浴室(ユニットバス)の天井に取り付けられている温水式浴室暖房乾燥機(松下電工製 KBD-22KKEB, EH4591)が約20年経過し古くなっているため、故障する前に交換することを検討している。
普段は換気機能しか使っていないため、「暖房」「乾燥」といった機能は不要だ。しかし、ユニットバスに天井換気扇を付けるのも「安っぽく」見えるため、電気式の換気乾燥機の取付を検討する。
ガス式は、機器の価格も工事費用も「ぼったくり」なので、選択肢とはならない。
既設機器
・温水式浴室暖房乾燥機
松下電工製 EH4591 (大阪ガス品番 (4) 49-846 KBD-22KKEB)
・給湯器
ノーリツ 給湯暖房用熱源機(24号給湯器) GQH-2443AWXD-T-DX
浴室側 暖房乾燥機の既設機調査
開口部寸法は 480mm × 440mm
排気ダクトはΦ100mmだ。
写真の手前側に天井点検口があり、ワゴ接続を保護するための端子箱もあるため、今後購入する天井埋め込み換気乾燥機のダクト取り出し方向に注意する必要がある。 (ダクト取り出し方向を振り回すために、90度エルボ管を付ける必要があるかも)
機器左手前側に、リモコン接続端子がある。そして、機器左側面に電源接続端子がある。
天井埋め込みのこの機器を取外し、床面に下ろす必要があるが、一体どれくらいの質量があるのか。EH4591(49-846)の取扱説明書には、寸法は書かれているが質量の記載はない。
大阪ガスのWebページで公開されている歴代の暖房乾燥機の取扱説明書のうち、直近年の似たような機種から推測してみると...
運転時質量 10.6kg と書かれている。給湯器側の工事説明書には、給湯器の機器内に2.6リットルの循環液が入っているとのことなので、暖房乾燥機側にも似たような量の循環液が入っているとすれば、
暖房乾燥機の排水時質量は 10.6 kg - 2.6 kg = 8 kg くらいということになる。
また、暖房乾燥機の設置状況の寸法測定し、平断面図を作成した
暖房乾燥機は、リブの部分をユニットバスの天井鉄板に乗せている形で、天吊りボルトを外しても落下することはないはず。また、本体を縦向きにすれば470x170となり、480x440の開口を十分通過できる。
次に、機器内部の暖房配管を見てみる
機外から取り込まれた暖房配管(7mmポリエチレン管)は、室内側から見える位置で機器内部の銅管に接続されている。
そして、室内側ではユニオン継手を介して熱交換器・電磁弁への管に接続されている。このユニオン継手を緩めれば、簡単に排水できるだろう。
なお、水位スイッチらしきものは見当たらないので、循環水がカラでも機器としてはエラー感知しないと思われる。
給湯器側調査
どこにも、この機種がノーリツ製であるとは書かれていない。大阪ガス品番が (N)135-H742 , YG2467RT と書かれているだけ。Google検索かけて初めて、本来の製造メーカー型番が分かる。
左側の2本が、浴室の温水式暖房乾燥機への温水管(往還)。赤白黒の配線が温水暖房乾燥機からの信号線。
温水管(往還)はCCH(クイックファスナー)継ぎ手になっているので、温水管を取外した後の端末プラグを購入する必要がある。
寸法から、これはCHではなくCCHで確定。CCH部品を買えばよい。なお、CCHジョイントのネジ継ぎ手部分は、サイズ的には3/4インチなのだが、給水管(白菅)の止水栓を取り付けようとしたところ、微妙にネジサイズが違いねじ込めない。これが一般に安く売られている給水管部品が流用できない、ガス機器の独自ぼったくり仕様なのか...。
左手前より「低温往(未接続)」「暖房往」「暖房戻」の接続部。
機器全面の電気配線用扉を外すと、このような絶縁プラスチック板が入っていて、制御基板のボタン類の機能説明がシールで貼り付けられている。
浴室天井の暖房乾燥機からやって来た信号線(赤・白・黒)は、2線(赤・白)が機器側E-con接続コードに接続されている。
暖房乾燥機からの信号線(E-con)を外すとどうなるのか
暖房乾燥機を撤去する時は、熱源機(給湯器)側の設定変更などを行わないといけないのだろうか。
そもそも、E-con接続とは何なのか。ノーリツGQH-2443AWXDの工事説明書によると、
端末の種類と接続コードの接続方法は、「低温用インテリジェント端末」「高温用インテリジェント端末」「E-con端末」の3種類がある。
インテリジェント接続は「端末と熱源機間の双方向通信」、E-con 接続は「端末から熱源機への1方向通信(ON-OFF情報のみ)」である。
と書かれている。さらに、E-conの信号仕様をGoogleで検索してみるとLixilの工事説明書に次のように書かれている。
E-CONに対応する熱源機では、〈信号電圧:DC12~35V〉〈回路電流:ON時1~10mA、OFF時30μA以下、地絡時30μA以下〉であることが必要です。
TOTOのWebページには『暖房熱源機のE-con通信とインテリジェント通信とは?』という解説もあり
E-con通信は、昔からある方式です。
温水式浴室暖房乾燥機から暖房熱源機への一方的なON/OFF信号のみ受け付けます。
温水式浴室暖房乾燥機などの端末機の操作は、個々のリモコンで操作します。インテリジェント通信のように、暖房熱源機のリモコンで温水式浴室暖房乾燥機の操作はできません。
これらの説明から、「端末機側でDC12V〜35Vにプルアップされている場合」と「給湯器側でDC12V〜35Vにプルアップされている場合」(端末機側は無電圧接点)の2つが考えられるが、どちらにしても配線を試しに外してテストしてみれば分かることだ。
信号線(E-con)の接続を切り離して調査した結果
浴室暖房乾燥機と給湯器(熱源機)を結ぶE-conの2芯配線を切断し、テスターで測定した。その結果
熱源機(給湯器)側で15Vにプルアップされている。熱源機のリモコン電源状態(ON・OFF)や給湯燃焼状態に関わらず、一定の15Vにプルアップされている。
浴室暖房乾燥機側は、暖房稼働させてもしなくても、ずっと0V状態。
配線を切断した状態で、いろいろな使い方で問題ないか、2週間ほど日常的に利用して様子を見たが、特に問題は発生していない。
暖房乾燥機への温水配管を外して調査
熱源機(給湯器)の排水プラグを開放し、温水配管から水を抜くと...
熱源機内、おそらく膨張タンクに水位スイッチがあり、これが働き減水警報が出ているのだろう。
ちなみに、排水プラグを開けて水を抜いていく段階で、電磁弁(?)が開いて数秒間自動給水する音が何度か聞こえ、5〜10回目の給水が行われた時点でエラー表示(173)が点灯した。エラー表示が点灯すると、それ以降は自動給水は行われない。この挙動は、配管からの微妙な漏れや循環水の蒸発で水位が「少し」下がると、自動給水され水位回復する程度の給水回数ではエラーが出ないようになっていると思われる。
暖房往・還のCCHアダプタを熱源機から取外し、止水キャップを取り付ける。なお、CCHアダプタは「平行ネジ」なので、止水キャップも「平行ネジ」のものを使う。
CCHアダプタを止水プラグで閉塞(テーパネジの白管止水キャップではなく、平行ネジのクロムメッキ給水管止水キャップを使う)
浴室暖房乾燥機への配管を取外し、確実に止水した後、「水張りスイッチ」を長押しすると強制給水されて水位が回復。エラー表示173は消灯する。詳細は次の通り
完全排水状態から、暖房回路(配管)への強制給水
・室内リモコンの電源をOFF、熱源機と浴室暖房乾燥機のE-con配線は切断状態
・下から2個目の「水張SW」を長押し(2〜3秒程度)すると、スイッチの左側にある黄色のLEDが点灯する
・3桁7セグLEDの左端が、"くるくる回る"点灯表示
・室内のリモコンがエラー表示"173"点滅から"00H"の表示に切り替わる
暖房回路(配管)に給水される音が連続し、しばらくするとエアー音が収まる。取扱説明書では、この時点で給水完了とされている。
・下から2個目の「水張SW」を長押し(2〜3秒程度)すると、スイッチの左側にある黄色のLEDが消灯する
・3桁7セグLEDが消灯する
・室内のリモコンが消灯。エラー表示"173"も消灯
温水配管を切り離すために購入する止水部品
温水管のジョイント部分の規格は、CHとCCHがある。差し込み部の直径が10mmのものがCH、20mmのものがCCHだそうだ。
給湯器と温水配管の接続はCCH(クイックジョイント)。現状は、次の2種類のアダプタを介して7Aポリエチレン管とクイックジョイントを接続している。
10A樹脂管 - G 3/4 継手 ... 実際は7Aポリエチレン管用が使われている
銅管を撤去して機器側を閉塞するためには、つぎのような止水栓(1個1000円弱)を購入するか
CCH用 止水栓
近所の「大阪ガスショップ」に電話して、止水栓を売ってもらえるか尋ねたところ、"修理なら受け付けるが部品販売はしない。大阪ガスより禁じられている"との回答。さすが、ベンダーロックインの業界だね。 この対応からわかるように、こういう設備は取り付けないのが一番良いのだ。
では、CCHアダプタで3/4平行ネジに変換されているので、単なる止水キャップを取り付けることも出来る。止水キャップ側もテーパネジではなく、平行ネジを選択することが重要。
1/2インチと3/4インチの亜鉛メッキ白管 止水キャップ(テーパネジ) ... これは取り付けられない
電気ヒーター式 浴室換気乾燥機の取付け方法考察
たとえば、この製品を購入し取り付けるとする。
Panasonic 電気式バス換気乾燥機 FY-13UG6V
吊りボルトに固定するために、天吊脱着枠が必要となる。
そして、天井の開口寸法は 420mm × 305mm となっている。現状の 500mm × 500mm よりかなり小さい。
隙間を埋めるために、既設の天井パネルと似たようなブランクパネルを用意する必要がある。ホームセンターに、そんな板売ってたっけ...
あるいは、三菱電機が隙間を埋めるパネル付きの「リニューアル工事用の天吊り金具」を販売している。三菱電機製の換気乾燥機なら対応可能だ。
三菱電機 取替天井隙間パネル