樹林帯を抜け、ハイマツ帯や風衝草原に出ると高山植物の花々がいたる所に咲いている。咲いている花は、すでに初秋のものが多かった
もくじ
・夏の燕岳 : 天候事前調査
・夏の燕岳 その1 : 合戦尾根を登り燕山荘まで
・夏の燕岳 その2 : 燕岳山頂、星空
・夏の燕岳 その3 : 咲きほこる高山植物
・夏の燕岳 その4 : 下山し、松本城に登城
地質と植生
燕岳周辺はほぼ全て火成岩の「花崗岩」。細かく見れば、常念山脈東側の松本盆地側はGab : 「有明B型花崗岩 : 粗粒桃色角閃石含有黒雲母花崗岩」で、西側の高瀬渓谷側はGts : 「冷沢花崗岩 : 粗粒角閃石黒雲母花崗閃緑岩」となっている。
合戦ノ頭と燕山荘の間のなだらかな尾根筋にあった岩が飛び出した場所は、A : 「岩脈 : 安山岩及びデイサイト」 とされている。周囲の花崗岩が風化して削れてしまい、硬い安山岩が残ったのだろう。
合戦小屋より下の森林限界以下は、ほとんどが「コメツガ群落」で、森林限界以上は「ミドリユキザサ と ダケカンバの群落」とされている。
合戦ノ頭と燕山荘の間のなだらかな尾根筋は、「コケモモ と ハイマツ群集」で、燕山荘周辺など常念山脈の稜線より西側には「高山ハイデ 及び 風衝草原」となっている。実際に見た感想としては、稜線西側は砂礫地で、東側が風衝草原だったんだけどね… (高山ハイデ = 風衝矮生低木群落で、ハイマツなどがまばらに分布しているということだろうか…)
植生についてはWikipediaの『日本の高山植物相』が参考になる。
ハイマツ群落の登山道沿いや風衝草原で見られた高山植物
ハイマツ (這松) の実
シシウド (猪独活)
合戦尾根や燕山荘周辺の草地で最もよく見かけた花が、このシシウド。セリ科で、背の高い多年草
モミジカラマツ (紅葉唐松)
合戦尾根でかなり見られました。カラマツソウに似た花で、こちらは “モミジのような葉っぱ” で識別できる
風衝草原で見られた高山植物
コバイケイソウ (小梅蕙草)
合戦尾根や燕山荘付近の所々に咲いていた。ユリ科の背の高い多年草で、食べると有毒
テガタチドリ (手形千鳥)
ラン科の植物。 燕山荘東側の草原に咲いていた
ヤマハハコ (山母子)
キク科の植物。 燕山荘東側の草原に咲いていた
燕山荘東側の草原に生えていた、おそらくタテヤマアザミと思われる蕾
キク科 アザミの一種
ハイマツ群落の登山道沿いで見られた高山植物
ゴゼンタチバナ (御前橘)
ミズキ科の多年草
コケモモ (苔桃)
ハイマツの登山道沿いの足元には、コケモモが群生している場合が多い。 ツツジ科の「樹木」で、草ではない。実は食べられる
ツツジ科の低木で、燕山荘から燕岳に向かう登山道沿いのハイマツ群落の中に見られた
クルマユリ (車百合)
ユリ科の多年草。 ハイマツ帯の登山道沿いに見られた
稜線上の砂礫地で見られた高山植物
コマクサ (駒草)
ケシ科の多年草で「高山植物の女王」と呼ばれる。 常念山脈主稜線の西側に広がる砂礫地にたくさん自生している
ミヤマダイコンソウ (深山大根草)
バラ科の多年草。コマクサ程は群落せず、登山道沿いの所々にチシマギキョウなどとともに見られた
チシマギキョウ (千島桔梗)
砂礫地だけでなく、岩の隙間などにも見られる、キキョウ科の多年草
タカネツメクサ (高嶺爪草)
ナデシコ科の多年草で、砂礫地の岩場の境界辺りに幾つか見られた
ミヤマアキノキリンソウ (深山秋の麒麟草)
キク科の多年草で、主稜線上の砂礫地やハイマツ群落との境界辺りに見られた