2月中旬に購入した天体望遠鏡で、電子観望や写真撮影を行うために、高感度CMOSカメラを購入した。
Sky-Watcher MAK90(焦点距離 f=1,250mm)にASI662MC(撮像素子長辺 h=5.6mm)を取り付けたときの視野角は、長辺側が
θ = atan((h/2)/f)*2 = 0.257度 (0度 15分 24秒)
と、かなり狭い。
この視野角の狭さが、いったいどれほどのものなのか、テスト撮影してみた。
地上の景色
近いところから、遠くまでそれぞれ確認した。
梅田スカイビル展望台 : 1.8 km
1.8km離れたところにある、梅田スカイビルの展望台を撮影してみます。デジタル一眼レフの250mmレンズよりも、はるかに高倍率です。展望台にいる人の顔が識別できるレベルです。
梅田スカイビル (MAK90, 0.5x レデューサー, ASI662MC)
視野角を広げるため、0.5倍のレデューサーを取り付けてみたのが、この写真。周辺がボケてしまい、あまり実用的ではない。
一眼レフで撮影した、肉眼で見た感覚の画角は次のようなものだ。
千里万博公園 太陽の塔 : 14 km
スカイビルのちょうど真下に、万博公園の太陽の塔が見えています。距離は14.0kmほどのところです。空気の揺らめきで、ゆらゆらと見えていました。
六甲山、東おたふく山 : 22 km
春霞の快晴だった2023年3月5日、22km向こうにある六甲山最高峰を撮影しました。右側に自衛隊の通信塔(この付近が山頂)。左側に登山道が折り返して、ベンチのある東屋が見えています。
10枚の写真を結合した動画をダウンロードする(大気の影響で揺らいで見えています)
六甲山最高峰の800mほど西側にある、西おたふく山の山頂です。国土交通省の通信塔があります。撮影を行った時のWindows PCの画面はこういう感じで...
西おたふく山の山頂と、撮影ソフトウエア、AZ-GTi制御ソフトウエア画面
無限遠の星景
オリオン大星雲 M42
春霞かつ、すぐ横に半月が出ている状況で、長時間のライブスタックはできなかった。
オリオン大星雲 M42 (MAK90, ASI662MC, 高感度 0.5sec×スタック)
星雲の中心部、四重星トラペジウム近傍だけしか撮影できないことになる。
木星
春霞 & 低高度のため、リアルタイムで画面上で見ていても、ぼんやり、ゆらゆらとしています。
木星(MAK90, ASI662MC, 低感度 0.1sec×スタック)
ガリレオ衛星が見えます。
木星(MAK90, ASI662MC, 低感度 0.004sec×スタック)
惑星の横縞が、この画面では上下方向に微妙に見えています。
月
天頂付近の月は、春霞の状況でもそれなりにくっきりと見えています。しかし、視野角は月の半分くらいしかありませんので、撮影できるのも月の一部分だけです。
ASICAPのRAWモードで撮影してしまった場合
RAWモードで撮影すると、出力されたファイルは一見モノクロのように見える。画像と同時に出力されるtxtファイルには次のようになっている
[ZWO ASI662MC] Auto Exp Max Exp = 30000ms Auto Exp Max Gain = 300 Auto Exp Target Brightness = 100 Bin = 1 Brightness = 15 Capture Area Size = 1920 * 1080 Colour Format = RAW8 Debayer Preview = ON Debayer Type = RGGB Exposure = 2ms Flip = None Gain = 0 Hardware Bin = OFF High Speed Mode = OFF Mono Bin = OFF Raw Format = ON StartX = 0 StartY = 0 Temperature = 38.4 C Timestamp Frames = OFF USB Limit = 100 USB Port = 3.0 White Balance (B) = 75 White Balance (R) = 55
ASICapが出力したRAW画像(縮小してjpeg保存した)
このRAWファイルは、Fitswork(https://www.fitswork.de/software/softw_en.php)を用いてデコードすることができる
Fitsworkを起動し、デコードしたい画像を読み込んだうえで、Processing -> Bayer Interpolation -> demosaic Camera Raw Image のデコーダを実行する