28 June 2021

国民生活基礎調査がやってきた

厚生労働省の「国民生活基礎調査」の封筒がポストに投函されていた。封筒には紙の記入用紙と説明書が入っていて、記入後は郵送で送り返すようにとのこと。

このアナログ感。掛け声だけのデジタル庁って、いったい何なのだと思いますね。

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生活基礎調査の調査票1枚目

調査票の1枚目は、世帯人数と、1か月の家計支出額。経済雑誌などでよく見かける統計だ。

総務省統計局には家計支出額の統計表が公開されているので、グラフ化してみるとこんな感じだ

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家計支出額の経年変化(二人以上世帯・単身世帯)

ちなみに、家計支出額とは...

家計支出に含む : 食料費、住居家賃・維持工事費、光熱水費、家財購入費、衣料品購入費、医療費、交通・通信費、教育・娯楽・旅行費、理美容・交際・雑費

家計支出に含まない : 税金、社会保険料、貯蓄・投資、借金返済、掛け捨て以外の保険、事業支出

というもので、実際に生活の中で支払う全ての金ではない。

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生活基礎調査の調査票2枚目

2枚目の調査票は、過去の統計データのどれの基礎データになるのかよくわからないし、そもそもこれがどういう目的のモノなのかも不明だ。

生年・月と、婚姻別、加入している公的医療保険の種類、加入している公的年金の種類、最終学歴、雇用されている場合の正規・非正規別などを調べている。家計支出額とクロス集計して、そのうち経済雑誌に取り上げられるような基礎データになるのだろう。

この機会に、家計支出の内訳を計算してみた

今回集計した支出は、支出の2年分合計を24ヶ月で除したもの。
集計表から生活基礎調査の項目に分解してみると...

・食料費 約6万円/月
・住居費 約4万円/月 (管理費、固定資産税、設備修繕)
・光熱水費 約2万円/月
・通信費 約1.5万円/月 (携帯電話、ネット常時接続)
・交通費 約1万円/月 (通勤電車運賃)
・教養娯楽費 約0.5万円 (新聞)
・その他 3万円
合計 18万円

というような具合になる。

そして、最低限、住居を維持していくための住居費・光熱水費・通信費などは、専用のクレジットカードからの支払いにまとめているので一目瞭然で、

2019年に83万円、2020年に81万円を支払っている。1月あたり6.8万円である。

これが、生活基礎調査の「基礎的支出」にあたるものなのだろうか。生活基礎調査の2020年の値は170万円/年(14万円/月)であるので、どこか集計対象の取り方が間違っているのかもしれない...。

単身・年金暮らしをシミュレーションしてみた

基礎年金 + 厚生年金 = 200万円 という平均的金額を想定して、65歳段階での「手取り」金額を推計してみる。

(ちなみに、厚生労働省の厚生年金保険・国民年金事業の概況によれば、65歳以降の男性・厚生年金受給額平均は17.1万円で、年額に換算すると205万円。女性はそれぞれ10.9万円、130万円となっている)

国民健康保険 (大阪市の場合)

公的年金が330万円以下の場合の雑所得控除額は110万円なので
雑所得 = 公的年金 - 110 = 200 - 110 = 90 万円/年

さらに、合計所得が2500万円以下の住民税基礎控除は43万円なので
賦課基準額(所得金額) = 雑所得 - 43 = 90 - 43 = 47 万円

※ なお、所得金額が(43万円+28.5万円)以下の場合は平均割・均等割の支払額が5割軽減されるというルールもある

平均割 = 医療保険分 + 後期支援金分 = (27,807円 + 9,508円)×0.5 = 18,657円/年
均等割 = 医療保険分 + 後期支援金分 = (25,273 + 8,642)×0.5 = 16,957円/年
所得割 = 医療保険分 + 後期支援金分 = 470,000 × 0.0822 + 470,000 × 0.0290 = 52,264円/年

国保料 = 87,878円/年 (= 7,323円/月)

介護保険 (大阪市の場合)

基準となる保険料は 8,094円/月(97,128円/年)で、合計所得金額が125万円以下の「課税」対象者は基準となる保険料に1.1倍を行う。

介護保険料 = 97,128円 × 1.1 = 106,841円/年 (= 8,903円/月)

所得税

公的年金が330万円以下の場合の雑所得控除額は110万円なので

雑所得 = 公的年金 - 110 = 200 - 110 = 90 万円/年

さらに、合計所得が2500万円以下の基礎控除は48万円なので

課税所得 = 雑所得 - 社会保険料- 48 = 90 -(8.7+9.7)- 48 = 23.6 万円

課税所得が195万円以下の税率は5%なので

所得税額 = 23.6 × 0.05 = 1.18 万円/年 (= 983円/月)

地方税 (大阪市の場合)

公的年金が330万円以下の場合の雑所得控除額は110万円なので
雑所得 = 公的年金 - 110 = 200 - 110 = 90 万円/年

さらに、合計所得が2500万円以下の住民税基礎控除は43万円なので
所得金額 = 雑所得 - 社会保険料 - 43 = 90 -(8.7+9.7)- 48 = 23.6 万円

税額(所得割) = 市民税 + 県民税 = 所得金額 × 0.08 + 所得金額 × 0.02 = 23.6万円 × 0.1 = 2.36万円

税額(均等割) = 市民税 + 県民税 = 3,500円 + 1,800円 = 5,300円

地方税額(合計) = 所得割 + 均等割 = 2.36万円 + 0.53万円 = 2.89万円 (= 2,408円/月)

公的年金の手取り額は

年金総額(200万円) − 所得税 − 住民税 − 国保 − 介護保険 = 200 − 1.18 − 2.89 − 8.8 − 10.7 = 176.4 万円

月額に換算すると、年金総額が16.7万円で、手取り額が14.7万円となる。

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これなら、医療費や各種公的支払いが免除される生活保護受給のほうがマシだと思うレベル。

生活扶助 + 住宅扶助 = 7.7万円 + 4万円 = 11.7万円 (手取り額)

そして、国保・介護保険の掛け金は免除。もちろん医療費は1割負担ではなく全額免除だ。交通機関は全て半額になり、NHK受信料は免除。