梅雨入り前の晴れ間に、鵯越駅から再度谷まで六甲全山縦走路を歩いてきた。
午前中は気温25℃ 湿度70%という蒸し暑い条件の中、汗をかきまくって菊水山の急登をクリアし、下りは城ヶ越と呼ばれるヤセ尾根の岩場「神戸アルプス」があることも知らず、標高が低いちょろいハイキング道とナメていたので、結構良い運動になった...。
区間 | 時刻 | 所要時間 |
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神鉄 鵯越駅 〜 石井ダム直下 烏原川歩道橋 : 2.6km | 07:32 〜 08:04 | 32分 |
烏原川歩道橋 〜 菊水山 : 1.0km | 08:04 〜 08:32 | 28分 |
菊水山 〜 天王吊橋 : 1.3km | 08:32 〜 09:01 | 29分 |
天王吊橋 〜 鍋蓋山 : 0.9km | 09:01 〜 09:26 | 25分 |
鍋蓋山 〜 七三峠 林道合流点 : 0.8km | 09:31 〜 09:44 | 13分 |
七三峠 林道合流点 〜 猩々池 : 1.0km | 09:44 〜 09:57 | 13分 |
猩々池 〜 元町駅前 快活CLUB : 4.3km | 10:12 〜 10:59 | 47分 |
元町駅前 快活CLUB 〜 南京街 〜 元町駅 : 0.8km | 11:35 〜 11:45 | 10分 |
■ 阪神本線 大阪梅田駅 06:37発 → 新開地駅 → 神戸電鉄 鵯越駅 07:27着(運賃 710円)
この経路は、阪神元町駅から新開地を経由し神鉄湊川駅の間が「神戸高速線」という別会社なので、3社を経由した高額な運賃となる。
神戸高速線(Wikipedia)より抜粋
乗り入れ4社が第二種鉄道事業の路線名として共通で申請した路線名が「神戸高速線」である。運賃設定にあたっては乗り入れ4社が各社の他路線と独立した運賃体系
新開地駅で乗り換え。阪神線のプラットホームから階段でコンコースに上がり、直角に交差している神鉄線の頭端式ホームへ。出発間際の普通列車に乗り込む。乗り継ぎ時間2分というのは、駅構造を知っていて乗車する車両を階段近くにしている通勤客向けなのだろう。
標高約150mの鵯越駅で下車。
源平合戦(治承・寿永の乱)の一ノ谷の戦いで、義経率いる源氏側がこの谷間を通って福原(新開地あたり)に向かって押し寄せたという、歴史の舞台だ。
一ノ谷の戦い (Wikipedia)
迂回進撃を続ける搦手軍の義経は鵯越(ひよどりごえ)で軍を二分して、安田義定、多田行綱らに大半の兵を与えて通盛・教経の1万騎が守る夢野口(山の手)へ向かわせる(後述)。義経は僅か70騎を率いて山中の難路を西へ転進した。
難路をようやく越えて義経ら70騎は平氏の一ノ谷陣営の裏手に出た。
精兵70騎を率いて、一ノ谷の裏手の断崖絶壁の上に立った義経は戦機と見て坂を駆け下る決断をする。
神鉄 鵯越駅 〜 石井ダム直下 烏原川歩道橋 : 2.6km
六甲全山縦走路は、鵯越駅の新開地方面プラットホームの脇を進む
駅の横から、烏原貯水池に流れ込む川(水路)に沿った山道を歩く。川(水路)の対岸には舗装道路もあるが、標高差なくショートカットしている山道のほうが、断然オススメということなのだろう。
イヤガ谷川(水路)に沿った山道を500mほど進むと、本来の舗装道路に合流する
150mほど進むと水道局のポンプ場。
舗装道路を順調に進んでいくと、高架道路(山麓バイパス)に合流してしまう。道を間違えている。本来は、水道局のポンプ場を過ぎたところで右側の山道に入り、階段を降りる。
この道は、下水処理場の正門に続く道だ。
結局、ややこしい分岐を何箇所か通過し、山道を歩いたりしたが、鵯越駅から下水処理場に向かう舗装道路を素直に進んできたほうが楽だったのかもしれない。
Webで見ることができる神戸市役所のパンフレットによれば、「生物反応槽+砂ろ過+オゾン処理」という最新鋭の高度処理設備とのことだ。電気代掛かるけど、ちゃんと処理できていれば水道水並みの「きれいな」排水が川に放出されているはずだ。
正門前には、下水道の最大の売り「トイレあります」の看板が掲げられている。登山道は正門と逆側の舗装道路を進んでゆき、車止めがある。
鈴蘭台処理場の横を回り込んだ先の車止め。登山道は右側の道に続く
2005年に廃止された神鉄 菊水山駅の横を通過する。登山道横の、見上げるような崖の上にプラットホームの鉄骨材が見えている。
1日乗降18人、営業休止13年... 神鉄の「秘境駅」がついに (産経新聞)
2018/3/15
神戸電鉄は14日、利用客数の増加が見込めないとして、営業休止中だった有馬線菊水山駅(神戸市北区山田町下谷上)を23日付で廃止すると発表した。
同駅は昭和15(1940)年10月に開業。鵯越-鈴蘭台間の六甲山中に立地し、ハイキング客や市下水処理施設の職員らが利用していた。しかし、周辺に民家は少なく、乗降客数は減少。平成17(2005)年3月26日に営業を休止した。
当時の1日の平均乗降客数は18人。開業当時から無人駅で、営業休止以降は山中にあることから「秘境駅」として知られていた。
菊水山駅跡付近から、鉄塔のある菊水山の山頂が見えた (標高約170m)
しばらく行くと、烏原川を渡る歩道橋があり、そこから石井ダムの堤体がチラッと見える。橋を渡ると菊水山の登山道が始まり、急傾斜の坂道となる。
烏原川歩道橋 〜 菊水山 : 1.0km
菊水山の登山道を登り始めてすぐに、苔むしたベンチが並んだ休憩所がある。
菊水山の山頂まで、延々と階段が続く。
山頂直下の登山道から、神戸市東部の市街地が一望できた (標高約410m)
今日の天気予報は「晴れ」だが、兵庫県南部の内陸には午前中に雲が掛かっている。菊水山から見る神戸市街地は、その雲の端っこが切れ切れに写っている。それに、湿度が高くかなり霞んでいる。
衛星写真と同じく、神戸沖の大阪湾上空はきれいに晴れているようだ。
菊水山の山頂に到着。ここまで、すれ違った登山者はゼロだったが、山頂には鈴蘭台から登ってきたと思われる高齢男性が2人居た。
大きな鉄塔が2つ立っていて、左側は兵庫県防災行政無線 菊水山無線中継所、右側はNTT菊水山無線中継所。左側の鉄塔の下は、展望台として登山者に開放されている。
この展望台からは西側の展望が開けていて、六甲山地の西端までの山並みが一望できる。
湿度が高く霞んでいるが、かすかに明石海峡大橋も見えている。
菊水山から西方向の眺め (須磨区〜六甲山地西端〜瀬戸大橋〜鈴蘭台)
数分間 景色を楽しんだ後、休憩無しで下山し鍋蓋山に向かいます。
菊水山 〜 天王吊橋 : 1.3km
菊水山からの下り道は、前半はなだらかに下っています (標高440m付近)
鈴蘭台への分岐点があり、距離は2.0kmと道標にかかれている。鵯越駅から菊水山までGPSロガーの実測で3.6kmだったので、鈴蘭台駅のほうが近い。(ただし、大阪から行くときは電車の運賃が100円高い)
鈴蘭台への分岐点。直進方向の鍋蓋山へは1.8km、再度公園までは3.0kmと書かれている
なだらかに下っていくと、左右が切れ落ちた馬の背の岩場に出る。城ヶ越(じょうがこし)とも、神戸アルプスとも呼ばれる六甲山の名所だそうだ。
こういう場所があると知らず、菊水山の登りのときのような階段道と思っていたので、嬉しい驚きだった。全く想定外のいわば出現だったので、トレッキングポールを持ったまま、ちょっと不安定に下った。
城ヶ越(神戸アルプス)。左前方には鈴蘭台の住宅街が見えている (標高約400m)
標高400m地点から300m進む間に130m下る、傾斜角度23度の激下りだ。
城ヶ越(神戸アルプス)。尾根の岩場を下る。ロープが張られているが、下りで使うことは無かった
岩場を下り終えると、木々に囲まれ薄暗くて涼しい長坂堰堤のダム湖の畔に出る。低音のカエルの声が、涼しさを増している。
天王谷川と国道428号の上空を横切る天王吊橋を渡る。登山道のためだけに、大掛かりな吊橋を造ってくれてありがたい。
天王吊橋 〜 鍋蓋山 : 0.9km
天王吊橋を渡ったのち、鍋蓋山に登り返す (標高260m付近)
この登り返しも、かなりの急坂だ。
鍋蓋山の山頂に近づくと、なだらかな山道になる (標高450m付近)
山頂の広場には大きな蜂が飛び回っている。人を刺さないと言われるクマバチと、それより一回り大きなオレンジ色の蜂が、互いに縄張り争いをして追いかけ合いをしている。
山頂付近に長居は禁物だ...
鍋蓋山の山頂広場から、一段下がったところにベンチなどが並んでいる
鍋蓋山からは、南向きの眺望が開けている。ポートアイランドや空港、長田区あたりが見えている
鍋蓋山 〜 七三峠 林道合流点 : 0.8km
鍋蓋山の山頂から六甲全山縦走路を降りていくと、すぐに七三峠への道が分岐する。
七三峠に降りていく登山道。それなりに通行量があるのか、笹薮が除草されている (標高450m付近)
先程通ってきた山道の七三峠の道標の直下を、林道のトンネルが貫いている。ただし、そのトンネルは通行止めになっていて、自動車は峠の向こう側に抜けることはできないようだ。
通行止めになっている方向と、逆方向へ林道を歩いていくと、原木椎茸の栽培農場がある。道は栽培場の門の中へ続いていて、歩行者用の迂回路がフェンス越しに作られている。
二本松林道はシイタケ栽培場の中へ。私有地・立入禁止の看板がある
2023年の5月、森林植物園に向かうときにここを通った記憶がある。その時は、しいたけ栽培場の向こう側のフェンス越しの迂回路を通った。
大口径の望遠レンズを携えた何人かの愛鳥家とすれ違う。このあたりには、珍しい野鳥が居るのだろう。
原木椎茸栽培場から700mほど歩くと猩々池(しょうじょういけ)がある。
ここで昼食を食べることにする。
昼食 (トースターで一気に作った、ピーナツバター トースト、焼き竹輪、焼きインゲン)
猩々池 〜 元町駅前 快活CLUB : 4.3km
兵庫県庁の横を通りすぎ、三宮方向に少し歩くと神戸栄光教会がある。登山のときに早朝に通ることばかりだったので、きょうは日差しを浴びたレンガ造りの教会を見ることができた。
教会の横を通り、この道をまっすぐ進むと三宮に出る。三宮駅前の快活CLUBが店舗改装で臨時休館なので、きょうは元町駅の横にある快活CLUBを目指す。
JR山陽線の高架下をくぐり抜ける。
再整備進む神戸・元町高架下、「モトコー」 (読売新聞)
2023/09/18
モトコーは戦後の闇市が起源とされ、東西約1・1キロ、1~7番街の7区間に古着や輸入雑貨の店、エスニック料理店やカフェなどが並んでいた。国内外の多種多様な商品が集まり、レトロな雰囲気で人気を集めた。だが、高架橋の耐震補強や防火対策のため、2018年にJR西日本が再整備を始めた。現在は3街区(旧3番街)、7街区(旧7番街)で、再整備が終わった一部区画の店舗が開業している。
登山の後、水分と栄養を補給するために、ソフトクリームの食べ放題はありがたい。「飲み放題カフェ」30分で210円は、ありがたい価格設定だ。
中華街(南京町)の西端から東方向。平日お昼はかなり空いている
小籠包セット 980円、ミニラーメンセット 1,080円など、普通のお昼の定食的なメニューもあるようだ。神戸はインバウンド公害に毒されていないので、まだまだ日本人向け価格の範囲内のようだ。
4月末に南京町に来たときには、修学旅行や遠足の学生で大混雑していた。6月になり、例年なら梅雨入りしているこの時期は、修学旅行などが減ってこの街を訪れる客数も激減するのだろう。
約300mの南京町を歩ききり、東端の長安門でメリケンロードに出る。
■ 阪神本線 元町駅 11:57発 → 尼崎駅 → 野田駅 12:34着 (運賃 320円)