09 January 2021

確定申告の納税額を概算する(一般口座での株式譲渡益・iDeCoとふるさと納税の控除)

株式の売買を一般口座で行ってしまったため、確定申告しなければならなくなった… めんどくさい。

納税額は、国税庁の確定申告サイトで入力すれば自動的に算出されるが、入力に間違いがないかどうかを確かめるには検算が必要だ。

以下、検算のための所得税の計算方法を簡単に取りまとめてみた

税率、控除額の概要

株式譲渡益に対する税率

一般口座での上場株式の譲渡益に対しての税率は、国税庁のWebページによれば

20210109-kabusiki-zeiritu.jpg

15%(所得税) + 5%(住民税) = 20% ではなく、復興特別所得税として、所得税が2.1%割増しされるので、 15 × 1.021 = 15.315%となる。

特定口座の年間取引報告書を見れば、たしかにこの税率(15.315% + 5%)だ…

確定申告のWeb画面では、「売却日」ごとに1行ずつ入力する。取得(購入)が複数回の場合は、国税庁のWebでさんざん解説されているように、按分計算を行って実質的な総取得金額を入力し、取得日は「最終の取引を行った日」を入力する(かつ、2回以上に渡って取得しているチェックボックスをONにする)。

20210109-kabusiki-input.jpg

iDeCoの控除額

iDeCoは年間に支払った掛け金の「全額」が、所得から控除される

20210109-ideco.jpg

ふるさと納税の控除額

ふるさと納税は

・ 所得税の計算では、「ふるさと納税額 - 2,000円」 を 「所得から控除」
・ 住民税の計算では、「ふるさと納税額 - 2,000円 - 所得税納税額の減少分」 を 「納税額から控除」

結果として、国税・地方税の合計として 「ふるさと納税額 - 2,000円」 が割り引かれるという仕組み。

20210109-furusato.jpg

地震保険の控除額

地震保険は年間に支払った掛け金の「全額」が、所得から控除される。

20210109-jisinhoken.jpg

所得税率

20210109-syotokuzeiritu.jpg

納税額を速算してみる

株式譲渡益に掛かる申告分離課税の税額の例題

・株式取得費用 4,500,000 円
・株式売却額 5,000,000 円
・売買時の手数料 10,000 円

所得金額 = 5,000,000 ー 4,500,000 ー 10,000 = 490,000 円

所得税額 = 所得金額 × 15.315% = 75,000 円 (確定申告で支払い)
地方住民税額 = 所得金額 × 5% = 24,500 円 (後日、地方税事務所から通知)

※ 地方税事務所から直接振込用紙が送られてくるようにするには、確定申告Webサイトの入力の最後の方で、地方税入力の項目で「普通課税(自分で納付)」を選ぶ必要がある。 特別徴収とすると、勤務先に納税額が通知され毎月自動引き落としになってしまう。

20210109-futuutyousyu.jpg

iDeCo・ふるさと納税・地震保険の控除で源泉徴収額から返金される金額の例題

・ iDeCoの年間支払額 = 144,000 円
・ ふるさと納税額 = 50,000 円
・ 地震保険掛け金 = 10,000 円

・ 課税される所得金額が195万円〜330万円の場合は所得税率10%、330万円から695万円までは所得税率20%として、それぞれ計算してみる

所得金額から控除される金額 = 144,000 + ( 50,000 ー 2,000 ) + 10,000 = 202,000 円
税率10%のときの所得税額 = 202,000 円 × 10% = 20,200 円
税率20%のときの所得税額 = 202,000 円 × 20% = 40,400 円

差し引き、今回支払わないといけない税金の速算

所得税率が10%の場合、75,000 円 ー 20,200 円 = 54,800 円
所得税率が20%の場合、75,000 円 ー 40,400 円 = 34,600 円

国税庁の確定申告サイトで自動計算した結果が、このくらいの値になっていたら検算OKということだ。

参考 : 給与収入から課税所得を出す計算式

課税所得 = 給与収入 ー 給与所得控除 ー 社会保険等控除 ー 基礎控除

20210109-kyuyosyotokukoujyo.jpg

20210109-kisokoujyo.jpg

勤務先からもらう給与が600万円、社会保険料が100万円の人の例で計算すると…

課税所得 = 6,000,000 ー (6,000,000 × 0.2 + 440,000) ー 1,000,000 ー 480,000 = 2,880,000 円

288万円の場合の税率は10%、控除額97,500円なので

所得税額 = 2,880,000 × 0.10 ー 97,500 = 190,500 円

源泉徴収額がこのくらいの値なら、今回の速算で用いた税率の選択などに問題はない。

参考 : この記事の計算例で作成した確定申告書

20210109-kakutei01.jpg

※ なぜか、課税所得の計算値が自動入力されていないが、気にしない…

20210109-kakutei02.jpg

※ 地方税は「自分で納付」に○が付いているのを確認すること

20210109-kakutei03.jpg

20210109-kakutei04.jpg

※ 必ず、右側の「上場株式」の欄に入力されているのを確認すること

参考 : 確定申告Webサイトのメッセージボックス

メッセージボックスのメッセージ一覧はだれでも表示できるが、内容を読むためにはマイナンバーカードをPCで読み取る必要がある。

そのうえ、確定申告が終わってから、確定申告を促すメッセージを受け取ってもね…

20210109-messagelist.jpg
メッセージ一覧

マイナンバーカードを読み込まない状況では、メッセージアイコンが「表示不可」となっているはず…
20210109-message.jpg
1月21日に到着した確定申告を促すメッセージ

確定申告Webサイトの申告入力画面で、「整理番号があれば入力せよ」というところに、このメッセージの整理番号を入力するのだろうか。

そもそも、12月中にこのメッセージが来てないと、“後手後手”ですよね (笑