2023年6月末に「FIRE条件の達成」で退職してから、はや半年が過ぎたが...
国民年金掛金の2年前納手続き
国民年金掛金の2年前納は毎年4月分からしか開始できないため、2023年9月までは毎月納付書支払い、10月から2024年3月まではクレジットカードで6ヶ月前納を行った。
2024年4月から2年前納するために、再度、クレジットカード引き落としの手続きに年金事務所に赴いた。
こういうのは、ネットで手続きできるようにしてもらいたいものだ...
国民年金掛金を前納した場合の割引はどれくらいか試算してみる
2024年4月からの2年前納の掛金額は、まだ年金機構のWebページに掲出されていないため、2023年4月からの値をもとに試算してみる。
年度 | 月額(納付書で毎月納付) |
---|---|
2023年度 | 16,520円 |
2024年度 | 16,980円 |
2年間 毎月納付書で支払う場合は
・ 16,520 円 × 12 ヶ月 + 16,980 円 × 12 ヶ月 = 402,000 円
それに対して、前納での支払額と、割引率は
支払い方法 | 2年前納の支払額 | 割引率 |
---|---|---|
納付書 or クレジットカード | 387,170 円 | (402,000 - 387,170)/ 402,000 = 3.69 % |
口座振替 | 385,900 円 | (402,000 - 385,900)/ 402,000 = 4.00 % |
同様に、昨年10月に支払った6ヶ月前納の場合の割引率も計算してみた
支払い方法 | 2年前納の支払額 | 割引率 |
---|---|---|
納付書 or クレジットカード | 98,310 円 | (99,120 - 98,310)/ 99,120 = 0.82 % |
口座振替 | 97,990 円 | (99,120 - 97,990)/ 99,120 = 1.14 % |
私が国民年金掛金の引き落としに利用しているUCカードの「Amazonギフト券でのポイント還元率」は0.5%のため、6ヶ月前納・2年前納のどちらでもクレジットカードを利用したほうが割引率が高い。
FIRE民にとって、国民年金基金は損か得か
国民年金基金のWebページで、(現在の私の条件として)53歳スタートで掛金と年金額を試算してみた。
掛金(60歳まで月額) | 16,510 円/月 |
掛金総額 | 16,510 円 × 12ヶ月 × 7年 = 1,386,840 円 |
年金額(65歳から終身の年額) | 82,100 円/年 |
年金額(65歳から終身の月額) | 82,100 円 / 12ヶ月 = 6,842 円/月 |
この条件で、「何歳までもらうと、もとが取れるか」を計算すると...
1,386,840 円 / 82,100 円 = 16.9 年 (16年と10.8ヶ月)
国民年金基金のWebページに書かれているように、85歳まで受給すると損得が逆転する。
さて、ここからが本題で、年金の繰り下げ加算の効果が国民年金基金の受給額と一致する繰り下げ月数を計算してみる。
年金の繰り下げ加算効果は 1ヶ月あたり 0.7% なので、これを用いると
年金額 = a
繰り下げ月数 = b
a × b × 0.007 = 82,100
matplotlibでグラフ化すると
#!/usr/bin/python3 # -*- coding: utf-8 -*- import matplotlib.pyplot as plt import numpy as np ### 日本語フォントの設定 plt.rcParams["font.family"] = "Noto Sans CJK JP" ### 日本語フォントの設定(ここまで) # x軸のサンプル値を配列に格納 arange(開始値, 終了値, 増分) a = np.arange(1400000, 2200000, 10000) b = 82100 / 0.007 / a fig, ax = plt.subplots() ax.plot(a, b, color='red', label='a × b × 0.007 = 82,100') ax.grid(color='#bbbbff', linestyle='dashed') ax.set_title(u'国民年金基金の受給額と厚生年金の繰り下げ増額分が同一となる繰り下げ月数') ax.legend(loc='upper right') ax.set_xlabel(u'a : 65歳時点での厚生年金額(繰り下げ・繰り上げなしの額)') ax.set_xticks([1400000, 1600000, 1800000, 2000000, 2200000]) ax.set_xticklabels([u"140万円", u"160万円", u"180万円", u"200万円", u"220万円"]) ax.set_ylabel(u'b : 繰り下げ月数(ヶ月)') plt.show()
この年金繰り下げ期間に受給しそこなった年金の合計額は、厚生年金のベース金額がいくらであろうとも一定額となる。
b = 82100 / 0.007 / a * (a / 12) = 82100 / 0.007 / 12 = 977,380 円
結論
国民年金基金ので受給できる年金額 82,100 円/年 を得るためには、年金基金の掛金総額 1,386,840 円である。それに対して、厚生年金の想定ベース金額がいくらであろうとも繰り下げすれば82,100 円/年だけ増額でき、その期間に受給できたはずの厚生年金額の総額 977,380 円である。
つまり、国民年金基金に入るより厚生年金を繰り下げしたほうが得である。
なぜなら、国民年金基金の損得水準は、「所得税が課税されている人が所得控除を使って初めてトントンとなる」設定であるからだ。住民税非課税世帯を維持しているはずのFIRE民にとっては、全く関係のないことだ。
確定申告
1月4日からe-Taxの確定申告Web入力が可能になったので、さっそく、1月5日に入力し送信した。
FIRE民が退職したときに、特に今年のみ注意しておきたいのが「退職金」「国民年金・国民健康保険掛金」。
まずは「退職金」から。
雑誌などでは、次のように書かれている
それによれば、退職金の受領時に分離課税の源泉徴収票を受け取っている場合は、確定申告は義務ではないとのこと。
e-Taxの入力でも、分離課税としてちゃんと扱われるので、入力しても問題はない。(入力前後で、最終的な還付額に変化がないことを確認すること)
なお、所得控除額は自動計算されず、単に源泉徴収票の値を入力するだけ。検算したいなら次のように簡単に計算でき、
退職所得控除額 = 800万円 + 70万円×(勤続年数 ー 20年) = 800 + 70 × (31 − 20) = 1,570万円
源泉徴収票の値が間違っていないことがわかる。
なお、法条項の適用は「第1項1号:退職は1社、第1項2号:退職が2社、第3項:源泉徴収票なし」なので、普通は第1項1号のデフォルト値でOK。
つぎに「国民年金・国民健康保険掛金」。
退職後に支払った国民年金・国民健康保険掛金を忘れずに入力する。
なお、国民年金の前納(私の場合は10月に6ヶ月分前納)を行った場合は、その額も合わせて入力する。これは、年金機構から送付されてきた源泉徴収票に書かれているとおりだ。