伏見稲荷大社の背後に聳える稲荷山(標高233m)から、京都一周トレイルを北上し、清水山と清水寺まで縦走した。
前半 『稲荷山(伏見稲荷大社)から清水山(清水寺) : その1』からの続き
伏見稲荷の稲荷山に登頂後、四つ辻から京都一周トレイルに入り清水山・清水寺を目指すこととする。
伏見稲荷大社から賀陽宮墓地・久邇宮墓地へ
観光客が多く訪れる「千本鳥居」のメインルートから外れると、すぐに普通の山道になる。
所々に鳥居が立っているので、ここも伏見稲荷大社の境内のようだ。 地図によれば、この先に御幸奉拝所がある。
「白瀧はこちら」という小さな標識があり、急な階段が分岐している。 京都一周トレイルからは外れるが、滝を見に行く
どんどん階段を降りていくと
狭い谷底に、滝修行の場所があった
水を吹き出しているのは大蛇。 ここはキツネではないようです。
白瀧から下流方向、谷底に沿ってさらに山道が続いている。京都一周トレイルに再び合流するまで、この山道を下っていく。
数分歩くと、稲荷山北麓から流れてきた川と合流し、道も少し広いものになる。 小さな子供を連れた家族が、トンボ取りをしている。
ここからさき、普通の住宅街の中の道となる
東山区今熊野南谷町の住宅街では、多くの家に「民泊反対」のポスターが掲示されている
いまはコロナ禍でインバウンド感染客はゼロだが、つい半年前までは観光公害で多くの日本人は迷惑を被っていた。
住宅街を抜けると、宮内庁の管理する林の中の小道となり、そのさきに皇室の墓地がある。
久邇宮家(くにのみや)と賀陽宮家(かやのみや)は、明治天皇により創設された宮家。
平成天皇の母、香淳皇后が久邇宮家の家系であったといえば、ここは結構すごい場所なのだ。
道を挟んだ向かい側には、久邇宮朝彦親王・桂宮淑子内親王・梨本宮守脩親王の墓がある。
このあたりは、古代より「葬送の地」だったため、天皇家や摂関家などの墓が至るところにある。
泉涌寺から国道1号線
京都一周トレイルは、泉涌寺と今熊野観音寺の西端に沿って北へ
泉涌寺(せんにゅうじ)の境内にも、数多くの皇室や摂関家の墓がある。 直近では、江戸末期の孝明天皇の墓もここにあるそうだ。
今熊野観音寺の入口を入り、泉涌寺霊園の方に向かう
“悪病消除” の立て看板が今様だ。
泉涌寺霊園、さらには鳥戸野陵(とりべのみささぎ)の横を通り過ぎると、再び住宅地に入る。
稲荷山の麓より、住宅街のなかを25分ほど歩いてきた。ここから再び山道に入る。
この山道は、阿弥陀ヶ峰(標高196m)と六条山(標高187m)の間の鞍部を通過し、東山トンネル手前の国道1号線との合流点まで続いている。通称「東山トレイル」
山道は、標高80mから160mへとなだらかに高度を上げてゆく
鞍部を通過し、下り坂を下ると斎場のアクセス道路に出る。そのさきは、すぐに国道1号線だ。
国道1号線から清水山を経て清水寺へ
横断歩道や歩道橋は無いので、京都一周トレイルの道標に従い、歩行者トンネルで横断する。このトンネルの位置が分かりにくい。 標識の地図の縮尺がでたらめなので、かなり迷った。
国道1号線を渡ると自販機があったので、缶ジュースを1本購入。 街の中の登山は、飲み物が現地調達できるので楽だ。
花山トンネルに向かう旧渋谷街道をすこしだけ東進し、子安の塔や清水寺に向かう小道に入る。しばらく進むと、清水山の登山口がある。
登山口から山頂まで、標高差は120mほど。少し登ったところで、昼食とする。
なだらかな山道を登っていくと、清水山の山頂への分岐点。 おばちゃんが何人か座って弁当を食べている。
山頂は、ここから数十メートルの至近距離にある
この写真の中央付近が山頂なのだが、標識がなければどこなのかわからないくらいなだらかだ
この写真の右奥に、三等三角点「清水山」の石柱が見えている
下山は清水寺に抜けることにする。 最短コースの登山道は倒木で閉鎖されているので、その手前の子安の塔に向かう山道(防火管理道)で下山
林道(防火管理道?)を少し進むと、清水寺の裏門(防災道路の門)がある。 通用口が開いているので、ここから境内に入れるようだ
清水寺
境内の道を少し進むと、有名な清水の舞台(本堂)が見えてくる
参拝客はあまり居らず、トイレの周囲に数人の客を見かけたくらいだ。
清水寺 音羽の滝
音羽の滝は平家物語など歴史小説によく登場する場所だが、候補地はここを含めて数カ所あるらしい。そのうちの一つは、比叡山の雲母坂登山口のあたりにも存在する。 東山といっても、すごく距離離れてるのだが…
音羽の滝の横より本堂(清水の舞台)に続く長い石段を登ると、右手には釈迦堂と阿弥陀堂がある
清水の舞台を見るのなら、本堂に入るより阿弥陀堂の横からのほうががよく見える。しかし、今は工事中のシートしか見えない…
2017年から始まった平成の大改修は、もうそろそろ終わるようで、本堂の屋根はきれいに葺き替えられた姿を現している。
ここからは下山し、京阪電車の五条駅に向かう。
以前は大量のガイジンがうろついていたが、今はこのとおりスッキリとした景色になっている。
清水寺から自宅へ
清水坂をどんどん下り、産寧坂(三年坂)との分岐点をすぎると、東山五条の交差点まで普通の道になる。歩く人もほとんど居らず、ここが有名な観光地のアクセス道路かと感じさせないくらいの静かさだ。
東山五条交差点から、五条通(国道1号線)を西へ。 歩道を歩く人は皆無、沿道の土産物屋やホテルも全て休業中。
このままインバウンド経済が廃止され、ガイジン向けの余計な店が全て淘汰されれば、スッキリした街並みが戻ってくると思う。
■ 京阪本線 清水五条駅 13:17発 → 丹波橋駅 → 淀屋橋駅 14:13着 (運賃 410円)
帰りの電車も、隣り合う席に人が座らないほどの乗車率だった。 安全のため、これくらいが適当な乗客数なのだろう。
しかし、特急列車に使われる3000系や8000系の車両は、車端部しか窓が開かないので換気が悪い。 窓の開閉部のコストカットが、いまになって残念な車両となってしまっている。