=6,100円)