05 May 2018

六甲山系 摩耶山周辺トレッキング (森林植物園)

昨年秋に布引ダムからトゥエンティクロス経由で摩耶山に登った時に、訪問できなかった部分を歩いてきた。

昨秋2017年10月の記録
 『六甲山系 摩耶山トレッキング(新神戸〜布引ダム〜市ケ原)
 『六甲山系 摩耶山トレッキング(トゥエンティクロス〜徳川道〜上野道)

今回の目的は
 ・森林植物園はどんなところか
 ・生田川の最上部まで沢沿いに歩く
 ・徳川道の穂高池より先、六甲までを歩く

もくじ

・その1 『六甲山系 摩耶山周辺トレッキング (布引ダム 〜 トゥエンティクロス 〜 森林植物園東口)
・その2 『六甲山系 摩耶山周辺トレッキング (森林植物園)
・その3 『六甲山系 摩耶山周辺トレッキング (森林植物園東門 〜 シェール道 〜 杣谷道 〜 阪神大石)

ヤマレコの記録

神戸 森林植物園

新神戸駅前の登山口から歩いて1時間30分、トゥエンティクロスから森林植物園の東門に分岐する地点に到達。

第二次世界大戦前の1940年に開設された、歴史ある植物園だ。 しかし、山間部の不便な場所にあるのに、自家用車も普及していない時代にどうやって客集めしたのだろうか…

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森林植物園 東門に至る分岐点

布引ダム 越流堰からの放水量が少なかったことから推測できる通り、この付近の生田川上流部の水位も低い。 森林公園東門に至る「飛び石渡し」も完全に水面に顔を出していて、濡れずに余裕で渡ることが出来る。

東門には園内マップが掲示されているが、「北が上ではない、妙な角度を付けて描かれた」地図だ。園内の各所に掲示されている地図や、入口でもらえるパンフレットの地図も、「北を上にしない」変わった視点で描かれている。 訪問者に「迷え」と言っているようなものだ…

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公式Webページからコピペした地図(これは北を上にしたまっとうなもの)

生田川の支流沿いの谷間を歩いて行くと、長谷砂防堰堤がある。

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長谷砂防堰堤

国土交通省の看板があり、「高さ14.0m, 長さ48.0m,立積2549m^3,完成 昭和52年」とある。

さらに5分ほど、有料公園内とは思えない「山道」を歩いて行くと、長谷池のすぐ脇に「本物の東門料金所」があった。 入場料300円をここで支払う。

料金所の職員さんによれば、「今年は例年より早く花の季節が過ぎ去り、ツツジやシャクナゲの花は残骸状態。正門付近の西洋シャクナゲが満開。Webページで広報しているハンカチノキが満開」とのこと。

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長谷池

本来ならこの時期、東門入ってすぐの長谷池の周囲はツツジが咲いているはず。 しかし、今現在残っているのはモチツツジが少々。

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モチツツジ

長池の北岸に沿って歩いて行くと、池の西端がカキツバタ園になっている。もちろん、まだ季節が早すぎて、数輪の花が咲いている程度。

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長谷池のカキツバタ群生

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長谷池 湖畔のカフェ

登山道(トゥエンティクロス)から有料公園内に入ると、いきなりおしゃれなカフェです…

だだっ広い芝生広場があり、周囲は「植物園として整えられた木々」が取り囲んでいる。

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芝生広場

六甲山の登山道沿いに見られる樹木も、植物園なら名前の書いたプレートが付いている。

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ブナ (落葉広葉樹)

本州中部では標高500〜1500m付近のの中山帯に生えている、樹高30mに達する大木。北アルプスなどではよく見かけるが、六甲山にも生えているらしい。が、もうほとんど絶滅寸前とのこと。『六甲山に生育するブナの分布位置と個体サイズ』によれば、“2005年に六甲山を踏査し,ブナの分布と個体サイズを調査した.調査の結果,130個体のブナが確認された” とのこと。

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ハクウンボク (落葉広葉樹)

山地に生える木で樹高は15mほどになる。公園や庭木などにも植えられているので、そこらじゅうで見ることが出来る。ぱっとみたところ、オオカメノキと似た葉っぱの形をしているが、全く違う品種らしい。

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ウリハタカエデ (落葉広葉樹)

巨大な葉っぱは、秋に真っ赤に紅葉するのでかなり目立つとのこと。植物図鑑を見ると、ブナやミズナラの林に生えていて、園芸用として使われることはあまりないとのこと。

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ハンカチノキ

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オオデマリ

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ヤブデマリ(?)

品種名を書いたプレートがないため、おそらくヤブデマリ。 一つ上の写真のオオデマリは、このヤブデマリを園芸品種化したものだそうだ。

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クルメツツジ

森林植物園の正門の所に、展示館がある。

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六甲山の「登山の歴史」

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年表部分の拡大

・1867年 徳川道が竣工
・1895年 英国人 A.H.グルームが六甲山上に山荘を建てる(六甲山開祖)

このあたりが、六甲山登山の始まりでしょうかね。ただ、上野道・青谷道は天上寺への参詣道として江戸時代の『摂津名所図会』に掲載されていたそうだし、魚屋道も江戸時代頃より有馬と芦屋を結ぶ交易路として使われていたそう。 レジャーとしての登山ではなく、実用的な道としてははるか以前から六甲山に登る人は多かったということだろう。

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森林展示館の野生動物の剥製

キツネ、タヌキ、アライグマ… よりも、イノシシのほうがよく見かけるような気がする。

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カモシカ

シカではなく、ウシ(牛)属の動物。 飼育担当の係官がフェンスの中に入ってきても、逃げるでもなく、ペットのようにじゃれつくのでもなく、おっとりした動物のように見えた。

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日本林業技術協会の『森の野生動物に学ぶ101のヒント』によれば、“ブナ・ミズナラなどの比較的標高の高い山地を中心に、分布域が次第に拡大している。 とりわけ、1971年代以降、急速に拡大し…” とされ、いずれ六甲山地でも頻繁に見られる『幻ではない野生動物』になるのかもしれない。

コナラ広場のベンチに座り、昨日、近所のスーパーで1つ68円で購入したパンを食べる。

1時間ほど森林植物園を観て歩き、再び摩耶山方面への登山道、トゥエンティクロスに戻る。