連休明け火曜日の天気予報がとても良いので、急遽 北アルプスの何処かに向かうことにした。
交通機関の予約がほぼ不要で手軽に行ける立山は、野営場や登山道でクマさん野放し状態のため、危険極まりなく選択肢から外れる。X.comでは、雷鳥沢に張られたテント数が20張りほどと伝えられていて、人間が追い出されつつあるのがわかる。
その次の選択肢は夜行バスだが、(名古屋発の)新穂高行きと、松本行きは満席。唯一空いていたのは、連休最終日の午前便の松本行きの2席だけだった。これを押さえた上で、燕山荘の空きの残り7名とWeb表示されていたのを確保する。
土曜から月曜の3連休が悪天候だったため、予約キャンセルが出たためなのだろう。これを確保できたのは、たまたまの幸運だ。
大阪から松本へ
ギリギリ30℃に届かない敬老の日の早朝、2.5kmほど歩いて阪急三番街バスターミナルに向かう。
■ 高速バス 大阪 梅田阪急三番街 08:00発 → 松本 14:00着(運賃 6,700円)
アルピコ交通の日野セレガ ハイデッカ (2018年式)の車内。横4列・前後10列シート
梅田を出発した時点では半分くらいの座席が埋まっている程度だったが、途中の新大阪、北急 桃山台駅、名神高速 京都深草で次々と乗客が乗ってきて満席となる。
自宅からトーストと焼ちくわの軽食を持ってきているので、SAで食事する予定はないのだが、念のため価格帯をチェックして驚いた。高すぎるのである。
最安値メニューは、うどん・ラーメン・カレーが800円台。唐揚げ定食が1,130円となっている。外食を一切やめて2年ほど経つが、CPIを大幅に上回る値上げには驚かされる。
それもこれも、円安と経済の好循環政策及びインバウンド移民政策、財政インフレファイナンスを猛烈に進める岸田政権以降の成果だ。ありがとう自民党 (笑
二度と投票はしないんで...
中央道の土岐市付近で道路工事による渋滞があり、15分ほど時間を取られる。
恵那峡は、サービスエリアから4km北西にある大井ダムにせき止められた峡谷のダム湖付近のことを言うらしい。中部電力管内で岐阜と長野の間にあるのに、なんと関西電力の水力発電用ダムらしい。
松本市内を散策
松本バスターミナルのあるビルには、地下にフードコート、上層階にはサイゼリアがある
アルピコプラザ B1Fのフードコート。スーパーDELiCiAで購入した弁当惣菜を食べる場所
DELiCiAのフードコートには無料の水はあるが、ポットや電子レンジは置いていない
弁当温めたり、インスタント麺は無理だってことだね。
登山中は野菜は摂れないので、ほうれん草の胡麻和えを追加。それでも610円と安めの価格設定。
遅めのランチ (サバ塩焼き弁当 430円、ほうれん草胡麻和え180円)
松本駅から飲食店の並ぶ公園通りに入る。休日の昼下がり、営業時間外の店がほとんど
2025年2月末に閉店したパルコは、郊外型の大型モールに客を奪われたのが閉鎖原因だと言われている。
確かに、休日の昼間に誰も歩いていない駅前や飲食店の並ぶ通りは、車社会の地方都市では駐車場に難のある中心街は地元民が寄り付きにくい現実を如実に表している。
松本パルコ閉店、観光都市の未来は 街の空洞化防止も市長選の争点に
観光地として知られる同市では、街中心部に買い物客らを集めてきたファッションビル「松本パルコ」が2025年2月末に閉店する。中心部の空洞化を防ぐため、パルコの建物や跡地の利用をどのように進めるのか。街のにぎわい維持に向けた政策が問われている。閉店方針が昨年2月に発表された松本パルコは、百貨店大手Jフロントリテイリング(東京都)の子会社「パルコ」(同)が運営する。
新館と旧館の二つの建物からなる松本パルコは地上6階、地下1階で、延べ床面積は約2万2千平方メートル。1984年に開業し、96年度には95億3600万円の売り上げを記録した。しかし、2017年度に中心街の周辺部にイオンモール松本が開店するなど競合店が増えた結果、売り上げは徐々に減少し、21年度には約40億円まで落ち込んだ。
朝日新聞Web https://www.asahi.com/articles/ASS356KR7S2QUOOB007.html
パルコの敷地は、江戸時代には生安寺の寺社地だったのが絵図を見るとわかる。
その旧パルコ前を通り過ぎて北へ。かつての町人地を通り抜け、松本城の守りの最外周だった女鳥羽川の畔に出る。
松本城 城下町の絵図(松本城Webより転載・加筆)
女鳥羽川に架かる千歳橋(かつての大手橋)を渡る。渡った対岸は大手門 枡形跡だ。本町通りから大名小路へとクランク状に曲がった道は、ここが枡形の跡だと如実に示している。
このあたりまで来ると、少しだけ観光客を見かけるようになる。市立博物館や縄手通り商店街もあって、ここに観光客が居なかったら観光都市としては危うい。
大阪のインバウンド公害を見慣れた目には、縄手通りを歩く観光客の数はとても少なく感じる。外国人汚染で自分の感覚がおかしくなってしまったのか...
縄手通り商店街の人通りは少なめに感じる(かつての総堀と女鳥羽川の間の土手道に当たる)
Wikipediaによれば明治5年(1872年)に設置された神社ということで、江戸時代の絵図では縄手の北側の総堀だった場所で、そこを埋め立てて造られたようだ。
女鳥羽川(めとばがわ)と中の橋。かつて流路を変更されて松本城の外堀として機能した
大名小路を北上すると、松本城の入口がある。江戸時代にはここには入口はなく、総堀で武家地と城が隔てられていた。城に通勤していた武士は、城の東側の太鼓門まで回り込んで総堀を渡る必要があった。
確かに、善光寺街道から一直線に本丸まで道があるはずがない。史跡を尊重するなら、やはりこの場所の道路は撤去して観光客にも太鼓門まで迂回させるべきなんじゃないかな。(そんなに遠くはない)
黒門枡形には入場券売り場があり、「天守入場までの待ち時間 30分」と表示されている。
天守の南東端に増築されている月見櫓が、修復工事のシートに覆われている。今は写真撮影はこの角度からは無理だ。
天守の左側には、晴れていれば常念山脈(表銀座)の常念岳から大天井岳あたりが見えている。今は完全に雲の中だ。
ここで、今晩の宿を確保するため旧パルコの南側にあるネットカフェに向かう。ネットカフェについてはこの次のセクションにまとめて記述する。確保したブースに荷物を置いて散策を再開。
旧町人地から女鳥羽川を越えて旧武家地を少し歩くと、住宅街の中に土塁をスッパリと断面に切り取った遺構がある。
松本城の「西総堀土塁」公園。土塁の左(西)側に総堀、右(東)側に武家地があった
松本城西総堀土塁の概要(現地説明板の抜粋)
松本城は内側から内堀・外堀・総堀の3重の堀に囲まれていました。この総堀は武田時代の深志城を経て、近世松本城築城当時に整備されたものと考えられています。
総堀の内側に土塁が築造され、その上に高さ2.5mから2.7m程の土塀が作られていました。総延長は1066間(およそ1940m)ありました。
それほど鮮やかな夕焼けではないため、天守が真っ赤に照らされるということもなかった。
アルピコプラザ B1FのDELiCiAのフードコートに戻り夕食。
幕の内弁当の他に、メンチカツ&たまごロール(111円)を食べる。
ケアフリーカフェの鍵付個室に宿泊
パルコ跡の南側、駐車場ビルの2階にネットカフェ ケアフリーカフェがある。利用するのは3回目だ。
ケアフリーカフェの料金表。きょうは土日祝料金が適用される
今回は12時間利用の予定なので、ブースなら3,600円、鍵付個室なら3,800円となる。松本市の郊外にある快活CLUBの休日料金が、ブース2,970円、鍵付個室3,520円なので妥当な価格設定だと思う。
入店の時点で4室だけの鍵付個室は満室で、ブースを確保した。
ケアフリーカフェのブース。部屋の上部に壁はないが、ドアは窓なし
大阪の快活CLUBのように、ブースの扉が透明なプラ板でないところは評価が高い点だ。
ブースにザックを置いて外出。戻ってくる予定時間までの概算金額1,000円をデポジットとして預けて出かける。
1時間ほど散策と夕食で過ごし、戻ってきたら鍵付個室が2部屋空いていた。ブースから鍵付個室にチェンジしてもらう。料金は利用した時間だけの按分計算となるらしい。
具体的には、ブース1時間と鍵付個室11時間の按分計算となり
3,600円 × 1時間/12時間 + 3,800円 × 11時間/12時間 = 3,783円
これが支払いの金額だった。
ブースとの違いは、マットを切り欠いた三和土がありドアの内側に靴が置けること、壁が天井まであり専用の空調吹き出し口があること、部屋の幅が少し広いことだろうか。また、鍵付個室の廊下とブースの廊下の間にはドアがあり騒音をある程度シャットアウトしてくれる。
ちなみに、ブースと鍵付個室のほかにオープンシートもある。
ケアフリーカフェの無料ドリンク自販機、ポット、電子レンジ、コピー機など
快活やポパイにあるようなソフトクリーム サーバは、残念ながら置いていない。食べ物の持ち込み禁止のはずなのに、なぜか電子レンジがある。持ち込んで闇弁する人が確かにいるのだろう。
松本から登山口の中房温泉へ
4時過ぎに起床し、5時にチェックアウト。松本駅前の松屋へ。朝定食を食べる。
■ JR大糸線 松本駅 05:56発 → 穂高駅 06:28着 (運賃 330円)
大糸線の始発列車に乗車する。乗客の数はセミクロスシートの座席が半分うまる程度だ。
大糸線の始発列車の車内。平日だが通勤客より登山客のほうが多そうだ
松本駅を出て犀川を渡り列車は北へ向かう。西の空がだんだん晴れてきて、ほぼ快晴となる。北アルプス 表銀座の稜線が全て見渡せる。
50人以上の登山者がここで下車。おそらくほぼ全てが中房温泉行きのバスに乗り継ぐのだろう。
この日は写真に写っている小型バス1台、中型バス2台とタクシーが運行された。私は2号車の中型バスに乗車。この日の中房温泉線を運行していたタクシー会社のWebページによると、小型バスの定員は補助席を含め27人、中型バスの定員は補助席を含め39名、タクシーは4人乗車として登山者の合計人数は109人。
■ バス 穂高駅前 06:45発 → 中房温泉 07:40着 (運賃 1,500円, 現金支払いのみ)
登山口はすでに1号車と2号車のバスで来た登山者でいっぱいで、かなりの数がすでに登り始めているようだ。登山口から合戦小屋までの間で、この半分くらい50人ほどの登山者を追い抜いたはずだ。もちろん、私より歩行スピードの早い登山者も少しは居るはずで、燕山荘に到着してチェックインしたときに、フロントの店員がチェックイン済み者を確認していた一覧表を見ると、幾人かの先客がいた事はわかっている。