2018年2月から契約していた新電力のLooopでんきが、2022年12月よりJPEX市場価格(30分ごとのスポット価格)に完全連動するということで、緊急脱出することにした。
数多くの新電力会社があるが、まさか市場価格(スポット価格)をそのまま一般家庭顧客に転嫁するような非常識な会社があるとは...
市場価格(スポット価格)で購入するなら、電力会社など要らんのである。つまり、電力会社が自身を否定するという、まさしく"電力自由化が失敗した象徴例"。
Looopでんきの新プラン(2022年12月〜)料金計算方法
Looopでんき 電気料金種別定義書 より抜粋
電力量料金は、電源料金、固定従量料金の合計といたします。(1) 電源料金
お客様の30分毎の電力使用量×{その30分毎のエリアプライス÷(1 - エリア損失率)×1.1(消費税等相当額)}エリアプライス = JPEXの30分毎のスポット市場価格
(2) 固定従量料金
エリア損失率 = 関西電力管内の値は7.8%
関西電力管内は使用電力量 1kWhにつき、託送費8.65 円 + サービス料5.5 円 = 14.15 円
これを簡単にまとめると
電力量料金 = 使用電力量 × {( スポット価格 / 0.922 )+ 14.15 } × 消費税
JPEX市場価格はどんなものなのか
JPEXのWebページ内の『取引情報:スポット市場・時間前市場』で、過去の日毎・時間帯ごとのデータや、統計表が入手できる。
LooopでんきのWebページで、市場価格が高かった日・安かった日として例示されている2022/01/11と2021/05/03の時間帯別データと、2022年の最高気温が最も高いレベルにある日と最低気温が最も低いレベルにある日の時間帯別データを抜き出してみた。
また、一般家庭で電気を最も使う時間帯「DA-DT: Day Ahead Day Time (8:00-22:00)」の市場価格を日毎グラフにしたものを作ってみると
新プランでの自宅の電気料金を試算してみる
DA-DTの中央値で電気を使ったと仮定して、冬・春・夏・秋のそれぞれの自宅の典型的な電気使用量を用いて電気料金を算出してみた。
a=使用量 | b=DA-DT | c=b/0.922+14.15 | 電気料金=a*c*1.1 | |
---|---|---|---|---|
冬 | 500 kWh | 25 円/kWh | 41.3 円/kWh | 22,696 円 |
春 | 200 kWh | 15 円/kWh | 30.4 円/kWh | 6,692 円 |
夏 | 300 kWh | 30 円/kWh | 46.7 円/kWh | 15,407 円 |
秋 | 200 kWh | 20 円/kWh | 35.8 円/kWh | 7,885 円 |
Looopでんきの旧プラン(〜2022年11月)料金計算方法
電力量料金 = 使用電力量 × { 電力単価 + 燃料調整額 + 再エネ賦課金 } × 消費税
20/01 |
22/01 |
22/02 |
22/03 |
22/04 |
22/05 |
22/06 |
22/07 |
22/08 |
22/09 |
22/10 |
22/11 |
22/12 |
|
電力単価 |
22.4 |
22.4 |
22.4 |
22.4 |
22.4 |
22.4 |
22.4 |
25.5 |
25.5 |
25.5 |
25.5 |
25.5 |
25.5 |
燃料調整額 |
0.03 |
1.2 |
2.03 |
2.72 |
3.02 |
3.27 |
3.42 |
4.13 |
4.9 |
6.14 |
11.96 |
12.59 |
11.66 |
再エネ賦課金 |
2.95 |
3.36 |
3.36 |
3.36 |
3.36 |
3.45 |
3.45 |
3.45 |
3.45 |
3.45 |
3.45 |
3.45 |
3.45 |
旧プランでの自宅の電気料金を試算する
価格上昇した2022年12月の値が、今後も下がらなかったと仮定して計算する。
a=使用量 | b=電力単価+燃料調整額+再エネ賦課金 | 電気料金=a*b*1.1 | |
---|---|---|---|
冬 | 500 kWh | 40.6 円/kWh | 22,336 円 |
春 | 200 kWh | 40.6 円/kWh | 8,934 円 |
夏 | 300 kWh | 40.6 円/kWh | 13,401 円 |
秋 | 200 kWh | 40.6 円/kWh | 8,934 円 |
関西電力 従量電灯A
料金体系は、使用量が多くなるほど単価が高くなるという形態。2022年12月の値は...
区分 | 単価 |
---|---|
基本料金 | 341 円 |
15kWh〜120kWh | 20.31 円/kWh |
120kWh〜300kWh | 25.71 円/kWh |
300kWh〜 | 28.70 円/kWh |
区分 | 単価 |
---|---|
基本料金 | 33.66 円 |
15kWh〜 | 2.24 円/kWh |
1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
基本料金 | 18.07 | 30.44 | 33.66 | 33.66 | 33.66 | 33.66 | 33.66 | 33.66 | 33.66 | 33.66 | 33.66 | 33.66 |
15kWh〜 (円/kWh) | 1.20 | 2.03 | 2.24 | 2.24 | 2.24 | 2.24 | 2.24 | 2.24 | 2.24 | 2.24 | 2.24 | 2.24 |
燃料調整額は2022/03以降は頭打ち。これは、規制料金の改正は政府の認可が必要だから。
区分 | 単価(2021/05〜2022/04) | 単価(2022/05〜2023/04) |
---|---|---|
基本料金 | 50.40 円 | 51.75 円 |
15kWh〜 | 3.36 円/kWh | 3.45 円/kWh |
電気料金 = 電力単価 + 燃料調整額 + 再エネ賦課金
関西電力 従量電灯Aでの自宅の電気料金を試算する
2022年12月の値で計算する。たとえば、500kWhの電力単価は
341 + (120-15)*20.31 + (300-120)*25.71 + (500-300)*28.70 = 12,841円
となる。
a=使用量 | b=電力単価 | c=燃料調整 | d=再エネ | 電気料金=(a+b+c+d)*1.1 | |
---|---|---|---|---|---|
冬 | 500 kWh | 12,841 円 | 1,120 円 | 1,725 円 | 17,255 円 |
春 | 200 kWh | 4,530 円 | 448 円 | 690 円 | 6,235 円 |
夏 | 300 kWh | 7,101 円 | 672 円 | 1,035 円 | 9,689 円 |
秋 | 200 kWh | 4,530 円 | 448 円 | 690 円 | 6,235 円 |
それぞれの電力料金の試算値を比較
使用量 | Looop新(市場価格) | Looop旧 | 関電 従量電灯A | |
---|---|---|---|---|
冬 | 500 kWh | 22,696 円 | 22,336 円 | 17,255 円 |
春 | 200 kWh | 6,692 円 | 8,934 円 | 6,235 円 |
夏 | 300 kWh | 15,407 円 | 13,401 円 | 9,689 円 |
秋 | 200 kWh | 7,885 円 | 8,934 円 | 6,235 円 |
今後もLooopでんきの価格が急上昇していくのに比べ、関西電力は「規制料金を値上げ申請していない」ため、このまま比較最安値が続くことは明らか。
まさしく、新電力の存在意義はゼロということになる。
さようなら Looopでんき
LooopでんきのWebページには、
のような「ふざけた」書き方をしているが、JPEX市場価格を見ながらゲーム感覚で生活パターンを毎日のように流動化せよというのだろうか。
真夏の午後は、JPEX市場価格が高くなる時間帯だが、ゲーム感覚で「熱中症ゲーム」とかするのかな。それとも、昼間は図書館に入り浸るホームレスのようなことを推奨するのかな。それこそ、命に関わったり、公共施設の他の利用客の迷惑になるだけだ。(全員が公共施設に殺到すれば、収容しきれない。ピークシフトせよというのは無責任にもほどがある)
電力契約を切り替えてから4年ほどLooop電気を使ってきたが、関電より少々単価が上がったからといってすぐに解約するということはしなかった。ベンチャー起業の新電力というものに少しは期待し、サポートしたいという気持ちがあったのかもしれない。
これまでの節約額は、おそらく今年の夏以降の猛烈な値上げでチャラになっているはずだ。結局、私にとっては新電力はなんの存在意義もなかった。
もう、一般市民を惑わすような、わけのわからない自由化などしないでもらいたい。(民主党政権が作った自由化制度の欠陥が明らかになり、この自由化は大失敗となった)
節約額チェッカー (関西電力従量Aと比較できないくらい値上がりした9月以降は、意図的に非表示になっている)
電力使用量 (12月12日以降は、スマートメーターから読み出された値に更新されない)
関西電力との新契約
2022年10月27日、関西電力のWebページより電力切り替えを申し込み
↓
2022年11月16日、関西電力より「供給者変更(開始)手続き受付完了」メールを受信
供給者変更(開始)手続き受付完了のお知らせ(関西電力)
この度は、「供給者変更のお手続き」のお申込みをいただき、ありがとうございました。
お申込みいただきました、内容につきましては、次のとおり受付いたしました。受付番号 110-*****
お申込み内容 供給者変更(開始)手続き
料金メニュー 従量電灯A
ご契約開始予定日 2022年12月13日
お支払い方法 請求書ご契約内容の詳細は、後日、「はぴeみる電」または書面(郵送)にてお知らせいたします。
【連絡事項】
供給者変更のお手続きは、現在ご契約されている小売電気事業者さまからの契約廃止申込みがない限り、成立しないことになります。
供給者変更(開始)手続きが成立しなかった場合は、当社からお客さまにご連絡させていただきます。
↓
2022年12月18日現在、これ以降のメールや電話、郵便での連絡は無し。 (LooopでんきのWebページで契約末日が表示されたので、契約は切り替わっているのだろうと推測)
↓
12月22日、関西電力より「電気のご契約内容に関するお知らせ」が郵送される。文書の発行日は12月14日付(使用開始日は12月13日)。お客様番号と供給地点特定番号が記されている。
↓
12月22日現在、関西電力のWeb はぴeみる電のID,パスワードはまだ通知されず