梅雨明け直後の好天に、蝶ヶ岳または双六岳テント泊で夏の高山植物を満喫しに行く予定を立てた。
しかし、天気予報がだんだん悪い方に傾いてゆき、発雷確率が80%近くとなり、天気予報文にも「雷を伴い 激しく降る」となっている。
雷雨に見舞われ小屋に緊急避難するにも、蝶ヶ岳ヒュッテは満室なので避難場所とはなりえない。空気感染するとも言われるコロナのインド変異株は、大部屋雑魚寝の小屋泊まりは極力避けたい。
今回は残念ながら中止せざるを得ない。
この判断が「良かったのかどうか」は、この記事の後半で実際の気象情報などをもとに検証しているが、結果として「良かった」。
テント(Naturehike Tagar 1)の展開テスト (7月14日に実施)
気象庁の予報文
岐阜県府県天気予報 7月17日11時
飛騨地方
今日 南の風 晴れ 時々 くもり 所により 昼過ぎ から 夜のはじめ頃 雨 で 雷を伴い 激しく 降る
明日 東の風 後 南の風 晴れ 時々 くもり 所により 昼過ぎ から 夜のはじめ頃 雨 で 雷を伴い 激しく 降る
明後日 北西の風 後 南の風 くもり 時々 晴れ
長野県府県天気予報 7月17日11時
中部
今日 北の風 後 南の風 晴れ
明日 南の風 晴れ 昼過ぎ から 時々 くもり 所により 夕方 から 夜のはじめ頃 雨
明後日 北の風 晴れ 時々 くもり
予報は、時間が経過するごとに悪くなる傾向。
長野県府県天気予報 7月17日17時
中部
今夜 南の風 晴れ
明日 南の風 晴れ 時々 くもり 所により 夕方 から 夜のはじめ頃 雨 で 雷を伴い 激しく 降る
明後日 北の風 晴れ 時々 くもり
Mountain Weather Forecast
岐阜県側、長野県側の双方とも、15時台・18時台は雷雨の予報となっている
発雷確率
IMOCの発雷確率によれば、15時〜18時に80%台となる予報が出ている
GPV
雨量・雲量予報では、岐阜・長野・富山の県境付近(槍ヶ岳付近)に雲が発生する予報となっている。(18時の画像に矢印を付けた場所)
小屋の予約状況
雷雨に見舞われて、小屋泊に緊急避難的に切り替えることが出来るか、念の為確認。
下の写真のように大部屋詰め込みで体裁だけのパーティションでは、ほとんど効果無さそう。ワクチン1回の私が保有する防御力では、耐えれそうにない。
双六小屋の大部屋の参考写真(YAMAPより転載)
星空
国立天文台のこよみの計算(https://eco.mtk.nao.ac.jp/cgi-bin/koyomi/koyomix.cgi)で長野市での値を出してみた
7月18日の
・月の南中 18:31(月齢8.1)
・日没 19:04 (方位297度)
・天文薄明 終 20:50
・月の入り 24:00
7月19日の
・天文薄明 始 02:59
・日出 04:43(方位74度)
天文薄明終わりの時間を過ぎても半月が出ていて、星空観察どころではない
午前0時過ぎに起きて、晴れていれば星空観察
3時以降は空が白み始める
実際はどうだったのか。天気予報は当たったのか
7月17日(土曜日) 登山予定日の前日
登山予定日の前日(7月17日)は絶好の登山日和。夕方近くに一瞬雲が出るが、降雨は見られない。昼間の最高気温表示が32℃で、まるで地上の猛暑だ。
Twitterに投稿されていた蝶ヶ岳テント場の様子(7月17日)
Twitterに投稿されていた蝶ヶ岳テント場の様子(7月17日)
ちなみに、予約不要のテン場は大混雑のようだ。三股の駐車場がいっぱいということは、客の殆どは「非常事態宣言の出ている、感染者だらけの」首都圏人ということか。
5ちゃんねる掲示板 : 北アルプス106 (376レス)
373 2021/07/17(土) 12:10:12
午前中に蝶ヶ岳のテン場に到着したけど既にメチャ混んでる
予約要らないしな
378 2021/07/17(土) 15:31:47
蝶ヶ岳行ったけど混みすぎ
0時過ぎに着いて第一に停められないとは
山頂は人だらけ
テント場は張る場所なし
Twitterに投稿されていた双六小屋の様子(7月17日 10時頃)
裏銀座は、東京から遠いため比較的空いている。
7月18日(日曜日) 登山予定日
発雷予報が当たったかどうか、登山予定日(当日)の雨雲レーダーとライブカメラでチェックしてみよう。
レーダーによれば、14時ごろに双六岳の北、薬師岳付近に雷雲が発生(画面の左上)。15時過ぎには双六岳や槍ヶ岳付近にも雷雲が発生し(他面の中央上)、16時前には双六岳付近で成長(画面右上)。17時頃には穂高連峰の上に雷雲があり、西穂高ロープウェイの山上駅付近に落雷(画面左下)。17時半ごろには双六岳付近に落雷(画面の中央下)、その後上高地にも落雷(画面の右下)。
北アルプス南部は、どこに雷雲が発生し落雷してもおかしくない、不安定な天気だったことが分かる。
蝶ヶ岳ヒュッテから穂高連峰方向を撮影したこのライブカメラでは、11時ごろから少しずつ雲が発生し始め(画面の中央左)、13時ごろまでは所々晴れ間も見えているが、14時には空一面が雲に覆われている(画面の中央右)。16時から17時ごろは次々と雲が通り過ぎ、ガスに包まれることも。19時ごろには雲が少し切れて、日没が若干見えている状況。
下山予定日は8時ごろにガスが晴れるまで、日の出前からずっとガスの中。
新穂高ロープウェイの山上駅から笠ヶ岳方向のライブカメラ(7月18日)
長峰山から常念山脈方向のライブカメラ(7月18日17:13)
登山中止した事後検証としては、発雷予報は当たって、当日はどこに落雷するかわからなかった。稜線上でのキャンプを取りやめた判断は正しかった。
次善策としては、徳沢にテントを張り、蝶ヶ岳をピストン往復すれば雷雲が発生する時間帯の前の14時ごろには徳沢に戻ってこれたはず。結果が分かってからなら、こういうことが言える。