21 February 2021

京都 松尾山・嵐山・鳥ヶ岳

今日も暖かな春の陽気になったため、京都の嵐山三山、松尾山・嵐山・鳥ヶ岳に登ってきた。この日の京都の最高気温は、なんと21.2℃と4月並みの気温だった。

ヤマレコの記事 『京都 嵐山三山と松尾山古墳

幼少期、嵐山の麓に住んでいたが、今まで登ったことは一度もなく、眺めるだけの山だった。

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阪急嵐山駅

今日は梅田から阪急電車で嵐山へ。 休日なのに、ほぼ満員電車だ。

桂駅で乗り換えた嵐山線の列車は、観光客が激減しているためスカスカ状態だ。

■ 阪急京都線 大阪梅田駅 08:49発 → 桂駅 → 嵐山駅 09:37着 (運賃400円)

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嵐山駅のすみっコぐらし駅名標

渡月橋を見に行く

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嵐山駅から桂川を渡り、対岸から渡月橋をふり返ると、ちょうど背後に位置するのが嵐山だ。

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渡月橋と嵐山(いちばん右のピーク)

この角度で見えるのは、嵐山(標高382m)のみで、写真中央右側のなだらかなピークだ。鳥ヶ岳(標高398m)はこの写真から外れた右側にあり、松尾山(標高275.6m)も写真のずっと左に見えている。

登る前に縦走路を全て見渡せるのはいい気持ち良いものだ。

登山口から松尾山へ

再び渡月橋を渡り、南へ向かうと法輪寺を少し行き過ぎた所に、嵐山登山口(京都一周トレイルの道標No.26)がある。ここには、英語併記で岩田山モンキーパークには通じていない旨の大きな看板も取り付けられている。

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法輪寺と西光院の間にある嵐山登山口

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登山口から5分ほど登ると、眺望が開ける

九十九折の道をひたすら登ってゆき、およそ12分ほど行った所で北側の眺望が開け、尾根一つ向こうにある岩田山モンキーパークが見える。

木々が刈り払われた斜面にはサルの姿は見ない。望遠レンズ越し、フェンスが張られた建物の中にサルが見える。

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尾根一つ向こうの斜面に、岩田山モンキーパークが見える

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登山口から18分、標高200m付近の登山道

高齢女性グループを追い抜き、登山口から歩くこと20分、標高230mの稜線上の分岐点(京都一周トレイルの道標No.32)に到着。何人かがベンチで休んでいる。

この分岐点では、苔寺の登山口から保津峡まで続く稜線上の登山道と、嵐山登山口から松尾山へ直登するう道が交わっている。

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標高230m付近、稜線上の分岐点

ここから松尾山までの間には、古墳時代後期(6世紀前半)に造られた古墳が多数あり、それらは松尾山古墳群と呼ばれている。

分岐点(道標No.32)から松尾山に向かい登ってゆくと、道標No.37の20mほど手前の右手側、茂みに10mほど入っていった所に石室を一つ発見。

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松尾山古墳群の古墳石室(道標No.37の20mほど北東)

さらに先へ、道標No.36をすぎて10mほど行った登山道の脇に、ポッカリと口をあけた石室をもう一つ発見。

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松尾山古墳群の古墳石室(道標No.36の西10m地点)

古墳の石室と言われなければ、全く気づかずに通り過ぎるだろう。付近には看板など一切無く、心無い人が破壊しないよう「一般人には気づかないよう」にしているのかもしれない。

登山口から歩くこと35分、標高275.6mの松尾山の山頂に到着。

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松尾山の山頂

山頂からは、右京区方向の眺望が少しだけある。

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松尾山山頂の道標No.35と、右京区方向の眺望

松尾山から嵐山

ここから先は、アップダウンがそれほど無い稜線上の道を北西へ。100mほど行くと、巻き道との合流点がある。京都一周トレイルはここで巻き道を引き返していくので、この合流点より先は「バリエーションルート」ということになる。

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松尾山から嵐山への登山道。山頂を通る道と巻き道の合流点

登山道は稜線の少し市街地側の斜面に通されていることが多く、木々の間から市街地が時折眺められる。

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松尾山から嵐山への登山道

ほとんど障害物のないなだらかな道が続くが、「なんちゃって核心部」が2か所あり、そのうちの1つが下の写真にある大きな岩だ。

岩と谷の間の狭いスペースをカニ歩きで通過してもよいし、ロープを使って岩の側面に登って通過してもよい。

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【核心部1/2】松尾山から嵐山への登山道にある大きな岩

次の核心部は、下の写真にある倒木。丸太で作った渡り廊下を通るか、木を乗り越えるかの選択肢がある。ココも難なく通過できる。

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【核心部2/2】松尾山から嵐山への登山道にある倒木

そろそろアセビの花が咲き始める時期だが、日当たりに良いところは満開のものも多かった。

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嵐山の山頂分岐点付近に咲いていたアセビの花

嵐山の山頂への分岐点は、地面付近に倒れた鉄柱にマジックで矢印が書かれているだけの簡単なもの。 バリエーションルートは役所が整備することはなく、ほぼ放置状態なのだろう。

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嵐山の山頂への分岐点(左方向が巻き道、右方向が山頂)

松尾山から歩くこと25分、1.28kmの地点が嵐山の山頂だ。

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嵐山の山頂 (標高382m)

山頂は眺望がほとんど無い。木々を刈り払った隙間から、ほんの少し市街地が見えるくらいだ。

またここは、嵐山城の跡でもある。応仁の乱のころに築城された山城だそうで、山頂標識の横に記されているとおり1504年に落城したとのことだ。

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嵐山の山頂 (山頂標識と嵐山城の落城年の説明板)

嵐山から鳥ヶ岳

嵐山から鳥ヶ岳へ、坂道を150mほど降りてゆくと巻き道との合流点。ココには分かりやすい私設標識が掲げられている。

倒木の枝にうまい具合に標識を取り付けたものだ。

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嵐山から鳥ヶ岳への道にある合流点と、私設標識

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嵐山から鳥ヶ岳への登山道(尾根道)

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嵐山から鳥ヶ岳への登山道から、愛宕山が見える

愛宕山や、大覚寺あたりの嵯峨野の眺望が得られる地点をすぎると、鳥ヶ岳山頂への分岐点がある。ここも山頂と巻き道の分岐だ。

分岐をすぎると、この区間の唯一の「なんちゃって核心部」がある。滑りやすいザレた坂道に、ロープが張られている。

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【核心部】鳥ヶ岳山頂の手前にある核心部(上から見下ろした)

核心部をすぎると、すぐに鳥ヶ岳の山頂に至る。嵐山から歩くこと15分、約700m歩いてきた。嵐山登山口からなら、所要時間は1時間15分、距離は2.7kmだ。本日の最高標高地点でもある。

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鳥ヶ岳の山頂(標高398m)

嵐山の山頂と同じく、ここも眺望は無い。

鳥ヶ岳から嵐山・松尾山を通って苔寺登山口へ

復路は嵐山の巻き道、松尾山の巻き道を進む。松尾山の山頂への道と巻き道との分岐点のすぐ脇に、眺望の良い地点がある。ココからは、嵐山・嵯峨・嵯峨野が一望でき、渡月橋もよく見える。遥か眼下には木々が刈り払われ斜面があらわになった岩田山のモンキーパークも見えている。

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松尾山の巻き道からの眺望(嵯峨嵐山・嵯峨野付近が見えている)

渡月橋付近をズームしてみると、ほとんど観光客が歩いていない。さすが、緊急事態宣言で首都圏からの客が消滅すれば、これほど観光公害が消えるものなのだ。

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松尾山の巻き道からの眺望(嵯峨嵐山・嵯峨野付近が見えている)

この眺望の良い場所のベンチで昼食。

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昼食の弁当(彩り野菜の甘酢あんかけ&ハンバーグ 税抜き268円)

弁当を食べていると、マスクを付けていないオッサンの集団がやって来て背後で大声で話し出す。会話は飛沫感染の主原因なのに、いまだにこんな非常識な奴らが居るのかと呆れる。すぐ隣の地面に車座になり、コップに注いだビールで乾杯している。マスク無し、大声で会話、飲酒と「悪の三重奏」だ。

昼食は10分で切り上げ出発。疫学調査で15分が濃厚接触の判断基準だ。10分なら、セーフか? そんなわけないか。 屋外で、風が吹いていたから安心とも言えないしね。

往路で嵐山登山口から登ってきた所にある分岐点(道標No.32)を通過。ここから先は苔寺に向かう京都一周トレイルの道だ。

道標No.32から苔寺の方向へ約8分、500mの地点の名も無いピークに、松尾山古墳群の古墳石室が道の真ん中に鎮座している。ココも何の看板もないため、一般の登山客は邪魔な岩が道の真ん中にあるとしか思わないだろう。

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松尾山から苔寺に向かう登山道の真ん中に古墳の石室 (道標No.40付近)

ちょうどこの場所は、松尾大社の真西付近にあたる。さらに200mほど行ったところの名も無いピークにも、古墳の石室らしきものが道の東側に横たわっている。

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松尾山から苔寺に向かう登山道の脇にある古墳石室(道標No.41付近)

松尾山の分岐点、道標No.32から30分、1.7kmのところで西芳寺谷林道に合流する。

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西芳寺谷林道に合流する手前の竹林を下る階段

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苔寺登山口と、西芳寺谷林道

登山口のある林道は、ここに車止めがあり、自転車置き場のような広場まである。

苔寺登山口から阪急松尾大社駅へ

西芳寺川に沿った林道を下っていく。「山の神さん」の石碑があり、松尾学区古墳地図の看板も立てられている。ここ西芳寺谷にも古墳がたくさんあるようだ。

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西芳寺谷林道と竹林

道沿いの杉林は、茶色に色付いている。花粉を満載した雄花が鈴なりとなり、木の色が茶色に変化してしまっているのだ。

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西芳寺谷林道の杉林、花粉を満載した雄花がたくさん

林道は西芳寺(いわゆる苔寺)の横を通過。立看板には「1970年代に西芳寺周辺にて観光公害が発生し、種々対策を講じたが抜本的な解決が出来なかったので、事前申し込みによる少数参拝制とした」(要約)と書かれている。これは良いことである。コロナ禍がすぎてもインバウンド公害が再び発生しないよう、他の観光地でも是非取り入れてもらいたいものだ。

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西芳寺(いわゆる苔寺)の衆妙門

室町時代初期、夢窓疎石が寺を再興した時に築いた回遊式庭園が、苔で覆われていることから「苔寺」と呼ばれているそうだ。

西芳寺川に沿った林道からは、回遊式庭園の南端が見えているが、たしかに一面に緑の苔に覆われている。

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西芳寺の総門

鈴虫寺の横を通り、苔寺登山口から1.2kmほど歩いた所に、月読神社がある。変わった名前の神社だが、月読尊を祀っているからこの名が付いているようだ。Wikipediaの記述では、中世の占星術と関わりがあるというようなことはないようだ。

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月読神社

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月読神社の本殿と拝殿

本殿の南側に、松尾山からの湧き水が出ていて、「解穢(かいわい)の水」と記されている。「穢」(けがれ)とは、不潔・不浄等、理想ではない状態を表す神道・仏教用語だ。この水で手を洗うと、けがれを落としてくれる... のだろう。

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月読神社 解穢の水

更に北へ500mほど歩くと、松尾大社がある。松尾山の中腹にある磐座(いわくら)に祀られていた祭神を、麓に移したのが神社の始まりとのこと。

先程歩いてきた稜線上の古墳石室も含めて、古代の人にとっては松尾山全体が神聖な場所だったのだろう。

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松尾大社 ニの鳥居

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松尾大社 本殿・中門と拝殿

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松尾大社 楼門の随神

松尾大社から駅に向かう途中、列車が踏切を通る音がする。嵐山線は1時間に4本しか走らない支線なので、残念ながら次の列車まで20分弱の待ち合わせ時間だ。

■ 阪急京都線 松尾大社駅 13:17発 →桂駅 → 大阪梅田駅 14:03着 (運賃400円)