もくじ
・ 『 蝶ヶ岳 テント泊トレッキング : 天気予報・事前準備 』・ 『 蝶ヶ岳 テント泊トレッキング : 上高地から横尾を経由し蝶槍・蝶ヶ岳 』
・ 『 蝶ヶ岳 テント泊トレッキング : 蝶ヶ岳山頂・テント泊 』
・ 『 蝶ヶ岳 テント泊トレッキング : 蝶ヶ岳から長塀尾根・徳沢経由で上高地に下山 』
・ 『 蝶ヶ岳 テント泊トレッキング : 秋の高山植物 』
・ ヤマレコ 『 蝶ヶ岳 (上高地〜横尾〜蝶ヶ岳〜長塀尾根〜上高地) 』
蝶ヶ岳山頂の朝
快晴の朝、下山までのあいだ蝶ヶ岳ヒュッテ周辺を散策
トイレの前には、「次亜塩素酸水」と書かれた手洗い水のポリタンクが置かれている。 殺菌力を上げるためと、飲料にしないよう、漂白剤を薄めて入れているのだろう。
瞑想の丘に登る。 この辺りは、安曇野側の携帯基地局からの電波状況が良いのか、docomoのLTEのアンテナピクトグラムが3/4で表示されていた。 そして、意外だったのが梓川の谷の方に少し降りると、全く圏外となることだ。 上高地側の電波がここまで届いていないのか、私が持っいているHuawei P10 Liteの対応周波数では問題あるのかのどちらかだろう。
瞑想の丘の上から、ぐるっと一周見渡してみる。時刻は7時少し前。まずは北方向の常念山脈稜線から
大天井岳、常念岳が一望できる。稜線は多重山稜(二重山稜)となっていて、稜線・線状凹地・稜線と並んでいるのがわかる。この多重山稜がなぜ出来たのかは…
ということらしい。 簡単に言えば、山が稜線に沿って少しだけ地割れし崩れた断層 ということか…
梓川の流れる谷間には、まだ陽の光は届いていない。
瞑想の丘から南方向、蝶ヶ岳山頂と、その左側に富士山・中央アルプス
GPSログ
区間 | 時刻 | 所要時間 | 標準CT |
蝶ヶ岳 - 長塀山 | 07:52 - 08:40 | ↓ | ↓ |
長塀山 - 徳沢 | 08:45 - 10:36 | 2時間43分 | 3時間15分 |
徳沢 - 穂高奥宮 - 小梨平 | 10:56 - 12:28 | 1時間32分 | |
小梨平 - 上高地 | 13:35 - 15:11 |
テント撤収、下山
7時半過ぎ、陽光が梓川の流れる谷底まで届き、これから下山する長塀尾根の全貌が見渡せる。
テント撤収は、朝露がグランドシートやテントの内面に大量に付いているため、それを振り払いつつ行うので15分ほどかかる。
蝶ヶ岳 〜 長塀尾根 〜 徳沢
蝶ヶ岳野営場を出発したのが7時52分、徳沢に到着したのが10時36分。所要時間は2時間43分。距離が5.13kmで、標高差は1,130m。歩行速度は1.88km/hと、横尾から登った時の倍の速度で降りたことになる。
やはり、「下り坂最高」である。
昨日に続いて、再び蝶ヶ岳山頂に立ち寄り、数十メートル戻って長塀尾根の下山道に入る。 この道は、環境省によると「登山道 徳沢・大天井岳線」と名付けられているようだ。
ハイマツ帯をしばらく歩くと、長塀尾根上にある窪地を通過。 これも、多重山稜の線状凹地の一部なのだろう。 ここは草原となっていて、花の咲く高山植物が色々生えている。 (今は秋なので、実を付けたり、綿毛を飛ばしたりしている)
出発から25分、標高差50mほど下ってきた長塀尾根の稜線上にある妖精の池の畔に差し掛かる。
ダケカンバなどの低木とシラビソなどの高木が交じる森林限界付近
そして、ほぼ平らな長塀尾根上には至る所にぬかるみが存在する。
この辺りで、2人ほど登ってくる登山者とすれ違った。8時過ぎにこの場所まで来れるということは、釜トンネル開門(5時)と同時に入山してきた登山者ではなく、徳沢などでテン泊して早朝出発した人なのだろう。
GPSログでも、蝶ヶ岳野営場からの歩行距離が1.07kmで、「標識は侮れない」と感じた。 ここの標高は2,570mで、蝶ヶ岳山頂との標高差はちょうど100mとなる。
蝶ヶ岳野営場から約48分。1.58kmほど歩いてきた。標高差は150mほどしか下っていない。 ここは眺望が全く無い長塀山の山頂だ。
眺望が全く無い長塀山(ながかべやま)の山頂(標高2,565.1m)
長塀山を通り過ぎ、蝶ヶ岳野営場からちょうど1時間、GPSログでは1.91km歩いてきた地点に、「蝶ヶ岳まで2km」の標識がある。
標識の字が消えかけている。 ステンレス板にプラント設備用の文字テープを貼り付けたのだろうけれど、風雪で剥がれてしまっている。 ステンレス板にレーザー加工機で文字入れすれば、消えないのに…
蝶ヶ岳野営場から1時間40分、標高は2,200m付近まで下ってきた。 この辺りから、急角度の下り坂がところどころにあらわれ、木製の梯子などが取り付けられている。
標高2,000m付近まで下ってくると、林の隙間から梓川の河原がちらっと見えてくる。 梓川の河川敷で行っている治水工事の重機騒音がかすかに聞こえてくる。
地図上では急角度の下り坂に差し掛かっているはずなのだが、実際はジグザグのつづら折りの道なので、殆どは下の写真のようになだらかな道だ。
標高2000m付近の登山道 (つづら折りの道のなだらかな場所)
蝶ヶ岳野営場から2時間14分、4.39km歩いてきた。標高は1,870m付近に「徳沢まで1km」の標識がある。
登山道の傾斜はこの辺りがピークで、何箇所もの木製梯子や木の根階段が続く。
20歳位の若い男性グループが元気よくすれ違っていく。 まだ登り始めたばかりなので無駄口を叩くだけの元気があるのだろう。 あと2時間も登れば、疲れて寡黙になるに違いない。
徳沢に着く少し前、中年男女3人のグループとすれ違う。 挨拶代わりに「もう到着だからいいですね」と言われたが、「登りはこれからですから頑張って」としか返答しようがなかった。 ここから蝶ヶ岳までの標準コースタイムは4時間らしいので…
10時36分、標高1,560mの徳沢に到着。
ここで20分ほど休憩。梓川に流れ込む支流の橋の近くに猿が1匹いて、妙な鳴き声を発していた。
徳沢園 〜 上高地
ここから先は、ほぼ平坦な梓川沿いの自然探勝路(登山道 上高地・槍ヶ岳線)をのんびりと歩いていくだけ。
徳沢を10時56分に出発。 10分ほど歩くと、自然探勝路(登山道 上高地・槍ヶ岳線)は梓川の河川敷に出る。 ここからは明神岳と前穂高岳を眺められる。
対岸の川沿いには、絶滅危惧種のケショウヤナギが群生している
自然探勝路は、所々で湿地帯の中を突っ切っている。 そういう場所では、道がぬかるみになっていることもある。
明神で自然探勝路(登山道 上高地・槍ヶ岳線)を一旦それて、梓川を渡って穂高神社に参拝する。
12時28分、徳沢からのんびりと1時間31分歩いて小梨平の食堂に到着。距離6.75km、歩行速度は4.4km/hほどだ。
山賊カレーを食べる。 からっと揚がったチキンカツがドカンと乗っかったカレーで、なかなか美味しい。
この食堂は自然探勝路から少し離れて建っているので、一般の観光客はあまり入ってこないのだろう。空いてるので十分なソーシャルディスタンスが取れ、安全そうだった。
河童橋やバスターミナル付近など、GoToトラベルで旅行するような危機意識のない一般観光客が群れているような場所は、コロナウイルスが何処に飛び散っているか分からず、近寄り難いのだ。
その後、小梨平キャンプ場のすぐ横にある、環境省の上高地ビジターセンターに立ち寄る。
北アルプスの立体地図(模型)や、今咲いている花の情報など、見ておいて損はない。そして、話題のクマについて…
環境省の職員が講義する、クマと共存するための基礎知識。 知っておいて損はない話だ。
・ツキノワグマの成獣は、体長1mほどで意外と小さい (子熊と錯覚しないこと)
・夏のクマはガリガリにやせ細り、秋になり餌が豊富になると太る
・クマに出会ったら、ストックを打ち鳴らしたりして驚かせるな (逆に襲われる)
・子熊を見かけても近寄らない、取り囲んで撮影しない (近くには親熊が居る)
・クマに会ったら死んだふりは無駄。 クマは死肉を漁ることもある
など
急斜面の登山道で、ばったり出会ったらどうしたらいいんですかね… 。「死んだふり」もダメで、「背中を見せて」逆方向に逃げるのがダメだとなれば、クマに突進して全力で戦えとでも。
14時40分、徳沢より7.4km歩いて河童橋に到着。 昼食やビジターセンター見学など含め、3時間43分ののんびりした散策だった。
上高地から自宅へ
帰りもアルピコ交通のさわやか信州号(3列シート)に乗車。運賃は高額だが、3列シートは快適だ。
■ アルピコ交通 さわやか信州号 上高地 15:40発 → 大阪梅田 21:50着 (運賃 10,500円)
往路は満席だったさわやか信州号も、復路は3分の2の乗車率。 中央のシートが全て空いていて、乗客は窓側席のみだった。
バスは安房トンネルを抜けて岐阜県へ。2020年7月豪雨の復旧工事中の国道158号は、至る所で交互通行となっている。
そもそも、片側1車線で山間部のカーブが連続する道が、岐阜と長野を結ぶ「幹線道路」というのは、今の時代どうなのかね… (どうせ中止や縮小となる)オリンピックとか万博に無駄金を使うくらいなら、中部縦貫自動車道の未開通部分をさっさと完成させてほしいものだ。
17時15分、公衆トイレと自販機しか無い、松ノ木峠PAに15分の休憩停車。
すぐ先に、飲食店や土産物店が充実した、ひるがの高原SAがあるのに、なぜ何もない松ノ木峠で休憩したのか。
駐車場のはずれに、「槍の穂先」のようなモニュメントがある。 そこには “日本でいちばん空に近いPA (標高日本一 1,085m)” というプレートが埋め込まれている。
なるほど、登山者用バスなら標高日本一を選択しなければならないのだろう。
バスは、最近 片側2車線に増強された東海北陸道を快調に走り、名古屋を過ぎて、18時50分に養老SAに休憩停車。 ここで食事はどうでしょうということで、30分の休憩だ。
レストランとフードコートがあり、席の間にアクリル板のパーティションを取り付けた「安全そうな」フードコートに入る。 丼・うどん店の「ねぎ味噌カツ定食 950円」を注文。
さっくり揚がったトンカツは美味しかった。 しかし、高速道路の食堂は、どうして濃い味付けなのだろう…
20時50分ごろ京都駅八条口に停車、21時40分ごろ新大阪駅に停車。 新大阪駅で上高地行のさわやか信州号とすれ違う。 たしか、往路でもすれ違っていたので、渋滞がなければこの時間が「いわゆる定時」なのだろう。
定刻の40分前、21時50分に大阪梅田に到着。 この40分の短縮は、3回あるはずの途中休憩が2回になり、さらには1回目の針ノ木峠を15分に切り上げたからなのだろう。