11月に受けた人間ドックで便潜血陽性(2回の内1回陽性)だったので、大腸内視鏡検査を受けたところ、ポリープが見つかった。その切除手術を1泊2日の入院で受けてきた。
大腸ポリープの分類
大腸癌学会の資料からの転載
今回見つかったポリープは、0-Is(無茎型)と0-Ip(有茎型)が1個ずつ。両方を切除した
参考資料
ポリープ切除写真
S状結腸に発見された0-Ip(有茎型)ポリープ
11月に受けたスクリーニング検査のとき、30cmのところにあったやつだ。切除写真の before and after を、ドクターPCの液晶画面を撮影したもの
ドクターの説明では、クリップは1週間ほどで流れ去るそうだ。こんな巨大なステンレス製洗濯バサミ、ウンチに混じって出た記憶がないが...
上行結腸に発見された0-Is(無茎型)ポリープ
写真を見せてもらったが、素人目には盛り上がりがあるのかどうかも分からず。コールドスネアポリペクトミー(CSP)で切除
組織診断の結果を見ると、地味な見かけのこっちのほうが怪しそうやね。ドクターの説明では、組織診断で「断端陰性」なので、病変部は完全に取り切れているとのこと
組織診断の結果
S状結腸に発見された0-Ip(有茎型)ポリープの所見は
- 一部に鋸歯状構造を示す過形成上皮の増生を認める
- 上皮に異型性はみられない
- 診断:過形成性ポリープ(Hyperplastic polyp)
上行結腸に発見された0-Is(無茎型)ポリープの所見は
- 鋸歯状構造を示す過形成上皮の増生を認める
- 一部線管に底部のT字型拡張も認める
- SSA/Pと考えられる
- 診断:SSA/Pである。断端陰性(cut end : negative)
掛かった費用
支払った料金は53,000円ほど(事前説明1回分+手術入院1回分)だったのだが、これの内訳はどうなってるんだろう...
厚労省の「令和2年度診療報酬改定について」に、『診療報酬の算定方法の一部を改正する件(告示)』が掲載されているので、これを元に病院で発行された診療明細書を検算してみよう
DPC 包括 | A100 | 急性期一般入院料1 | 1,650 | 2 | 3,300 | 8,612 |
A100 | 一般病棟加算(14日以内) | 450 | 2 | 900 | ||
A200 | 総合入院体制加算2 | 180 | 2 | 360 | ||
A218 | 地域加算2級地 | 15 | 2 | 30 | ||
A207-3 | 急性期看護補助体制加算 25対1 (看護補助者5割以上) | 240 | 2 | 480 | ||
A207-4 | 看護職員夜間配置加算 12対1配置加算 | 105 | 2 | 210 | ||
A244 | 病棟薬剤業務実施加算1(週1回) | 120 | 1 | 120 | ||
A207 | 診療録管理体制加算1 | 100 | 1 | 100 | ||
A204 | 地域医療支援病院入院診療加算 | 1,000 | 1 | 1,000 | ||
A204-2 | 臨床研修病院入院診療加算 基幹型 | 40 | 1 | 40 | ||
A234 | 医療安全対策加算1 | 85 | 1 | 85 | ||
A234 | 医療安全対策地域連携加算1 | 50 | 1 | 50 | ||
A207-2 | 医師事務作業補助体制加算1(25対1補助体制) | 630 | 1 | 630 | ||
A243 | 後発医薬品使用体制加算1 | 47 | 1 | 47 | ||
A234-2 | 感染防止対策加算1 | 390 | 1 | 390 | ||
A234-2 | 抗菌薬適正使用支援加算 | 100 | 1 | 100 | ||
A234-2 | 感染防止対策地域連携加算 | 100 | 1 | 100 | ||
A252 | 地域医療体制確保加算 | 520 | 1 | 520 | ||
A245 | データ提出加算2(200床以上) | 150 | 1 | 150 | ||
N000 | 病理組織標本作製(1臓器あたり) | 860 | 2 | 1,720 | 1,720 | |
入院料 | A247-2 | せん妄ハイリスク患者ケア加算 | 100 | 1 | 100 | 195 |
A219 | 療養環境加算 | 25 | 1 | 25 | ||
234-3 | 患者サポート体制充実加算 | 70 | 1 | 70 | ||
病理 | N006 | 病理診断料 組織診断料 | 450 | 1 | 450 | 770 |
N006 | 病理診断管理加算2(組織診断) | 320 | 1 | 320 | ||
手術料 | K721 | 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術(長径2cm未満) | 5,000 | 1 | 5,000 | 5,219 |
薬剤 6種類分 | 219 | 1 | 219 | |||
食事 | 食事標準負担額(1食) | 46 | 2 | 92 | 220 | |
入院時食事療養費(1食) | 64 | 2 | 128 | |||
薬剤 | 下剤(モビプレップ、ビスコルファートNa) | 204 | 1 | 204 | 204 | |
外来診療 | A002 | 外来診療料 | 74 | 1 | 74 | 74 |
検査料 | D208 | 心電図検査(12誘導) | 130 | 1 | 130 | 658 |
D012 | 梅毒トレポネーマ抗体定性 | 32 | 1 | 32 | ||
D012 | 梅毒血清反応(STS)定性 | 15 | 1 | 15 | ||
D013 | HCV抗体定性・定量 | 108 | 1 | 108 | ||
D013 | HBs抗原定性・半定量 | 29 | 1 | 29 | ||
D026 | 血液学的検査判断料 | 125 | 1 | 125 | ||
D026 | 免疫学的検査判断料 | 144 | 1 | 144 | ||
D026 | 検体検査管理加算(I) | 40 | 1 | 40 | ||
D400 | 血液採取(静脈) | 35 | 1 | 35 | ||
E001 | エックス線 単純撮影 | 85 | 1 | 85 | 210 | |
E002 | エックス線 単純撮影デジタル撮影 | 68 | 1 | 68 | ||
電子化して管理及び保存 | 57 | 1 | 57 | |||
17,882 | ||||||
3割負担 | 5,365 |
診療明細書の表を作成したodsファイルをダウンロードする
病理診断には「2臓器」とあるので、「上行結腸、横行結腸及び下行結腸」「S状結腸」「直腸」のうちの2箇所に1個ずつポリープがあったということだ。同一箇所なら、何個ポリープをとっても「1臓器」
世の中には、「日帰りでポリープまで切除する」という病院もあるため、仮に入院が必要なかったとしたら不要となる金額を計算してみる。赤字(黄色マーカー)のところがそれに該当するもので、9,027点。
そして、入院が必要なくなれば不要となると思われる検査は、水色のマーカーで着色したところで、868点となり、入院にかかる全ての診療点数は9,027+868 = 9,895点。3割負担で2,968点(29,680円)
これらを差し引くと、ポリープ切除にかかる実質診療点数は7,987点。3割負担なら2,396点(23,960円)である。
手術料より、入院料のほうが高いではないか。それに、明細書を見ると、どう考えても「余計な項目」がたくさんあり、そんなサービスは受けてないし、必要もないような「加算項目」がたくさん紛れ込んでいる。
そもそも、ポリープを切除するのに「地域連携」とは何ぞな。さらには「せん妄ハイリスク患者ケア」とは失礼な話だ。そんなケア受けたっけ...(笑
入院診療点数のうち、最低限必要そうなのは、リストの上から2項目〜4項目程度(5,000点程度)くらいしか無いのではないだろうか。
茎が伸びきった0-Ip(有茎型)ポリープは、茎の部分に血管が通っていて、切断するとここから大出血の可能性もあるため、入院が好ましいと考えられているのだろう。
2個取って、とりあえず「悪性のポリープではなかった」のだから、これで良しとしよう
今後
すくなくとも、3年後に内視鏡検査を再び受けてくださいとのこと。