淀川上流、琵琶湖から出た水を調整する「天ヶ瀬ダム」を観に行ってきた。 新型コロナで、まさかの公開停止中ということで、フェンス越しに放流中のダムの勇姿を拝んだだけだった。
宇治へ
■ 京阪本線 淀屋橋 08:00発 → 中書島 08:37着
■ 京阪宇治線 中書島 08:40発 → 宇治 08:55着 (運賃 420円)
政府の自粛要請が段階的に解除され、週末に出かける人が多くなっている。 特急の出町柳行も、5月末に比べれば2割から3割は乗客数が増えている。 それでも、クロスシート席の隣は「空ける」のが、コロナ時代の常識のようだ。
中書島駅で、宇治線の4両編成の列車に乗車。休日なのに、全ての席が埋まる程の混雑ぶり。 殆どの乗客が、宇治の1駅手前の三室戸駅で下車していった。 駅を出て、あじさい寺と反対側の踏切をわたっているので、通勤客… ?
宇治に来るのは10年ぶり。 前回は2010年3月『 宇治 : 平等院 』
今日はここから、平等院のある宇治川左岸の観光地を避けて、右岸側を行く。
宇治駅から天ヶ瀬ダム
宇治駅のすぐ前には宇治橋が架かっていて、対岸(宇治川の左岸)は平等院などがある観光地。
宇治橋を渡らず、宇治川の右岸の道を直進する。
道路沿いには神社・寺院のほか、観光客向けの割烹や料亭旅館などがいくつかある。その中に、宇治茶しか売っていない自販機を発見
ウーロン茶も、一般的な日本茶も無い。もちろん、清涼飲料水など、宇治の人たちは飲まないのだろう。 なんという、宇治茶への愛。
宇治十帖とは、『源氏物語』最末尾の十帖(第45帖 橋姫 から 第54帖 夢浮橋)の物語舞台は宇治であるため、その10巻を指すことば。
朝霧橋の袂にあるこのモニュメントは、浮舟と匂宮が小舟で宇治川に漕ぎ出すシーンを示しているそうだ。
ここには観光客向けの標識もあり、天ヶ瀬ダムまで36分という中途半端な表記。 1分→80m という不動産などでの徒歩距離の計算手法を用いると、ダムまで 36 × 80 = 2880 m
宇治神社の大鳥居
宇治川は
淀瀬なからし
網代人
舟呼ばふ声を
ちこち聞こゆ
右岸道をさらに先へ行くと、関西電力 宇治発電所の放流路をまたぐ朱塗り風の橋 「観流橋」 がある。
放流路を猛烈な勢いで下ってきた水が、白波を立てて宇治川本流に合流している。
琴坂は紅葉の名所だそうだ。 このあたりで、宇治川の対岸には槇ノ尾山(標高106m)が見える。
興聖寺の山門前付近で人家は途切れ、そこから先は木が生い茂って太陽光を遮ってくれる涼しい道となる。
天ヶ瀬吊橋の手前には、道が少し広がった空き地があり、車を停めてバーベキューをする集団が居る。
ここの天ヶ瀬吊橋をわたり、宇治川左岸に渡る
左岸には、川沿いのダム管理道と、もう少し崖の上を並行して走っている府道3号線がある。
今年度末の2022年2月までが再開発の工事期間のようだ。 仕上げ段階ではなく、まだトンネル掘ってるんでしょうか…
しばらく歩くと、2016年に架け替えられた新・白虹橋に到達。 橋の上には、ロードバイクで登ってきたサイクリストが数人と、朝のウォーキングでやって来たお年寄りが数人、ダムの放流を眺めている
天ヶ瀬ダム
白虹橋からは、轟音を立てて水を吹き出しているダムの堤体が見えている。
今日の放流量は260 m^3/secほどなので、900m^3/secの放流能力を持つダムとしては、チョロチョロ状態に近い。それでも、結構な水量に見える。
この放流量を1.5倍 (1500 m^3/sec)に増やすため、放流路の新設工事 「天ヶ瀬ダム再開発事業」が行われている。
そのためなのか、白虹橋からダム本体の左岸側にある管理事務所までの道は、新しい放流路を造る工事のため通れないようだ。
ここからダム管理支所への道は、上り坂と、下り坂の2種類がある。 上り坂のほうには、「土砂崩れ通行止め」 と書かれている。
道の入口は可動フェンスで閉じられていて、道の先には現場事務所が建っているのが見える。
下り坂の方は、いかにも工事現場の鉄板を敷いた仮設通路だ。
すこし仮設通路を下ってみると
工事説明図によれば、減勢池部の完成寸法は、幅23m、高さ26mとのこと。
近畿地方整備局の資料によると、公示の概要は次のようなものらしい
工事用仮設通路を進んでいくと、関西電力 天ヶ瀬発電所の入口ゲートがあり、それ異常進むことが出来ない。残念ながら、この先どうあがいても天ヶ瀬ダムの管理支所の建物のところには辿り着けそうにない。
左岸側の道路を下流方向に戻る。
天ヶ瀬吊橋の前を通り過ぎ、更に下流方向へ。800mほど行くと、もみじ谷方向への道路分岐の横にトイレがあり、府道に登る階段がある。 川沿いのダム管理道と府道の合流点まで戻らなくても、この階段で少しだけ近道となる。
ここから先、府道3号線を1.2kmほど進むとダム管理支所前だ。
何箇所かで、法面崩壊を防ぐための補強工事が行われている。 落石のある地方なら、当たり前の工事だが、「国土強靭化」 の予算消化のようなことになってしまっている。
哺乳瓶の乳首ではありません。ロックボルトの頭を保護する乳首型のカバーです
府道に入ってからは、徒歩の客は誰も見かけない。 たくさんの車と、時折、ロードバイクに乗ったサイクリストが通り過ぎていくくらいだ
入口は閉まっている。 警備員詰め所の人に聞けば 「新型コロナのため、見学は出来ない」 とのことだ。
天ヶ瀬ダムの新型コロナによる見学停止のお知らせが貼られた看板
当面、6月末まで見学の停止と書かれている。
ダムの堤頂通路には入れないし、もちろん対岸の天ヶ瀬森林公園に行くことも出来ない。 ダムをよく見れる場所が他に無いか警備員に聞いたところ、白虹橋に降りてゆく管理道の途中、発電所の上辺りまでなら行くことが出来るようだ。 それ以上向こうは、例の土砂崩れでフェンスが張られているので行き止まりらしい。
お言葉に甘えて、発電所の上辺りまで下ってみる。 たしかに、放流路の工事現場からよりも、少しだけダムの放流口に近づいている。
この位置からなら、260 m^3/secの水を吹き出している3基のコンジットゲート(電動ローラーゲート 3.42m×4.56m)と、非常用洪水吐の4基のクレストゲート(油圧ラジアルゲート 10m×4.357m)が肉眼でもはっきりと見える。
再びダム管理支所までまで登り返し、府道3号線をダム湖の方へ歩く。
この位置からは、放流水やコンジットゲートは見えない。
放流水路の新設工事が終わった頃に、また見に来たいものだ。 次は、あの堤頂通路を歩いて、コンジットゲートを見下ろしてみたい
帰りも、往路を戻る形で、宇治川右岸の木々に覆われた道を宇治駅まで。
■ 京阪宇治線 宇治 10:58発 → 中書島 11:13着
■ 京阪本線 中書島 11:15発 → 淀屋橋 11:53着 (運賃 420円)