18 April 2015

奈良 斑鳩 : その1 法隆寺

奈良の斑鳩にある聖徳太子ゆかりの寺院巡り。

大阪のJR福島駅から、快速電車に乗って43分で法隆寺駅に到着する。途中、ユニバーサルスタジオの客が西九条で降りるので、そこから先は空いていた。運賃は640円。大阪市内は激安のJRも、少し離れたところまで乗ると割高感がある… (ちなみに、普通電車しか停まらない野田駅からなら550円と100円近く安い)

法隆寺駅コンコースの観光案内所で地図をもらい、約1.5km北の法隆寺へ。

資料

もらったパンフレット類を参考までに

斑鳩町 三塔周辺Map
法隆寺〜三塔〜慈光院〜大和小泉駅 周辺マップ
・法隆寺 リーフレット 1ページ目2ページ目
・法輪寺 1ページ目2ページ目
・法起寺 1ページ目2ページ目

経路

途中、一部GPS受信がうまくいかなかったところがあるが、おおよその徒歩での経路は次のような感じになる。(2015-04-18_0915__20150418_0915.gpxをダウンロードする



国道25号線 バイパス建設反対

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JR法隆寺駅と法隆寺の中間辺りにある住宅地が、バイパス道路建設地のようだ。移転を迫られる住民にとっては死活問題だろう。
人口激減・経済縮小で道路の維持費すら出せなくなる近い未来の日本、当面は自動車の乗り入れを制限して香港でよく走っている『小巴』(中古のマイクロバス)を走らせたほうがいいんじゃないですかね。

法隆寺

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国道25号線に面した観光客向けの正面入口

巨大な駐車場に観光バスが何台か停まっている以外、一般の観光客が来ている気配がない。


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南大門

1438年に、当時の西大門を移築し再建された門。国宝に指定されているそうだ。

この門をくぐると、少し向こうに五重塔などがある西院伽藍が見える。高校生の団体客が整列して記念撮影をしている。

法隆寺 西院伽藍

西院伽藍の入口に入場券売り場がある。入場料は、なんと1500円。高すぎる…

奈良、京都の神社仏閣の入場料金一覧は京都フォトセンターのこちらのページに纏まっているが、1000円の施設でさえ珍しいのに、1500円とはまさに日本の中でピカイチの遺産を持つ法隆寺ならではのプレミアム料金だ。

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中門 (ちゅうもん)

飛鳥時代に、西院伽藍の廻廊と共に造られたものだそうだ。これも、国宝だそうだ。

4けんのうち、左右の2間には風雨に晒されかなり劣化した金剛力士像が立っていて、左側が吽形像、右側が阿形像となっている。人が通れるのは真ん中の2間で、開口部が偶数なので中央に柱が立つ形になる。一般的な寺院建築では、開口部は奇数で、中央に柱が立たないので、法隆寺は少し独特な形態だと言われているそうだ。


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中門の金剛力士像 (左側が吽形像、右側が阿形像)


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五重塔と金堂

木造五重塔として現存する世界最古のものだそうだ。各層の屋根は上に行くほど小さくなるが、この小さくなる割合、専門的に言えば低減率が他の五重塔よりはるかに大きく、最上層の屋根は最下層の屋根の寸法幅の半分しかないそうだ。

飛鳥時代に建てられたもので、高さは32.5m。この塔も国宝に指定されている。


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五重塔の相輪


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金堂

飛鳥時代に建てられた建物で、本尊の釈迦三尊像薬師如来坐像などが納められている。内部の仏像等の写真撮影は不可。建物自体も、ご本尊の仏像も国宝指定されている。

1949年の不審火で金堂壁画がほぼ焼失してしまったが、模写から復元されて現在では金堂の壁にこれらの「複製品」が嵌めこまれている。

近年、3Dスキャナーによる読み取りと印刷や3Dプリンターによる複製技術は進んできているので、本物はどこか金庫にでも格納しておいたらいいのにと思う。(本物と見分けが付かない複製品は、もはや本物と言える)


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金堂を支える柱の龍

建物の改修時に、柱を補強するために取り付けたものだが、どの時代の大修理で取り付けられたのかは諸説あるようだ。


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金堂の隅巴部分


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大講堂の正面に建つ桂昌院燈籠

名前から分かるように、5代将軍 徳川綱吉の母の桂昌院が建立したもので、銅製。徳川家の家紋の三葉葵と、桂昌院出自の本庄家家紋の九つ目結いが浮き彫りされている。

灯籠に浮き彫りされている奉献文は次のようなものだ

謹献永代常燈籠於大和国
法隆寺 霊前為

征夷大将軍源公祈祝天下
太平武運長久躯寿強健
者也

元禄七年甲戌十一月嘉辰
母儀桂昌院本庄氏

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大講堂

平安時代の990年に再建されたもので、本尊の薬師三尊像などが納められている。建物も、仏像も、もちろん国宝指定されている。最近、神社仏閣に油をまく凶悪犯が出没しているので、その警戒に動員された機動隊員が上の写真の中央付近に写りこんでいる。 日本を代表する遺跡に、監視カメラすら付けず未だに人が見回りをしているようでは…


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大講堂


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西院伽藍の廻廊

廻廊も飛鳥時代に造られたものだ。廻廊の格子窓から外を眺めると、里桜が満開だ。

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法隆寺 東院伽藍

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東大門から夢殿へ向かう道路

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夢殿

奈良時代に建てられた八角円堂。内部には救世観音像がある。建物も、観音像も国宝指定されている。


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夢殿


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夢殿の宝珠

屋根のてっぺんに付いている、霊験を表すとされる宝の珠。


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舎利殿

鎌倉時代に建てられた建物で、聖徳太子の生涯を描いた障子絵 「聖徳太子絵伝」が納められていたが、現在この作品は東京国立博物館に保管されている。


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東院伽藍の鐘楼

この横を通って(写真では)右の方へ行くと、中宮寺の入口がある。法隆寺と共に『聖徳太子建立七大寺』だが、現在の中宮寺は法隆寺の敷地の一部を借地して本堂などを建てているそうだ。実際の寺院は現在の場所から400mほど東の場所にあったそうだ。

法隆寺 大宝蔵院

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大宝蔵院

1998年に建てられた建物群で、百済観音像玉虫厨子など、国宝の数々が展示されいている。聖徳太子により604年に制定された十七条憲法の木版印刷物や版木もここに展示されている。

いまは塗装が取れて木材の地の色が出ている古の建物(五重塔や金堂、あるいは廻廊など)は、上の写真のような色調だったのだろう。

法隆寺 その他

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食堂 (じきどう)

奈良時代に建てられた、いわゆる食堂(しょくどう)。当時は僧侶が食事をする場所であったそうだ。国宝に指定されている。


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東室(ひがしむろ)と聖霊院

国宝に指定されていて、僧侶の宿舎である東室は奈良時代に、聖徳太子の聖像を安置する聖霊院は鎌倉時代に造られたもの。太子像は扉の向こう側で見ることが出来なかった。御開帳は毎年3月22日だそうだ。


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東大門 (とうだいもん)

奈良時代に建てられた門で平安時代頃に現在の場所に移築されたもの、国宝に指定されている。西院伽藍から東院伽藍に行く中間辺りに鎮座している。


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西円堂

西院伽藍からみて、夢殿と逆側の西寄りの八角円堂。鎌倉時代に建てられ国宝にも指定されているが、観光コースから外れているため訪れる人は少ないらしい。


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三経院

聖徳太子が三経(勝鬘経・維摩経・法華経)を注釈されたという場所に、鎌倉時代に建てられた建物。もちろん、国宝である。


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西院伽藍前の道路

奈良 斑鳩 : その2 法輪寺、法起寺』 に続く