24 September 2023

立山 テント泊:その1 立山登山

秋雨前線が通過し一瞬の好天となった9月24日(日)~25日(月)に、急遽「立山1泊2日テント泊」に出かけた

立山黒部アルペンルート社のWebページでは「室堂では草紅葉が見頃」だそうで、期待が高まる

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「たった1日の秋の快晴」に恵まれた、絶好のテント泊山行きだった

もくじ

立山 テント泊:事前準備
立山 テント泊:その1 立山登山
立山 テント泊:その2 雷鳥沢テント泊
立山 テント泊:その3 富山城
・ヤマレコの記事 立山(雄山・大汝山、雷鳥沢テント泊)

予算

実際に掛かった全ての経費

バス 大阪→富山7,000 円
バス 富山→室堂4,800 円
コインロッカー 室堂ターミナル300 円
雄山神社 祈祷料700 円
雷鳥沢野営場 膜営料1,000 円
アルペンルート バス・ケーブル・鉄道 室堂→富山5,320 円
コインロッカー 富山駅400 円
昼食 サイゼリヤ ランチ+ドリンクバー600 円
鉄道 富山→大阪福島(大阪市内)8,960円
合計29,080 円

※ 持参したドライ食料等(約1,000円分ほど)は除く

交通費の考察

JRが発売している「立山黒部アルペンきっぷ」を使えば、北陸線経由で単純往復の場合26,940円、今回の旅行で使った交通費は室堂までしかアルペンルートを利用していないにもかかわらず26,080円。次回から、このコースをたどる場合は「立山黒部アルペンきっぷ」を考えよう...

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GPSログ

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区間 時刻 所要時間
室堂 〜 一の越 09:23 〜 10:01 38分
一の越 〜 雄山 社務所前 10:01 〜 10:39 38分
雄山 社務所前 〜 大汝山 11:04 〜 11:20 16分
大汝山 〜 雄山 社務所前 11:31 〜 11:44 13分
雄山 社務所前 〜 一の越 11:57 〜 12:28 31分
一の越 〜 室堂 12:28 〜 13:01 33分
室堂 〜 雷鳥沢野営場 13:42 〜 14:19 37分

大阪から富山駅経由、室堂へ

■ 阪急バス 大阪梅田 21:50発 → 富山駅前 05:45着 (運賃7,000円)

富山行きの夜行バスは、出発5日前にWebで偶然見つけたキャンセル席を予約したもので、今回は運が良かった

大阪を出発したバスは京都を経由し、23時55分から10分間ほど草津SAでトイレ休憩。ここはコンビニとフードコートが24時間営業している

富山県に入り、最初の停留所である砺波駅のほんの少し手前、小矢部川SAで長時間の運転停車をして時間調整(乗客は降りることができない)

終点の富山駅前のバス停には、定刻の5分前に到着した

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大阪発の高速バスが、富山駅 CiCビル前に到着した

富山駅での室堂行きバスとの乗り継ぎ時間は45分。その時間を利用し、富山駅の路面電車乗り場横にある公衆トイレ(多目的トイレ)で、登山用のコンプレッション保温タイツを着用

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富山駅前の2番バスのりばより、地鉄バス室堂行きに乗る

■ 富山地鉄バス 富山駅前 06:30発 → 室堂ターミナル 09:05着 (運賃4,800円)

バスは予約客で満員。富山市役所前から、予約無しで乗車しようとした客が断られていた

乗客のほとんどは高齢者。まるで、老人ホームの旅行のような感じだ

隣の席の老人は、車内でもトレッキングポールをたたまずに伸ばしたままで、ポールが私の方にもろに倒れかかってくる。迷惑だから畳んでくれと丁寧にお願いしても、調節の仕方がわからないとしらばっくれていた。さすが、迷惑老人...

出発から50分後、あるぺん村という観光施設の駐車場で15分のトイレ休憩。しかし、観光施設は営業時間外で早朝に使えるトイレも無いため、なんのための休憩停車なのだろう

あるぺん村を出ると、バスは富山平野から常願寺川に沿い山岳地に分け入っていく。地鉄の立山駅の横を通り過ぎてしばらく行くと、立山有料道路の料金所。ここから先は一般車が乗り入れできない

バスの運転手のアナウンスで、この有料道路の往復料金は48,000円(+消費税)と高額だとのこと。確かに、NEXCOの高速で同程度の距離なら4,000円弱なので、山岳料金恐るべし...

カーブを曲がるごとに100mの標高を稼ぐつづら折りの道を登っていくと、ケーブルカーの美女平駅前。ここから先はアルペンルートの路線バスも室堂まで走っている

高度が上がるにつれ、杉林(この付近のものはタテヤマスギ)、ダケカンバの林と移り変わり、標高1800m付近で森林限界を超えて池塘が点在する弥陀ヶ原。このあたりに来ると少し紅葉が始まっていて、ナナカマドが赤い実を付けている

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立山有料道路の標高1800m付近から見る薬師岳方向

どっしりとした薬師岳を見ながら、「七曲り」と名付けられたつづら折りの道を登っていくと、池塘が点在する弥陀ヶ原を一望できる。写真撮影ポイントになると、バスは徐行してくれる。さすが観光路線だ

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標高1,800m付近に広がる弥陀ヶ原湿原。はるか右向こうには富山市街地が見える

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室堂行バスの車窓から、剱岳が間近に見える

バスは定刻より5分ほど遅れて、9時05分に室堂ターミナルに到着

コインロッカーにテント泊装備のザックを預け、登山時に背負うのは、防寒用のレインコートとナルゲンボトル1本を入れた1kg弱のアタックザックのみ

ロッカーは50リットルザックがぎりぎり入るサイズの300円と、70リットルくらいのが入りそうな400円のがあるが、400円の区画は全て使用中。300円のが5区画くらい空いていた。私の次からも数人がロッカーを使いに来ていたので、10時前には全て使用中になる勢いだ

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室堂ターミナルのコインロッカー(300円と400円のがあり、見えている分が全て)

トイレを済ませたのち、ターミナル前の湧水でナルゲンボトルに給水

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室堂ターミナルの前にある「立山玉殿の湧水」で給水する

「立山玉殿の湧水」の石碑より
この水は中部山岳国立公園立山連峰の雄山の直下から湧出する地下水です。 この地下水は、立山開山の故事にみられる「玉殿の岩屋」がある室堂一帯に潤いをもたらしてきましたが、昭和43年、立山トンネルの開通によりその一部が湧出したものです。
その水量は、毎分約15m^3にのぼり、水温も2〜5℃と極めて冷たく、霊峰立山の水として多くの登山者や観光客に愛飲されています。
昭和60年3月、環境庁の「名水百選」にこの湧水が選定されました。

室堂 〜 一の越 〜 雄山 : 2.5km 76分

9時23分、室堂ターミナル前より登山開始

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室堂ターミナル前の「中部山岳国立公園 立山」石碑

室堂が標高約2,430mで、立山最高峰の大汝山が3,015m 。3,000m峰といっても、標高差585mの登山で、大阪なら標高642mの生駒山に登る程度のものになる

なんといっても、スタート地点が森林限界より上なのだ

それにしても、室堂付近で見かける大量の老人登山者(観光客?)は「ビシッと決まった登山用品」で身を固めている。標高差600mをサクッとピストン登山するのに、30リットルや40リットルのザックに何をたくさん入れて重そうに担いでいるのか、全く不思議だ...

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室堂ターミナル付近の遊歩道と、右向こうに見える立山

一の越までは、わざと岩を飛び出させた凸凹コンクリート舗装の遊歩道を、ゆるゆると登っていく

周囲は草紅葉して、黄色や赤に染まっている

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標高2,450m付近から見た、一の越のコルに続く登山道(遊歩道)

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標高2,550m付近から振り返る。谷底には雷鳥沢野営地のテント群が見える

標高2,550mを超えたあたりから、小さな尾根の向こうに雷鳥沢野営場が見えてくる。カラフルな幾つものテントが見える。写真上で数えたら約160張で、最大設営数の300張まではまだだいぶ「余地」がある

紅葉の季節の週末には野営場が大混雑し、トイレが長蛇の列という噂もあるところだ。昨日が霧・小雨という悪天候だったので、それほど沢山の人が来なかったのだろう

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室堂から約35分で、一の越のコルに到着

ここまで、登山というよりなだらかな公園の遊歩道を楽しく歩いてきた感じた

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コルには、一の越山荘がある

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一の越から東方向。黒部川の谷の向こうに裏銀座の稜線。野口五郎岳があり、その向こうには槍ヶ岳

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見えている主な山の名前を記入してみたのがこちら

ぎりぎり右端に、笠ヶ岳が見えている。裏銀座の稜線の向こうには、餓鬼岳、燕岳から大天井岳に続く表銀座の稜線が見えている

なかなかの景色だ

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一の越から雄山に向かう岩稜の稜線。登山道には登りが赤・下りが黄のペイントがされている

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一の越から雄山へは、延々と観光客が渋滞している

素人の観光客を大量に連れてくるツアー会社があるから、こんなひどい状態になっている。これもオーバーツーリズム、観光公害の一種だろう

追い抜くところもほぼ無いため、ノロノロ登ることで余計に疲れる...

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一の越から雄山へ、中間地点付近(標高約2830m)から振り返って撮影。一の越山荘が眼下に

さきほど一の越から見えたのに比べると、笠ヶ岳の右側に黒部五郎岳と薬師岳が新たに見えるようになっている

手前右の岩峰は立山連峰から南へ続く稜線上の竜王岳

うんざりするくらいの観光客の渋滞に巻き込まれ、ノロノロと登っていく。一の越から35分で雄山の社務所前、一等三角点のある場所に到着

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雄山の山頂にある雄山神社の社務所が見えてきた

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雄山の一等三角点(標高2991.6m)

三角点の場所は、まだ3,000mには到達していない。雄山の真の山頂は、すぐ北隣に見えている雄山神社の祠がある場所

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社務所前より北方向、ひときわ高い岩峰のトップに雄山神社の峰本社がある

鳥居の奥にある岩峰、そこにある真の山頂を踏むには雄山神社の登拝料700円を支払って祈祷を受ける必要がある

ちなみに、雄山神社のWebページによれば、本日24日で祈祷受付は終了(夏山シーズン終了)とのことだ

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雄山神社の峰本社前より、社務所や一等三角点方向を見下ろす。地平線のずっと向こう、中央付近に白山が見える

手前右のオレンジ色の装束の人は、雄山神社の神主さん

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雄山神社 峰本社の横にある山頂石碑(標高3003m)

左側に剣岳、中央に立山の最高峰 大汝山が見えている

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雄山の山頂より西方向、室堂・雷鳥沢野営場、地獄谷、その向こうに奥大日岳・大日岳、はるか向こうに富山市街地

雄山 〜 大汝山 : 0.4km 16分

雄山の社務所と鳥居の間より、(立山最高峰の)大汝山へ向かう縦走路が分岐している

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雄山から大汝山に向かう道。左手には剣岳が見えている

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雄山から大汝山へ、ギザギザの稜線を進む

雄山から15分歩いて、大汝山の山頂に到着。こちらの登山道は、雄山までのように観光客で大渋滞ということはなかった

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大汝山の山頂(標高3015m)

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大汝山から北方向。大汝休憩所があり、向こうには立山の3つ目の山頂富士の折立。稜線ははるか向こうの剱岳に向かって続いている

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大汝山から東方向。黒部湖と、その向こうに後立山連峰。中央付近が針ノ木岳

大汝山 〜 雄山 〜 室堂 〜 雷鳥沢野営場

立山の最高峰を踏んだので、今夜のテント設営場所の雷鳥沢野営場に向かう

大汝山から真下を眺めると、雷鳥沢野営場にたくさんのテントが設営されているのが見える。はたして、ちゃんと場所が空いているのか...

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大汝山から雷鳥沢野営場方向を見下ろす

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雄山に戻る途中、大汝山の方向を振り返って撮影

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雄山の社務所前より。峯神社の岩峰が左端に、そこから右へ後立山連峰の白馬岳、鹿島槍ヶ岳が見えている

後立山連峰の右端に、雲に巻かれつつある爺ヶ岳がかろうじて見えている。去年の今頃は、爺ヶ岳の山頂からこちらの立山方向を眺めていた

日陰になった社務所のベンチで、昼食。カロリー数などを計算して持ってきた、どら焼き、ゼリー飲料アミノバイタル、イオンのプロテイン ブロックを食べる

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雄山から一の越へ下る。登り方向の観光客の渋滞は少しマシになっているが、今度は下り方向の渋滞が始まっている

結局、観光客は朝9時頃に一気にやってきて、ほんの短時間だけ渋滞を引き起こしているのだろうか。そうならば、ツアー登山の午前中禁止などの措置をとってほしい

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観光客に踏み荒らされた登山道の岩陰に、イワツメクサが咲いていた

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一の越から室堂へ降りる道中。周囲は草紅葉の見頃

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ヤマハハコ

大汝山から1時間20分(昼食の休憩10分除く)で、室堂まで下山。今日のピストン登山の所要時間は、登りが1時間25分、下りが1時間20分の合計2時間45分だった。これが「サクッと3,000m峰」の登山時間