もくじ
- 双六岳テント泊。鏡平で引き返す:準備
- 双六岳テント泊。鏡平で引き返す:その1 新穂高~林道終点
- 双六岳テント泊。鏡平で引き返す:その2 林道終点~鏡平
- 双六岳テント泊。鏡平で引き返す:その3 鏡平~新穂高,高山
左俣林道終点(小池新道 登山口)~ 秩父沢
標準コースタイムは、鏡平まで3時間30分、そこからさらに双六小屋まで2時間20分と書かれている。私の通常速度なら、それぞれ3時間・2時間といったところだろうか。
小池新道に入って数百メートルの区間は、崩落してきそうな谷の出口を横切る。落石注意の立て看板がいたるところにある。
標高1900m付近のイタドリヶ原では、種子をつけたイタドリは見かけなかった。標高が高いところでは、すでに種子が飛んだあとなのだろうか。
ノコンギク、シロヨメナ、イナカギクは似ているが、これは多分イナカギク。
花が茎の先端付近に密集して咲くのがミヤマアキノキリンソウ。まばらに咲いているのがアキノキリンソウ... らしい
奥抜戸沢から流れてきた岩が溜まったガレ場だ。
奥抜戸沢の末端、石畳涸れ沢を渡る。ここから先、秩父沢を渡る地点付近まで、奥抜戸沢の左岸側に巨石他堆積した自然堤防に沿って歩くことになる。
数人の登山者を追い抜く。その先で、奥丸山に隠れていた朝日から太陽光が登山道に当たるようになる。森が一気に明るく色づく。
7時26分 標高1580m付近で、登山道に太陽が当たるようになる
大きな岩のガレた道を登っていく。視界が開けると、はるか前方に槍ヶ岳が見える。
秩父沢の水が流れる音が段々と大きく聞こえるようになってくる。
大ノマ岳付近からガレた沢が下ってくる秩父沢。写真中央に、秩父沢出合の橋がかすかに見える
小池新道の入口から55分 標高差250mほど登って、秩父沢出合の渡渉箇所に到着。登山者が10人ほど、沢のほとりで休んでいる。
ここで顔を洗い、中には頭まで洗う人もあり、水を飲み、ボトルに水を詰めて出発していく。
渡渉箇所に架かる仮設の橋から見上げる秩父沢は、今にも崩れてきそうな雰囲気もあり、迫力がある。標高約2600mの大ノマ岳付近から、カーブを描いてガレた岩場が続いているのが見える。
ここ、秩父沢出合から見上げた景色には、全く紅葉の兆しはない。
秩父沢 ~ シシウドヶ原
秩父沢渡渉部で15分ほど休憩し、ミニ羊羹を1本食べて栄養補給した後に出発。
5分ほど歩くと、それなりの水量がある秩父小沢出合の橋を渡る。この沢は秩父沢の途中から分岐してきたものなので、おそらくここの水も飲めるレベルなのだと思う。
樹林帯が切れて草原のようなところに出ると、そこがイタドリヶ原と名付けられた場所。地方によっては、イタドリは若芽を山菜として食べるらしい。
植生図によれば、このあたりに生えているのはオオイタドリ。Webで検索すると、健康食品の材料としても使われるようだ。
イタドリヶ原を過ぎると再び樹林帯に入る。太陽光がきついので、樹林帯の影はありがたい。
樹林帯が途切れ、シシウドヶ原に出る。登山道脇の所々に木陰があるので、そこに座って休憩し、ビタミン入りゼリー飲料を飲む。
2000m付近まで登ってきても蒸し暑く、異様に汗が出て、まるで熱中症のような体調になる。
秩父沢の渡渉部より1時間10分、標高差360mほど登ってシシウドヶ原の休憩所(ベンチ)に到着。ここまで小池新道は弓折岳直下から伸びる谷を詰めてきたが、ここから先は鏡平に向かう谷を詰めていくことになる。
シシウドヶ原のベンチより左俣谷を見下ろす。西穂高岳から焼岳に続く稜線が一望できる
5分ほど休憩し、鏡平に向けて出発する。
シシウドヶ原 ~ 鏡平
ガレている谷底は、大ノマ岳直下より流れ下る秩父沢の本流。少し視野を左に転じると、笠ヶ岳方向に雲が湧き上がってきている
昨年の9月末に小池新道を通ったときは、標高2100mを越えたあたりより、見事に紅葉していた。今回は、全く紅葉の気配がない。青々と茂った真夏の雰囲気だ。
クマの踊り場まで来ると、紅葉なのか、夏枯れなのか、湿地の下草が茶色く枯れている。左手の弓折岳方向の木々は、葉っぱの先端が茶色く枯れているのが目立つようになる。 紅葉というよりは、枯れているという感じ...
小池新道の標高2200m付近。ミネカエデやダケカンバは葉っぱの先端が茶色く変色しているが、紅葉はしていない
シシウドヶ原のベンチより42分、標高差210mを登ってきて鏡池に到着。雲に覆われつつある槍・穂高連峰の稜線が一望できる。
槍・穂高連峰の稜線上空には、急速に湧き上がってきた雲が掛かり始めている。今はかろうじて主要なピークが見えているが、あと1時間も経てば雲の中だろう。
鏡平山荘で500mLで100円の雨水をペットボトル2本分給水し、ベンチに座って持参した昼食を食べながら、先へ進むかどうか考える。
今、10時なので、標高差300m登って弓折乗越の稜線合流点に到着するのが11時、双六小屋の野営地まで稜線を歩いて更に1時間なので、到着は12時。
到着時に雨が降っていて、テント泊を断念して引き返すと、新穂高に戻るのに6時間弱掛かるので18時になる。最終バスは16時55分発なので、間に合わない。
天気予報(数値予報)は更に悪化していて、雷雨の可能性がますます高くなっている。たとえ雨が降らなかったとしても、ガスガスで何も見えないところでテント泊したいかどうか...。
10分ほど考えを巡らせた結果、ここ鏡平で引き返すこととする。
登るはずだった小池新道の残り、弓折岳・樅沢岳の稜線を眺めてから、新穂高に向けて引き返す。