梅雨の中休み、つかの間の晴れ間、和泉葛城山に登ってきた。
ヤマレコの記事 『和泉葛城山(蕎原バス停・Bコース往復・塔原バス停)』
貝塚市 蕎原からの登山道はAコースなのだが、治山工事のため今月末まで通行止め。今回は岸和田市と貝塚市の境界線上の尾根筋を登るBコースを往復した。
■JR大阪環状線 福島駅 07:08発 → 新今宮駅 07:19着 (運賃 180円)
■南海本線 区間急行 新今宮駅 07:27発 → 貝塚駅 07:57着 (運賃 570円)
■水間鉄道 貝塚駅 08:05発 → 水間観音駅 08:20着 (運賃 300円)
水間観音駅に到着した列車(旧 東急電鉄7000系車両)
旧 東急電鉄7000系車両の車内には、今では珍しい扇風機が残っているし、吊革には「東急百貨店」の宣伝がそのままの状態
水間観音駅の引込線に留置されているクハ551形電車(旧 南海電鉄1201形)
水間観音駅(1921年建築の登録有形文化財)
水間鉄道は、たった300円の運賃を払うだけで、鉄道博物館のような見ごたえ。
そして、登山口へのバスに接続するためだけなら、今回乗車した列車より1本後でも間に合う。水間観音駅に1本前(20分前)の列車に乗った理由は... 水間寺(水間観音)を見るため
水間寺は駅から500mほど南に行った所にある。
水間寺(水間観音)の三重塔と本堂
■貝塚市 福祉コミュニティバス 水間観音駅 08:45発 → 蕎原 09:02着 (運賃210円)
水間観音駅から乗り込んだ乗客は10名弱(着席率50%ほど)。そのうち、登山口でもある蕎原バス停まで乗り通したのは私を含めて5名ほど。 山間部まで乗っても210円の均一運賃という割安設定なのは、このバスが福祉コミュニティバスだからなのだろう。
貝塚市 蕎原(そぶら) 登山口
バスを降り、そのまま真っすぐ山の方へ続く道を歩く。
バス停から歩くこと400mほど、廃屋に登山道分岐点の看板が貼り付けられている。古くなりほぼ見えなくなりつつある巨大なハイキング地図などが幾つも掲げられているが、あまりの廃屋っぷりに全く目立たない。 普通に、小さな標識を建てとけば良いのにと思う。
この地点で左の路地に入ると、尾根上のBコースに向かう急登となる。AコースとBコースを接続する、この急登の入口の標高は240m。Bコース合流点の標高は430m。
(貝塚市 蕎原地区)登山道Bコースに向かう急登入口にはイノシシ阻止のフェンス
蕎原から登山道Bコースに接続する急登は、いくつもの渓流を越えていく
2日前の「記録的豪雨」により、渓流の流れはかなり大きくなっている。 砂防堰堤などの工事が行われて通行止めの登山道Aコースは谷筋の道で、そこは津田川の主要な支流。今日は、かなりの水量があるのではなかろうか。Aコースを登らなくてよかった...。
この急登はぬかるんだり、滑りやすかったりという場所はなく、かなり水はけの良い土質なのだろう。歩きやすい。
和泉葛城山登山道 Bコース
蕎原バス停から歩くこと25分弱で、急登は登山道Bコースに合流する。合流点の道標には、「葛城山まで2.6km」の表記がある。
この地点で合流するのは、Bコースの「塔原に向かう道」ではなく、尾根筋を直進するバリエーションルートだ。帰路、間違えてここを直進してしまい、結局引き返す羽目になる。
蕎原からの合流点から150mほど尾根上を歩くと、塔原(とのはら)からの道と合流。
近郊の山でよく見られる異様に多い山道や作業道が、この登山ルートでも至る所で分岐している。そして、大阪府では標識がほとんど立てられていないので、GPS地図がないと妙な道に迷い込む可能性がある。
登山道Bコースは厳密に尾根上だけを通っているのではなく、微妙に斜面を巻いて通っている場所が多い。
蕎原からの合流点より550mの地点(13分ほど歩いた地点)には、石灯籠の基礎が打ち捨てられている。標識には「枇杷平 山頂まで2200m」とある。
尾根上の登山道Bコース 枇杷平(びわだいら)と打ち捨てられた石灯籠
蕎原からの合流点より700mの地点(16分ほど歩いた地点)で林道に合流。ここから先は林道を進む。
林道には作業用の軽トラックがたまに行き交い、サイクリストが猛スピードで駆け下ってゆく。
林道を600mほど歩いたところで、再び山道に入る。
和泉葛城山のブナ林についての詳しい説明は、もう少し先の石宝殿石段の下にあったので転記しておく。
和泉葛城山のブナ林
このブナ林は、1923年(大正12年)に国の天然記念物に指定されています。指定陶磁の調査では、ブナ林の面積は約8ha、本数は直径30cm以上が1800本とされていましたが、最近の調査では指定違いの生育面積も減り、本数は直径30cm以上が180本程度であることがわかっています。またブナ林内が乾燥し、次の世代になるべき若いブナの本数も少ないことがわかってきました
とのことで、生育域の南限近くのブナ林は、風前の灯かもしれないということのようだ。
「ブナ林」看板を通り過ぎても、しばらくは杉林の中を行く登山道Bコース
登山道から見下ろした林道を、サイクリストがゆっくりと登っていく
登山道Bコースの「玉冷泉」石碑。登山道から左に分岐する細い道の先に、泉があるのだろうか
登山道周囲の植生は、針葉樹から広葉樹に変化し、天然記念物のブナ林へ。
和泉葛城山 山頂の八大竜王社と展望台
いよいよ山頂。石宝殿の長い石段を登る。
蕎原からの急登合流点から2.7km(歩行時間58分)、または蕎原バス停から3.7km(歩行時間1時間20分)で和泉葛城山の山頂(標高 858m)に到着。
貝塚市・岸和田市の連名で建てられた説明板には
高龗(たかおかみ)神社 (葛城神社)
葛城山は、奈良時代に役小角(役行者)が開いたとされる葛城修験道場として、信仰を集めてきた。伝説によれば、岸和田藩主岡部氏が狩りに来山した時に、白鹿を射殺すると、たちまち雷が鳴り豪雨となった。そこで、藩主は巨石で社殿を造り、葛城一言主命。八大龍王をまつって山を鎮めたと言われている。以来、社は五ケ庄の郷社とされ、特に雨の神として信仰された。
山頂を通り過ぎた南側は和歌山県。あちら側には分かりやすい標識が立てられている。それによれば、右(西方向)に向かうと展望台があるらしい。
山頂から西へ100mほど、笹薮の中の小道を進むと展望台がある。内も外も落書きだらけの展望台。
展望台には先客が1名居て、ベンチで昼食を食べていた。
和泉葛城山の展望台から見た泉佐野・関西空港方向の景色(ズーム撮影)
中央付近に見えている高層ビルは、りんくうゲートタワービル
地表付近のモヤで、堺あたりまでしか見えていない。
他に登山者や観光客が登ってくる気配がないため、展望台で昼食。
山頂にはかつて売店や自販機があったそうだが、今は公衆トイレ以外に設備はない。
売店跡はサイクリストが一休みするポイントになっているようだ。
ヤマレコの記事では、丁石道を通れば土砂崩れ現場を通らずに歩けるとの記事もあるが、果たしてどうなのだろう... (記録的豪雨の2日後の今日、試す勇気はない)
和泉葛城山登山道 Bコースを下山
10時55分、山頂の石宝殿から下山開始。帰路のルートも、往路と同じく登山道Bルートを通る。
石宝殿の長い石段を降りた所に、登山道AコースとBコースの分岐がある。Aコース側は厳重に閉鎖措置が取られている。
このAコースについても牛滝林道と同じく、自己責任と主張してAコースを歩いたことをヤマレコやYAMAPに投稿している。堰堤工事現場の安全性を保証できない工事業者としては仕方なく、封鎖テープをぐるぐる巻きにするくらいの厳重な封鎖を取らざるを得ないのだろう。
復路の下山は、足早に歩く。
また、往路ですれ違った登山者は数名だったが、復路では10人ほどの登山者とすれ違った。 コロナ禍で老人団体が消滅したため、すれ違いで待たされることも、追い抜きできずにとろとろ歩くこともなかった。
林道に出ると、犬を散歩している登山者が歩いている。この登山者は、私が塔原に到着した時にもすぐ後ろを歩いているほど高速下山していた。飼い犬と共に、かなりの健脚のようだ。
山頂から2.7km(所要時間は40分)で蕎原からの急登合流点がある。ここを通り過ぎて、更に尾根上をしばらく行く。
今日のコース上で初めて体験する丸太階段だ。GPS地図の表示では、尾根上を進む道は塔原バス停方向には行かないようだ。
3分ほど引き返して、本来の正しい道を進む。どんどん降りていくと、塔原集落の少し手前で林道に出る。
合流点には石碑があり、道の名前は「葛城山への山道」「本谷林道」となっている。
岸和田市 塔原(とのはら)
まもなく、塔原集落が眼下に見えてくる。そして、木々が刈り払われて日当たりが良い土手には、いろいろな花が咲いている。
塔原バス停(自販機が2台と、バス停待合ベンチと一体型の公衆トイレ)
山頂の石宝殿から4km(所要時間は1時間)の塔原バス停に到着。バスの出発時刻まで1時間ほどあるので、ジュースを買ってしばらく待つ。
バスは1日に3本のみ(休日)。11時1分、13時1分、15時1分と分かりやすい時刻表だが、最終バスを逃すと水間観音駅まで8.5kmのロードを歩くことになる。
■南海ウイングバス南部 塔原 13:01発 → 東岸和田駅前 13:28着 (運賃 510円)
■JR阪和線・環状線 東岸和田駅 13:30発 → 天王寺駅 → 福島駅 14:20着 (運賃 650円)