19 July 2025

参院選、どの党の主張も長期的には日本人の貧困化が起こる

参院選で主要政党の経済運営の主張は

・各年度で不要額をもとに現金給付するため、赤字国債に頼らない
・まず消費税減税。そうすれば経済活性化され税収が増え減税分を復元できる

現金給付と減税は、「鶏が先か卵が先か」のような違いでしかなく、選択肢とは言えない。

円安とインフレ税で国家債務の実質消滅を目指す日本

ラジオ日経の「ザ・マネー~西山孝四郎のマーケットスクエア」 7月18日放送分で、明確にインフレ税を説明していた。

20250718-marketsquare01.jpg

20250718-marketsquare02.jpg

20250718-marketsquare03.jpg

20250718-marketsquare04.jpg

20250718-marketsquare05.jpg

円安で国民それぞれの資産がどんどん減っているのに、誰も気づいていない!

との解説は的を得たものだと感じた。

この10年、実際に何が起こったのか

バブル崩壊後には、次の2点が主な問題だと認識されてきた

・国家債務の膨張(主要国の中でGDP比ワースト)
・人口減少がほぼ確定

そして、解決方法(国が目指す方向)は次の一つの選択肢だけ

・経済成長することで債務残高の縮小と社会福祉の維持

他の選択肢として次のようなものがあったはずだが、完全に切り捨てられたと思われる

・人口減少と歩調を合わせて経済縮小させ需給バランスを保つ

経済成長を選択したため、人口減少を踏まえると

・外国人の単純労働者移民を労働投入
・資本と生産性が増えなくても、労働投入が増えれば理論的には経済成長できる

ということになり、急速な単純労働移民を企図したが、人口減少(生産年齢人口減少)のペースが早すぎて、労働投入量が実質的に減少し始める。

・女性活躍、人生100年というスローガンで無理やり日本人労働者を増やす

それでも労働者数が少なく、結果として供給不足インフレに至る。

ここまでが、人口減少に対するアクションが、結果として失敗に終わりつつある姿を順に書いてきたが、もう一つ、債務残高の問題については

・金融緩和による円安誘導でインフレを起こす

という手法が、何十年間も失敗し続けていたが、ウクライナ戦争による世界的な供給制約が加わったことで供給不足インフレが起こってきた。

さらには、労働者数の制約も加わり、猛烈な供給不足インフレが起こっているのが今の状態。

物価高騰の主原因は、バブル崩壊後に行ってきた経済政策の大きな目標が「経済成長」だったからであり、そこを「人口減少に合わせた経済縮小」にチェンジすれば、大きく改善するはず。(国をソフトランディングさせるには、おそらくこれくらいしか選択肢はなさそう)

つまり

・少なくともCPI(現在は3%オーバー)と同じレベル(3%〜4%)の政策金利に引き上げ、円高誘導する
・供給不足の解決は需要の削減で行い、不要不急産業を減少させる
・不要不急産業(飲食・観光・娯楽)の外国人を帰国させる、観光入国を減少させる

ということになる。生産性の高い製造業をカットするのではなく、不要不急産業をカットする。不要不急産業がシャットダウンしたコロナ禍でも、製造業により経済体制は維持できていたのだから、現在これを行っても問題ないはず。

外国人を全て帰国させても、不要不急産業に投入されている日本人を「リスキリング」して製造業や第1次産業に再投入すれば、必要労働者数を満たせる可能性は高い。 有識者がよく使うバズワード「リスキリング」は高齢者に適用するのではなく、不要不急産業の人たちに適用するのが合理的だと思う。

実際の相場から見てみよう

20250718-usd2jpy.jpg
ドル円相場(超長期 1988年〜2025年)

20250718-n225.jpg
日経平均(超長期 1988年〜2025年)

「ザ・マネー~西山孝四郎のマーケットスクエア」で指摘していたように、この10年ほどの日経平均の動きは、ほぼドル円相場に連動している。

そして、日経PERもほぼ連動しているということは、日本経済がドル円相場に連動しているだけ、全く成長していないということを如実に表しているのではないだろうか。

20250718-n225-per-usd2jpg.jpg
日経平均・日経平均PERとドル円相場の推移(長期 2009年〜2025年)

ドル建て日経平均と、円建ての日経平均を比較すると、ドル建てでは日経平均はこの15年で2倍に届いていない。

20250718-n225-usd.jpg
ドル建て日経平均(長期 2009年〜2025年)

それに対して米国のS&P500はこの15年で1200から6000なので5倍に増えている。

20250718-sp500-us10y.jpg
S&P500と米国10年債(超長期 1990年〜2025年)

選挙後のマーケット予想

経済アナリスト馬渕磨理子氏のYouTubeチャンネルで詳細な選挙結果の影響解説があった。

20250718-mabuti01.jpg
参院選後 株式市場のシナリオ

私が考える「長期的に経済成長率を鈍化させインフレを抑える」ためには、「自公+立民」という選択肢が最も整合性が高いように思える。

しかし、外国人労働者を入れ続ける(共生社会を主張する)自公・立民・共産では不要不急産業のカットはできない。そうであるなら、まず外国人を減らして不要不急産業をカットすることで、経済政策全体を変えさせるためには、外国人排除を訴える参政や保守、あるいは維新に投票するしか無いのだろうか。

これも「鶏が先か卵が先か」のような選択肢になりそうだ。

20250718-mabuti02.jpg
外国人労働者・土地買収規制 比較表

20250718-mabuti03.jpg
日本金利上昇 要因別寄与度

日本の財政運営が放漫となり、いわゆる「トラスショック」が起こるのかと思いきや、意外にアメリカの金融政策にしか影響されていないようだ。