ヤマレコで「大麻山(おおさやま)」の登山記録を検索すると、琴平から善通寺に向けて歩く記録がほとんど。それらの記録によれば、大麻山から善通寺に向けて降りる登山道は急傾斜で滑りやすく、下山ルートとしては厳しいとのこと。
今回は、善通寺から琴平へ抜けるコースで歩くこととする。
もくじ
ヤマレコの記事 『 大麻山・金刀比羅宮(善通寺IN、琴平OUT)』
JR 善通寺駅 〜 善通寺 東院 | 07:00 - 07:14 | 14分 |
善通寺東院 〜 林道・バリエーションルート分岐(登山口) | 07:14 - 07:53 | 39分 |
林道・バリエーションルート分岐(登山口)〜 工兵道・林道合流 | 07:53 - 08:22 | 29分 |
工兵道・林道合流 〜 林道の山頂ゲート | 08:22 - 08:31 | 9分 |
林道の山頂ゲート 〜 大麻山園地(展望台) | 08:31 - 08:42 | 11分 |
大麻山園地(展望台)〜 大麻山 | 09:06 - 09:09 | 3分 |
大麻山 〜 龍王社 | 09:14 - 09:26 | 12分 |
龍王社 〜 奥社 | 09:26 - 09:50 | 24分 |
奥社 〜 金刀比羅宮 本宮 | 09:50 - 10:11 | 21分 |
金刀比羅宮 本宮 〜 大門 | 10:11 - 10:25 | 14分 |
大門 〜 セルフうどん「いわのや」 | 10:25 - 10:40 | 15分 |
セルフうどん「いわのや」〜 琴電琴平駅 | 10:52 - 10:58 | 6分 |
合計所要時間 (休憩時間を除く) | 197分(3時間17分) |
神戸からジャンボフェリーに乗り高松に到着、そして最速で乗り換えたのが06:08発の快速マリンライナー。
早朝なのに、通勤客で座席が半分以上埋まっている。四国から岡山に通勤する人が多いようだ。
■ JR 予讃線 高松駅 06:08発 → 坂出駅 → 善通寺駅 06:48着 (運賃770円)
JR四国からは2週間後の5月20日には「大幅値上げ」が予告されていて、770円から850円になるそうだ。 JR四国の「線区別収支と営業係数の公表」では全路線が営業係数100以上(100円稼ぐのに、100円以上のコストがかかる)の赤字。今回乗る予讃線は122、土讃線は158なのだから、1割位の値上げは仕方ないと言えるのかも知れない。
善通寺駅で下車。 ビジネスアワー以外は無人駅なので、車掌が下車した乗客の切符をプラットホーム上で回収しなければならない。4両編成の各扉から、バラバラに降りる客を捕まえるために、走り回っている車掌の運動量は相当なものだろう...
駅舎は1889年に建てられたものが今も使われており、日本で2番めに古い駅舎だそうだ。
善通寺駅 〜 林道・バリエーションルート分岐(登山口): 4.6km 54分
駅前通りを1.2kmほどまっすぐ行くと、善通寺 東院の五重塔の横にでる。駅前通りが「善通寺伽藍を基点とする町のグリッド」に対して通り2本分(160mほど)ずれているので、実際にはまっすぐ行って右に曲がる必要がある。
150年前の先人たちは、なぜ駅を寺の正面軸からずらした位置に作ってしまったのだろう...。駅が街の外れにあるのも「異文化嫌い」「鉄道嫌い」で先見の明のなかった明治時代のムラ社会のなせる技だ
善通寺の駅前通り(県道209号線)と、正面に見える香色山・筆ノ山
駅から10分ほど歩くと、善通寺東院の赤門(東門)前に到達。 拝観料は無料なので、中を通り抜けることができる。
善通寺は、平安時代に空海の父である佐伯田公が創建したとされる。佐伯田公の諱が善通(よしみち)だから、善通寺と命名されたとされる
金堂の前には子授修行大師と呼ばれる、子供を抱き上げた薬師如来石像(子授修行大師)が立っている。その金堂は江戸末期の1699年に建てられたもので、中には薬師如来が祀られている。
南大門を出て、大麻山に向かってまっすぐ南南東に続く通り(通称「ゆうゆうロード」)を歩いていく。
迷彩服を着てスクーターや自転車に乗る人に次々と追い抜かされる。
マニアックなファッションの人が多いのではなく、よくみるとホンモノの自衛隊員だ。そういえば、駅を出てからここまで自衛隊員以外の一般人を全く見かけない。チャイルドシートに幼児を乗せたマウンテンバイクで爆走する自衛隊員も居る。ただし、子供は迷彩服ではない。
通勤客がすべて迷彩服の人たちばかりで、この町の主要産業が「自衛隊」だと感じる。
善通寺南大門から南南東に延びる通称「ゆうゆうロード」。自衛隊駐屯地前付近から大麻山を眺める
迷彩服の隊員が次々と入っていく善通寺駐屯地の正門前からは、五岳山のうち我拝師山、筆ノ山、香色山が真正面に見える。
陸上自衛隊 善通寺駐屯地の正門と五岳山(我拝師山、筆ノ山、香色山)
陸軍第11師団司令部跡の石碑
駐屯地(旧司令部跡)の一部は駐屯地資料館(通称「乃木館」)という展示施設で、残念ながら開場時間が9時だから見ることができない。(いまは、7時30分)
芝生広場に61式戦車、75MSSR(75式ロケット弾発射機)、60式装甲車などが逆光の中の薄暗い木陰に停車しているのが見える。撮影した写真を画像補正すれば、次のようにはっきりと車種がわかる。
善通寺駐屯地資料館の屋外展示車両を、画像補正で見えやすくしてみた
どれも古い装備品で、かろうじて現行装備なのは74式戦車くらいか。
現在の駐屯地施設、かつての第11師団の歴史的建造物、職員などが住んでいるマンション(官舎)などが建ち並んでいる地区を通り過ぎると、大麻山に向かって徐々に標高が上がってくる。
標高70mの樽池までやってくる。
池の畔にハイキングマップが立てられていて、ここが大麻山に向かう2通りのハイキング道(チェリーラインとグリーンライン)が分岐する地点のようだ。
きょうの登山は、チェリーラインを途中まで歩き、そこから尾根を直登する近道を通る予定。案内板の地図では「①から工兵道入口」までがこの近道にあたる部分だ。
近道を通ることで、ここ(樽池)から山頂まで 5.6km のところ、2.6km と大幅に距離が短くなる。
ただし道がかなり荒れていたので、緩やかな舗装林道を駆け上がったほうが快適だったのかも知れない...
「チェリーライン キャンプ場へ。入口・終点」の標識がある樽池の畔
舗装された林道を1.5kmほど歩くと、林道から近道(地理院地図には描かれていないバリエーションルート)が分岐する場所に到着。先程の総合案内板では①とされている地点。
チェリーラインの林道から、近道(バリエーションルート)が分岐する地点。階段の右下に、朽ちた私設標識がある (標高約170m)
どうみても、この登山道(近道)は日常整備すらされていない雰囲気感が出ている
林道・バリエーションルート分岐(登山口)〜 工兵道・林道との合流点: 0.9km 29分
チェリーラインの林道から近道(バリエーションルート)が分岐する地点の私設標識
標識は朽ち果てて、何が書いてあったのかも不明だ。この道には入ってほしくない感が漂ってくる
「近道」の中間付近の標高300m付近までは、なだらかな尾根道だ。一定間隔で農水省が立てた標識柱があり、道迷いは起こりにくいだろう
チェリーライン近道の標高300m付近より傾斜がきつくなり、鎖場のトラロープが出現する
上の写真の右側に見えるのが、トラロープ
チェリーライン近道の票高360m付近。道が不明瞭となるが、なんとかつづら折りの踏み跡をたどる
登山道を歩くというより、ほとんどよじ登るという感じになる。
天気の良い日なら楽しいアスレチックだが、これを雨天や下山時に通るのは、滑落の危険性が高いだろうと感じる
標高420m付近で登りは一旦終了し、150mほど斜面をトラバースする水平の道となる。落ち葉で滑りやすく、道もほとんど消えかけの状態で、滑落せずに歩くのに苦心する
道と思しきルートは傾き、落ち葉で滑りやすく、前に通った登山者が少々滑った踏み跡が各所に残る
150mほど歩くと、再び急登が少しだけあり、いきなり工兵道の疑木の手すりが出現する。
チェリーライン近道が工兵道に合流する地点。近道は手すりの横から急傾斜の斜面に続いている (標高460m付近)
すぐ右手を見ると、林道が見える。
工兵道・林道との合流点 〜 林道の山頂ゲート: 0.5km 9分
再び舗装された林道をゆるゆると登っていく
しばらく行くとフェンスで道が閉鎖されている。桜の季節だけ、車が山頂直下の駐車場まで行くために、一般開放されるようだ。
林道・チェリーラインの山頂ゲート。桜の季節以外は閉じているので、左の山道に入る
しかしながら、善通寺側からの登山ルートには登山者向けの標識がほとんどない。山頂ゲートのところにも、「猪が出ます」の標識以外、ルートを示すものは何もない。
林道の山頂ゲート 〜 大麻山園地(展望台): 0.4km 11分
山頂ゲートから登ってくる道(左側)と、工兵道からの近道と思われる踏み跡(右側)。目印として石積みケルンがある
山道を登っていくと、いきなり目の前が開けて芝生広場となった所に展望台がある。
展望台からは丸亀平野が一望できる絶景が広がっている
展望台の手すり内側には温度計が掛けてあり、今の温度は17℃と、登山にはちょうど良いコンディションだ。
山頂付近は大麻山園地という「公園」となっていて、案内図が立てられていた。
昼食 (山崎 デニッシュブレッド マイルド レーズン 152円)
大麻山園地(展望台)〜 大麻山: 0.3km 3分
展望台で20分ほど休憩し、山頂に向かう。ここから先は、なだらかな山頂丘陵部の舗装された園路を歩いていく。
西讃岐TVなど幾つかの鉄塔の横を通り過ぎると、左手の木に私設の山頂標識が掛けてあるのが見えてくる。
大麻山の二等三角点標識に、私設の山頂標識を立て掛けて記念撮影
大麻山 〜 龍王社: 0.8km 12分
この臨時駐車場が、桜の季節だけ車が上がってこれる目的地だ
大麻山園地の稜線上の園路から、金刀比羅宮・龍王社に向かう道が分岐する
大麻山の東斜面の道をゆるゆるとトラバースして下り、龍王社に向かう
盛大なカエルの鳴き声が聞こえてくると、まもなく龍王池が右手に現れる。
傍らに立つ石柱には「上代噴気孔 遺阯 龍王池」とある。この山は死火山なのだろうか
龍王社 〜 金刀比羅宮 奥社: 1.1km 24分
龍王社から奥社への道も、斜面をトラバースする整備状況の良くない道
大麻山の登りのチェリーライン近道でのトラバース箇所よりは「少しだけマシ」な、滑りやすく滑落しそうな道が続く。
植生が引き剥がされた裸地を通過。土石流の痕跡と感じたが、Web検索すると防火帯とするため植生伐採したようだ。すぐ先で工兵道と合流する
工兵道と合流した後は、道の整備状況が少し良くなる
奥社の直下にやってくると、奥社のあたりから投棄された空き瓶などが登山道に散乱している。つづら折りの道を少し登り返すと、奥社横の石段に合流する
金刀比羅宮の奥社 (標高約370m)
金刀比羅宮 奥社 〜 本宮: 1.2km 21分
ここから先は、完全に敷石舗装されているので、もはや登山とは言えない。一般の参拝客がたくさん歩いている
快調に石段を下っていくと、菅原道真を祀る菅原神社がある。呼び名は天満宮じゃないのね...
このあたりからは、参道沿いに次々と境内社が現れる
そして、奥社から歩くこと21分、標高差190mほど下ったところにある金刀比羅宮 本宮に到着。本宮までなら、過去2回くらい登ってきたことがある。
金刀比羅宮 本宮 (標高約240m)
金刀比羅宮 本宮と回廊で結ばれた三穂津姫社(みほつひめやしろ)
この三穂津姫社の南隣には、かつて船主が奉納した船の模型や写真、絵画などが飾られた絵馬堂があったのだが、改築されたのか見当たらない。かわりに、真新しい(有料の)緑黛殿という建物があるが、これに取って代わられたのか...
金刀比羅宮 本宮 〜 大門 : 0.5km 14分
ここからは以前に通ったことがある道なので、快調に下る。本宮と旭社の間は、登り降りで別の階段が割り当てられている。このあたりが一番混雑するのだろう
銅鳥居を抜けると、いったん水平となり、長さ200mほどの桜馬場と呼ばれる直線の道を進む。
金刀比羅宮 大門 〜 セルフうどん「いわのや」 : 0.5km 14分
大門を抜けると、門前町の商店街となる。
金刀比羅宮 表参道。3分の1くらいの店舗は、シャッターが閉まっている
石段をどんどん下っていき、琴平の市街地へ。丸亀平野のこのあたりの標高は80m近辺だ。
県道208号の信号を渡り、金倉川を渡るとアーケード屋根のある新町商店街。商店街と言っても、ほとんどの店がシャッターを閉めている。
アーケードを抜けて、更に直進。石柱に「高松街道」と書かれている。Wikipediaによると、この道は高松城まで続いているそうだ。
JRの線路の手前にあるセルフうどん「いわのや」に、昼食を食べに入る。
セルフうどん「いわのや」 かけ小290円・いか天・サツマイモ天(合計560円)
セルフうどん「いわのや」〜 琴電琴平駅 : 0.6km 6分
■ ことでん 琴電琴平駅 11:12発 → (高松市)瓦町 12:08着 (運賃630円)
切符を買ってから、改札口にあるICカード読み取り機の掲示物で知ったのだが、いつの間にかICOCAやPiTaPaが使えるようになっているようだ。(ことでんWebページによると、2018年3月3日からだとのこと)