04 May 2022

生駒山地縦走(十三峠 〜 鳴川峠 〜 暗峠 〜 生駒山)

ゴールデンウィーク中盤、快晴の気持ちの良い日に、生駒山地の中央部分を縦走してきた。

ヤマレコの記事 『 生駒山地縦走(十三峠 〜 鳴川峠 〜 暗峠 〜 生駒山)

GPSログとコースタイム

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区間通過時刻所要時間
近鉄 服部川駅 〜 登山口(玉祖神社・神立茶屋辻)8:10 〜 8:4131分
登山口(玉祖神社・神立茶屋辻) 〜 十三峠・十三塚8:41 〜 9:2039分
十三峠 〜 鐘の鳴る展望台9:20 〜 9:3919分
鐘の鳴る展望台 〜 鳴川峠9:39 〜 10:0930分
鳴川峠 〜 大原山10:09 〜 10:2718分
大原山 〜 暗峠10:44 〜 10:517分
暗峠 〜 生駒山頂・生駒山上遊園地10:54 〜 11:3440分
生駒山頂・生駒山上遊園地 〜 宝山寺11:34 〜 12:1541分
宝山寺 〜 近鉄生駒駅12:15 〜 12:3621分

近鉄 服部川駅 〜 登山口(玉祖神社・神立茶屋辻)

■ 大阪メトロ 阿波座駅 07:21発 → 谷町九丁目駅 07:30着 (運賃 230円)
■ 近鉄 大阪線 上本町駅 07:47発 → 河内山本 → 服部川駅 08:06着 (運賃 300円)

地下鉄、近鉄ともに半分以上の座席が空いているくらいの乗車率。ゴールデンウィークの行楽で鉄道を使う人は案外少ないのだろう。

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近鉄 信貴線 服部川駅

生駒山脈の西側斜面の農村地帯、旧高安地区の古道を登山口の玉祖神社を目指して歩く。登山者向けの標識はまったくないが、「史跡の道」石碑が所々にあるので、それを目安に進んでいく。

駅から北へ900mほど来たところで、玉祖神社に向かう参道に入りまっすぐ東へ歩く。ふり返ると、大阪市や堺市の市街地が見えている。服部川駅から、すでに50m以上登ってきている。

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玉祖神社への参道、八尾市神立(こうだち)地区 (はるか向こうに堺市・大阪市の市街地が見える)

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八尾市神立地区の畑作地帯と、生駒山地南端付近の山並み

参道を1.1kmほど歩くと、突き当りに玉祖(たまのおや)神社がある。

現地説明看板「玉祖神社」 八尾市教育委員会
710年(和銅3年)に周防国(山口県)から祭神を迎えたのが始まりで、平安時代の延喜式にも記された神社
Wikipedia 「俊徳街道・十三街道
この付近には、大和朝廷の頃から曲玉(まがたま)を作っていた玉造部(たまつくりべ)の人々が暮らしていた。 大阪・玉造も同様であり、地理的な関わりも深く、十三街道(玉造付近〜十三峠)を通じて深い交流があったといわれる

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玉祖神社のニの鳥居と「常世の長鳴鶏」碑

ニの鳥居の右奥にあるのは、大阪府指定天然記念物の「玉祖神社のくす」。幹周りが8mもあるそうだ。

また、この神社には、いたるところに鶏の像があり、「常世の長鳴鶏」というそうだ。

現地説明看板 「常世の長鳴鶏」
天の岩戸神話で天照大神が岩屋戸に籠もられた時、天照大神が夜が明けたとお思いになるように、玉祖命が鳴かせたのが長鳴鶏(ながなきどり)

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玉祖神社の三の鳥居横にある「長鳴鶏」石像 (本来、この位置には狛犬があるのでは...)

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玉祖神社 社殿

玉祖神社から北へ。左手は崖になっていて、大阪平野が見下ろせる。300mほどで十三街道にぶつかり、この交差点は神立茶屋辻と呼ばれているようだ。

ここが十三峠に向かう登山口。

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神立茶屋辻の石碑

現地石碑 「神立茶屋辻」 八尾市教育委員会
在原業平が峠を越え玉祖神社へ参詣の途中、福屋の娘梅野をみそめたが、ある夜東窓があいていたので中をのぞくと、娘が手づからでめしを食っているので、急に興ざめ逃げ帰った、娘は後を追ったが見あたらず悲んで渕に身を投げた

この逸話を詠んだ和歌は、教科書にも掲載されるほど有名で

" 君来むと言ひし夜ごとに過ぎぬれば頼まぬものの恋ひつつぞふる "(在原業平, 新古今和歌集)

登山口(玉祖神社・神立茶屋辻) 〜 十三峠・十三塚

この区間は、かつての十三街道であり、現在は水呑地蔵尊への参道、森林公園神立園地・みずのみ園地の園路という位置付けで整備されている。

ほぼ全区間で、コンクリート舗装され歩きやすい。

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十三街道(神立茶屋辻 〜 水呑地蔵尊)

水呑地蔵尊までの区間は、山道沿いに地蔵が点々と置かれている。次の写真の場所には、何故かえびす像も...

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十三街道の道沿いにある地蔵

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タツナミソウ

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神立(こうだち)園地の案内地図

登山口(神立茶屋辻)から1.1km(標高差200m)登ってきたところに、水呑地蔵尊がある。

高安山史跡マップでは次のような説明がある

「平安時代初めの承和3年(836)に壱演という僧が、地蔵菩薩を安置し、お堂を建てたと伝えられています。本堂南側には、清水が湧き出ておりの水を求めて現在も多く人が訪れ、春は桜の名所になっています。」

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水呑地蔵尊(登山道付近から、堂宇方向を眺める)

来るまで来たと思われる老人団体が、鐘楼の下辺りに集まっている。 老人は毎日が休日なんだから、生産年齢が出かける休日に行楽せず平日にずらして「混雑分散」しないのか、つねづね訝しく思う。

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水呑地蔵尊の堂宇

堂宇前の展望休憩所(標高320m)からは、大阪平野が一望できる。

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水呑地蔵尊 堂宇前の展望休憩所

水呑地蔵尊から先、十三峠までの間は「みずのみ園地」のようで、登山道沿いに地図看板があった。

これがまた腐食し、カビが生え、地図がデフォルメされすぎて見れたものではない。それに、さきほど神立園地の地図と同じく「北方向が下」という逆さまなので、すぐに理解できない欠陥品としか思えない...

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府民の森 みずのみ園地の地図

水呑地蔵尊から800m(標高差100m)歩くと、十三峠。登山口から十三峠まで、数人の登山者とすれ違っただけ。

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十三峠(標高420m, 峠道が信貴生駒スカイラインの下をくぐり抜ける)

十三峠 〜 鐘の鳴る展望台 〜 鳴川峠

十三峠で90度左へ。有料道路 信貴生駒スカイラインに並走する生駒縦走歩道を北上する。

峠に隣接して、十三塚という遺跡がある。

高安山史跡マップ PDF
峠の北側には十三塚があります。これは江戸時代の民間信仰により造られたもので、王塚という大きな塚の両側に小さな塚が6つずつ、合計13基の塚が並んでいる

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十三塚(縦走歩道の右側のこんもりとした丘)

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生駒縦走歩道は、信貴生駒スカイラインに沿って山道が作られている。まっすぐ切り通されている道路を回避するため、条件の悪いアップダウンの地形のところに山道を無理やり作っているため、無駄にアップダウンが続いている。

道路脇に歩道を作ってくれたほうがどれだけありがたいか...

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信貴生駒スカイライン (道路内は歩行禁止となっている)

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生駒山地の稜線は八尾市(大阪)と平群町(奈良)の境界線となっている

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ハルジオン

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生駒縦走歩道 鐘の鳴る展望台手前の背の高い笹原

十三峠から1.1km(標高差50m)、信貴生駒スカイラインの鐘の鳴る展望台に到着。駐車場には10台ほどの車が停まっていて、何人かが展望台に登ってきている。

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信貴生駒スカイライン 鐘の鳴る展望台(標高450m)

展望台からは、大阪平野や奈良盆地が一望できる。 やわらかな風が吹く静かな展望台だが、突然「火の用心」を呼びかける爆音を響かせながら平群町の消防車がやって来る。山の上で火の用心...

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鐘の鳴る展望台から見た大阪平野

今日の目的地、生駒山の山頂に立ち並ぶ放送局のアンテナ群が、はっきりと見えている。直線で4kmほどの距離だが、案外遠くに見える。

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鐘の鳴る展望台から、4km北の生駒山山頂を眺める

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縦走路には、ところどころツツジが咲いている

生駒縦走歩道は、殆どの区間で生駒山地の稜線上を通っているが、もともとなだらかな山地なのに加えて、木々が生い茂っているので、眺望は全くと行っていいほど無い。

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稜線上の生駒縦走歩道

道路に沿った歩道にでると、アップダウンが少なく効率的に歩けるのでホッとする。

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道路に沿った歩道の区間は、わずかしか無い

日当たりの良い場所には、タンポポやニガナが咲いている

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ニガナ

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縦走路沿いに生えた巨大キノコ ... ではなく、野外活動センターの遊具

十三峠から2.8km、標高420mの十三峠から標高450mの鐘の鳴る展望台まで登り、標高400mの鳴川峠まで降りてきた。実際は、細かいアップダウンが続き、登り降りした累積標高差はもっと大きい。

鬱蒼と茂った木々の間に、ベンチが一つ。峠道を奈良方面へ降ると、山腹に元山上千光寺がある。

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鳴川峠 (標高400m)

鳴川峠 〜 大原山 〜 暗峠

鳴川峠から大原山まで、標高差150mをだらだら、延々と登りが続く。この区間は信貴生駒スカイラインから少し離れて道が通されているので、車の音が聞こえず爽やかだ。

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鳴川峠から延々と登りが続く生駒縦走歩道

八代龍王 神感寺への分岐点に、縦走路では珍しくわかりやすい標識。ただし、生駒山山頂までの距離は書かれていないので、この地域の登山道を管理している役所の人は、どこか視点がずれている感じだ。

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生駒縦走歩道が府民の森なるかわ園地を通過する区間

鳴川峠から1.0km(標高差120m)、なだらかな大原山の山頂に広がる銀樟(ぎんくす)広場に到着。

東屋やベンチがあるので、ここで昼食とする。

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大原山 銀樟広場(標高522m)

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昼食(昨日作った焼きうどん、ふっくらバーガー99円)

銀樟広場で20分ほど昼食休憩をとった後、暗峠に向かってコンクリート舗装された坂道を下る。

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暗峠の手前で視界が開ける

峠付近には幾軒かの住宅があり、家庭菜園をしている狭い畑も数枚ある。

鳴川峠から1.7km、標高400mの鳴川峠から、標高522mの大原山まで登り、標高455mの暗峠まで降りてきた。

暗峠の石刻道標や売店がある付近にだけ、たくさんの観光客が居る。縦走路の前後の区間では、それほど多くの人が歩いてはいなかったので、車でここまで来たのか、国道308号を歩いて登ってきた人たちなのだろう。

それにしても、老人団体がうじゃうじゃ居る。

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暗峠と、暗峠奈良街道・国道308号(標高455m)

Wikipediaによれば、全国の国道で石畳の道はここだけだという。峠付近に残る延長50mの石畳は、江戸時代に郡山藩により敷設されたものだそうだ。

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暗峠の石刻

暗峠 〜 生駒山頂・生駒山上遊園地

暗峠から先は、再びダラダラと上り坂が続く。1.8kmの距離で、標高差190mほどの登りだ。

暗峠から生駒山頂までのちょうど中間地点、標高570m地点にある信貴生駒スカイラインのパノラマ展望台に到達。

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信貴生駒スカイラインのパノラマ展望台(大阪平野方向の景色)

奈良盆地と生駒山地の間にある、矢田丘陵が中央に走っていて、生駒山地と矢田丘陵の間の生駒谷に住宅街が広がっているのが分かる。

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パノラマ展望台から奈良方面の景色

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パノラマ展望台から、道路を渡って生駒山方向の登山道に入る

パノラマ展望台から数分歩くと、視界が開けてアンテナ群が目の前に現れる。

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生駒山頂のアンテナ群が見えてきた

手前右端のグレーのアンテナは国土交通省生駒無線中継所、その左隣の少し小さめのグレーのアンテナはKDDI 生駒リレーステーション。

KDDIのアンテナ横を通り過ぎると、縦走路の分岐点がある。写真は振り返って撮影したもので、今回は左側の「暗峠近道、左:生駒縦走コース」の道を通ってきた。右側は平岡公園の方へ直接降りていく近道。前回2018年にここを通ったときには、右側のコースを降りていった。

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生駒山頂の縦走路分岐点

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生駒縦走歩道を更に進んでいくと、テレビとラジオのアンテナ群が見えてくる

手前左側より、NHK(赤白), NHK(赤白), MBS(赤白), NTT(グレー), KTV(赤白), 少し間があいて ABC(グレー), YTV の放送局アンテナ。

生駒山上遊園地の南入口から敷地内に入ると、目の前に巨大アンテナが林立。

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生駒山頂のMBS(赤白)とNTT(グレー)のアンテナ

アンテナのすぐ脇に、遊園地の遊具が...。 見事に調和している

生駒山頂・生駒山上遊園地

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生駒山上遊園地のミニSL列車敷地にある生駒山三角点(標高642.0m)

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生駒山上遊園地の飛行塔とぷかぷかパンダ

飛行塔は1920年の開業時に造られた、現存している中では国内最古の大型遊具。

生駒山頂・生駒山上遊園地 〜 宝山寺 〜 近鉄生駒駅

生駒ケーブルの山上駅横より、麓に降りる階段が続いている。

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生駒山上遊園地から宝山寺まで1.3km(標高差280m)続く階段・坂道

ほぼ一本調子で下り続ける坂道。混雑していた山上遊園地の家族連れ客が、この坂道(山道)を歩いている雰囲気ではない。わずかの登山客と、健脚を誇る子供連れの家族がチラホラ登り降りしているくらいだ。

生駒山上駅と宝山寺駅の間の運賃はたったの290円。ここを「登れ」と言われれば、ケーブルカーに乗ってしまうと思う。

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生駒ケーブル 山上線 (梅屋敷駅付近)

標高差280mを降りてきて、宝山寺の一の鳥居前に到達。

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宝山寺 一の鳥居

総門を抜けて本殿へ。本殿(仏教寺院)のすぐ横に歓喜天を祀る拝殿(神社)が並んで建っている。ここは珍しい神仏習合の寺院だという。

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宝山寺 本堂(右側)と拝殿(左側)

宝山寺から生駒駅までも、延々と坂道・階段道が続く。距離1.3km進み、標高差180m下る。生駒山上から宝山寺までが280mの激烈な下り方だったのに比べれば、少しはマシ...

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宝山寺の参道は、生駒駅まで延々と階段道

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近鉄生駒駅の駅前広場

■ 近鉄奈良線 生駒駅 12:44発 → 日本橋駅 13:03着(運賃 410円)
■ 大阪メトロ 日本橋駅 13:07発 → 阿波座駅 13:14着 (運賃 230円)