もくじ
・ 『 蝶ヶ岳 テント泊トレッキング : 天気予報・事前準備 』・ 『 蝶ヶ岳 テント泊トレッキング : 上高地から横尾を経由し蝶槍・蝶ヶ岳 』
・ 『 蝶ヶ岳 テント泊トレッキング : 蝶ヶ岳山頂・テント泊 』
・ 『 蝶ヶ岳 テント泊トレッキング : 蝶ヶ岳から長塀尾根・徳沢経由で上高地に下山 』
・ 『 蝶ヶ岳 テント泊トレッキング : 秋の高山植物 』
・ ヤマレコ 『 蝶ヶ岳 (上高地〜横尾〜蝶ヶ岳〜長塀尾根〜上高地) 』
自宅 〜 上高地
始発の船津橋バス停より、梅田(大阪駅前)までバスに乗る。 この便の乗客は、私を含めて3人だった。
■ 大阪シティバス 53号系統 船津橋 20:38発 → 大阪駅前 20:51着 (運賃 210円)
■ アルピコ交通 さわやか信州号 大阪梅田 21:40発 → 上高地 05:20着 (3列シート車 運賃 10,500円)
阪急三番街のバスターミナルに行くと、待合室には登山スタイルの客が10人くらい。 バスは定刻通り出発し、新大阪駅と京都駅で客を拾い満席となる。
草津PAのセブンイレブンで、明日の食料を仕入れる。ねぎ塩豚カルビ丼(429円)、和風ぽてとサラダ(246円)が朝食用、おにぎり2個(259円)が昼食用だ。
「普通サイズ」の幕の内弁当的なものは全く置いておらず、ほぼ全てが「大盛り」ご飯と「油たっぷり高カロリー」揚げ物ばかり。 この場所では、こういう需要なんだろうね。
その後、運転手の休憩が、1時20分ごろに東海北陸道の長良川SA、2時40分ごろに松ノ木峠PAで行われたが、乗客には通知もされず降りることも出来なかった。 それよりも、高山市郊外のコンビニで降ろしてくれたほうが、朝食仕入れられるので助かるかも。
上高地には定刻通り、あさ5時20分頃の到着。
まだ日の出直前なので、あたりは薄暗い。 (日の出は5時31分ごろ)
バスターミナル背後の建物は、雨漏りを修繕する「上高地インフォメーションセンター屋根等改修工事」の足場で覆われている。新築からわずか18年で、全面足場を掛けるくらいの雨漏りですか…
GPSログ
区間 | 時刻 | 所要時間 | 標準CT |
上高地 - 徳沢 | 05:45 - 07:01 | 1時間16分 | 1時間50分 |
徳沢 - 横尾 | 07:01 - 07:49 | 48分 | 1時間10分 |
横尾 - 常念山脈稜線分岐点 | 08:06 - 10:59 | 2時間53分 | 3時間40分 |
稜線分岐点 - 蝶槍 - 稜線分岐点 | 10:59 - 11:35 | 36分 | |
稜線分岐点 - 蝶ヶ岳 | 11:35 - 12:01 | 26分 | 30分 |
上高地 〜 横尾 (登山道 上高地・槍ヶ岳線)
GPSログの記録では、5時45分に上高地を出発し、7時49分に横尾に到着で、所要時間は2時間4分。距離は10.2km、標高差は123m、歩行速度4.92km/hだった。
梓川沿いの遊歩道をひたすら歩くだけの、誰もが感じる退屈な区間。 治山運搬路を電動バスでも走らせてくれないかしらん。
5時45分 上高地のバスターミナルを出発。
およそ3分で河童橋の袂へ。
前穂高岳から奥穂高岳までの吊尾根は快晴だが、陽光は向こう側に当たっている。奥穂高岳から西穂高岳の間は雲に覆われている。
河童橋の左岸側を通過すると、すぐに小梨平キャンプ場に入る。2020年8月9日、テント泊していた人がクマに襲撃されたので、その後閉鎖されていた。そして、クマが出そうな笹薮を刈り取って、先週9月7日から再開している。
ここは登山者だけではなく、飲み食いして騒ぐために来る「観光キャンプ」の人たちも多く利用し、たちの悪いバーベキュー場と化していたらしい。 それで、クマの格好の餌場になってしまったのだろう。
小梨平キャンプ場を抜けると、ここから横尾までが梓川左岸の国有林の中を歩いていく自然探勝路(環境省の正式名称は、登山道 上高地・槍ヶ岳線)。 一般的には11kmと言われているが、GPSログでは約10kmほどだ。
上高地から横尾に向かう自然探勝路の入口に「上高地国有林」の看板
まもなく、明神岳(標高2,931m)を直下から見上げることが出来る開けた場所に出る。 朝日はまだ梓川の谷底までは照らしていない。
上高地と明神の間の自然探勝路から見た西穂高岳(雲の中)と明神岳
6時22分、上高地から約37分で明神を通過。
しばらく行くと、白沢に架かる徳本橋を渡るところで視界が開け、明神岳がきれいに見える。
橋をわたった所に、徳本峠への分岐点。 1933年に上高地までバス路線が開通するまでは、徳本峠を越える道がこの地域への主要経路だったそうだ。
車の轍が残る未舗装の自然探勝路を歩く。 所々にぬかるみがあるが、切り株で作った飛び石渡りなどがあり、泥の中に突っ込んでいく必要はない。
徳沢に着く少し前、自然探勝路は梓川ぎりぎりまで寄って視界が一気に開け、明神岳から前穂高岳(標高3,090m)までの稜線が一望できる。
梓川上流方向を眺めると、ちょうど南岳と常念岳の中間にある中山(標高2,492m)が見えている。
梓川の右岸には、ケショウヤナギ(化粧柳)の群落がある。 北海道の日高・十勝地方と、長野県の梓川上流部にしか自生しない「絶滅危惧種」だそうだ。
NHKの「北アルプスドローン大縦走」で、真冬に真っ白に雪化粧した中、ケショウヤナギが真っ赤に紅葉している姿が印象的だった。
7時01分、上高地から約1時間16分で徳沢に到着。
ここには、公衆トイレと水場がある。 先を急ぐので、ここでは立ち止まらずにさらに先へ向かう。
しばらく行くと、梓川に架かる新村橋(しんむらばし)がある。 涸沢に最短で行くパノラマコースは、この橋を渡るらしい。
横尾の少し手前、自然探勝路が梓川のすぐ脇に迫り視界が開ける。 奥又白谷側の前穂高岳が目の前に見える。
7時49分、横尾に到着。上高地から2時間4分かかった。 上高地から横尾までの間で、10人程度の登山者を追い越し、下山する数人とすれ違った。
ここでトイレに行き、ペットボトルに水を補給。
山荘の目の前にある横尾大橋を渡ると涸沢・穂高岳方面へ、ここまで来た道を直進して槍沢に沿って登っていくと槍ヶ岳。そして、今回登る蝶ヶ岳への道は、横尾山荘横から尾根を一気に登っていく登山道だ。
横尾 〜 常念山脈稜線の分岐点 (登山道 横尾・蝶ヶ岳線)
横尾で15分ほど休憩したのち、8時6分に出発。稜線の分岐点には10時59分に到着したので、所要時間は2時間53分。距離が2.73kmで、標高差は1,020m。 歩行速度はぐっと落ちて 0.945km/hだった。
蝶ヶ岳への登山口は、横尾山荘のすぐ北側にある。 この写真で、道の「太さ」が歩く人の数を如実に現している。 環境省が付けた登山道の正式名称は「横尾・蝶ヶ岳線」と素っ気ない。 しかし、『平成25年度 山岳環境緊急総点検事業 調査結果』によれば、施設は「健全」であるとされている。
2.73km進んで、1.02km登るので、傾斜角度は arctan(1.02/2.73) = 20.5度だ。%表記なら 1.02/2.73 = 37.4% となる。 建築基準法で中学以上の学校や商業施設の階段の傾斜が約35度なので、階段よりマシかな… と思っていると大きく後悔することとなる。
かなりの急登だ。
25分ほど登ると、槍見台のベンチ。ここから槍ヶ岳方向の視界が開け、槍の穂先が見える。
標高はおよそ1815m。横尾から170mほど標高が上がっている。
ここで、下山してくる登山者1名とすれ違った。
シラビソの樹林帯をひたすら登る。急角度になるところには、木製梯子などが取り付けられている。
槍見台から第2ベンチまでの登山道 : 急角度のところには木製梯子
とにかく、目の前の坂がどんな形であれ、登る以外にありません…
9時8分、第2ベンチに到着。横尾から約1時間2分、標高はおよそ2,020m 。やっと2,000mまで登ってきた…
木の根で急角度を登っていくのも結構疲れますが、これが下りだったらかなりめんどくさい道だろう。
第2ベンチから第3ベンチへの登山道 : 木製梯子と木の根階段
9時57分、「蝶ヶ岳まであと2km」の標識を通過。 この辺りの標高はおよそ2,310m。
第2ベンチから第3ベンチへの登山道 : 蝶ヶ岳まであと2km
10時13分、第3ベンチに到着。 名前と違って、付近にベンチらしきものは無い。横尾から2時間7分、標高はおよそ2,400mだ。
更に30分ほど登ると、樹林帯が終わりダケカンバなどの低木の茂みに入る。 横尾からここまでの間で、降りてくる登山者3名ほどとすれ違い、登っていく登山者を追い抜くことはなかった。
すぐ脇の茂みの中で、ガサゴソと音がする。 クマさんが潜んでいるのか… と思ったので、ザックの後ろに取り付けている熊鈴を手で持って鳴らしまくりながら登る。
ハイマツ帯に出ると、ガレ場となる。このあたりの地質は「砂岩優勢な砂岩・泥岩層」。槍・穂高が安山岩などの火成岩のガレ場なのとは、ちょっと雰囲気が違う。
ふり返ると、穂高連峰、槍ヶ岳が一望できる絶景。
稜線にたどり着くすぐ手前に、蝶ヶ岳まであと1kmの標識がある。
常念山脈の稜線にたどり着くすぐ手前に、蝶ヶ岳まで1kmの標識
10時59分、標高2,625mの常念山脈の稜線分岐点に到着。2時間53分かけて、標高差1,020mの急登を登ってきた。
常念稜線・横尾分岐点 〜 蝶槍
常念稜線・横尾分岐点からは、北アルプス南部の槍・穂高連峰が一望できる。 この絶景を左手に見ながら、蝶槍をめざして稜線上を歩いていく。
環境省では、この稜線の道を「徳沢・大天井岳線」という素っ気ない名称で呼んでいる。 表銀座パノラマ線とか、もっと親しみやすい愛称も付けてほしいものだ。
丘の安曇野側には三角点の石柱が、槍・穂高側にはケルンがある。
三角点のある丘に登ってくると、その北にある蝶槍が見えるようになる。そのはるか向こうには常念岳(標高2,857m)。
安曇野側の松本盆地からはガスが湧いていて、地上はほぼ見えない。
稜線を少し下って、蝶槍に登り返す。蝶槍はゴツゴツした岩山だ。
蝶槍の山頂では、夫婦なのか2名が食事中。 そして、常念岳のほうから、2名の男性がやってくるのが見える。
蝶槍 〜 常念稜線・横尾分岐点 〜 蝶ヶ岳ヒュッテ・野営場
超槍に登頂したのち、もと来た道を戻る。常念稜線・横尾分岐点を通り過ぎ、更に南へ。
常念稜線・横尾分岐点で男女の3名とすれ違い、その少し先で常念岳方面から来た2名に追い越される。
シャリバテで歩く速度がどんどん遅くなっていく…
このあたりが、多重稜線(二重稜線)になっていることがよく分かる眺めだ。そして、目的地の蝶ヶ岳ヒュッテの建物は(瞑想の丘に隠れていて)見えない。
12時ちょうど、蝶ヶ岳ヒュッテに到着。