15 September 2021

何となくFIREで人生リタイアしたら

最近、流行の言葉のようになってしまったFIRE(Financial Independence, Retire Early)。Wikipediaでは「経済的独立と早期退職を目標とするライフスタイル」と訳してます。

Amazon製の格安タブレットPC「Fire HD」は4個も持っているのですが、早期退職のほうはまだ決断すらついていません。

東洋経済オンラインの記事で、若い人向けに書かれた文章では

「何となくFIREで早期退職したい人」に欠けた視点【東洋経済ONLINE】
 働かずに配当金や分配金、資産の取り崩しだけで生活するということ。理想の生活と感じる人がいる一方、勤労を美徳とする人からは首をかしげたくなる生き方かもしれません。

 以前からアーリーリタイアメントという言葉がありました。外資系金融機関に就職し、年収数千万円から数億円を稼ぎ、頃合いを見て自由な生活を謳歌するような人生設計です。ところが、最近よく聞くFIREは今までのアーリーリタイアメントとは違うようです。何が違うのでしょうか。

■FIREは一般市民の夢と希望

 FIREは2つの要素から成り立っています。1つ目は経済的に自立していること。2つ目は若いうちに退職すること。

 1つ目の経済的自立に関して、「4%ルール」という考え方があります。実際の利回りからインフレ率を差し引いた実質利回り4%で資金を運用し、運用益だけで生活するというものです。利回り4%ですから、年間の生活費を4%で割り戻すと、25年分の生活費を貯めると、一生運用益だけで生活できる計算となります。

 2つ目の若いうちに退職することについては、「今の仕事」に依存しないで仕事や会社を選べる立場になること、好きなことをすること、などの意味があると考えます。

 筆者が大学で学生に講義をする中で気がついたのは、将来に対する諦めの意識です。○○したいから就職するというよりも、学校を卒業したら働かないといけないから働く。会社にすべてを注ぐ働き方ではなく、正社員になれて安定した収入が得られればいいという意見がそれなりにあります。

 正社員になることができない人も多い中で、ぜいたくに感じられるかもしれません。しかし、頑張っても報われないという諦めのような意識が根底にあると感じます。

 そんな中で、収入を貯蓄と投資に集中させ、早期に経済的な自由を得るとことは現実的な「夢」であり、若者にとって数少ない「希望」となりうるのかもしれません。

https://toyokeizai.net/articles/-/455618
https://news.yahoo.co.jp/articles/b139cad7d1045f9f993d65e52bc051896261bcd5

最近の学生さんは諦観の域に達していますね。「仕事に意味はなく、金を貯めるための手段に過ぎない」ということを、この若さで分かっていれば苦労はしませんね。

では、どれくらいの資産を保有し、どれくらいの安定的な運用益を得ていれば良いのでしょうか。

筆者は次のようにまとめています。

「何となくFIREで早期退職したい人」に欠けた視点【東洋経済ONLINE】
 いくら貯めればいいのかと考えた場合には、何%の運用利回りを実現できるかを考える必要があります。

 例えば、日本の年金資産を運用している年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)では、2001年から2020年までの名目運用利回りは3.64%(賃金下落を加味した実質利回りは3.78%)です。

 年間の生活費(食費、住居費など支払いすべて)が300万円だとすると、300万円÷3.64%=8241万円が必要です。このように年収にかかわらず生活費を運用利回りで割り戻すと必要資金が計算できます。

 4%ルールに即した運用であれば、300万円÷4%=7500万円の資金が必要になります。

最低7500万円を保有し、全額投資に回して年4%運用したら、最低300万円の生活費が捻出できる。

問題は、この「全額」です。本来、全額リスク資産に投資してはダメなので、半分を投資に振り向けるとしたほうがよさそうです。そうなると、7500万円の半分を、年8%で回すと読み替えれます。

筆者は投資指針に対して次のように書いています。

「何となくFIREで早期退職したい人」に欠けた視点【東洋経済ONLINE】
 アメリカの株式指数であるS&P500は1991年から2021年までの30年間に平均9%の成長を続けてきた実績がありますので、もし今後もS&P500の指数価格が同程度の成長を実現できれば、上記の計算よりFIREの時期は早まります。

ことし、私が投資したS&P500ETF(1557)は現在までの間に12%上昇しています(資産残高の画面より)。絶好調の昨年・今年のような年が毎年続けば、たしかにGPIFと互角の9%運用も楽々です。今の投資レベルなら、1年分の運用益で数年分の生活費が転がり込んできます。

でも、世の中には株価調整の年もあり、それも見越した手当が必要です。

2021年6月の『国民生活基礎調査がやってきた』で書いたように、過去2年分の実績から、私の1ヶ月の生活費18万円(年間換算216万円)で、これに無職・無収入の場合の最低区分認定された国民健康保険料と介護保険料を年間10万円ほど加えても、250万円あれば十分暮らしていけます。

いますぐFIREすれば、年金をもらえるまでの十数年間は、毎年250万円の安定的な収益を上げないといけません。責任重大です。

しかし、いまから十数年経ったのちは年間150万円の年金が確実に入手できます。国民年金掛け金をこれからも払い続けたら、もっと増えているでしょう。つまり、年間100万円の収益を上げれば余裕だということになるのでしょう。


さて、あと何年、しょうもない仕事した振りして資産を積み増すべきなのか。悩みは尽きませんね。