六甲山地の中央部、六甲山最高峰から摩耶山へ、通常とは逆の西へ向かう「逆縦走」で歩いた。
ヤマレコの記事 『六甲山・摩耶山(宝殿橋より青谷道へ逆向きに縦走)』
■ 野田駅駐輪場 100円
■ 阪神本線 野田駅 08:27発 → 尼崎 → 西宮 → 芦屋 08:49着 (運賃 270円)
尼崎駅で快速急行に、西宮駅で特急に乗り継いだ。どの列車も用意に座ることが出来るくらいの混雑度。
■ 阪急バス 阪神芦屋 09:14発 → 宝殿橋 09:48着 (運賃 550円)
有馬温泉行きのバスは、休日のみ2時間毎の運行なっている。そのため、登山客が始発の9時14分発に集中することとなる。
阪神芦屋バス停で有馬温泉行のバスを待つ登山客 (高齢者が多い)
阪神芦屋から40人ほどの客が乗り込み、JR芦屋で5人程度、阪急芦屋川で10人程度が乗車してきた。そして、東おたふく山登山口で5人程度が下車し、宝殿橋で10人ほど下車する。多くの登山客は有馬温泉まで行くようだ。
GPSログ
宝殿橋バス停から六甲山最高峰
9時50分、宝殿橋バス停(宝殿インターチェンジ)を出発。 石宝殿のところまでの標高差150mを一気に登っていく急坂だ。
今日は自転車で走る人をたくさん見かける。 降りるのは気持ちいいだろうが、登るのは見ているだけでも大変そうだ。 しかし、最近は電動アシスト付きクロスバイクというのもあって、らくらくと快走している人も居る。
この辺りは、芦屋市と西宮市の境界線を何度か通過する。境界線が曲がりくねっているのか、道路が曲がりくねっているのか…。
石宝殿に向かう六甲縦走路が分岐するが、赤い鳥居の横に “白山の宮方面に、険しく道は悪路、蛇が多いので注意” の立札がある。 縦走路を歩くと、ほんの少し近道なのだが、この時期は蛇が多いようなので、今回は県道を歩くこととする。
石宝殿の横を通過し、今回のルートでの唯一のトンネル「鉢巻山トンネル」を通過。 このトンネルの中央付近には、芦屋市と西宮市の境界があるが、トンネルの建設主体は「神戸市」。 全く関係のない神戸市がなぜトンネルを建設したのだろうか…
六甲山最高峰への分岐点、一軒茶屋の向かいにあったトイレが改築され、登山者用トイレにしては「きれいすぎる」姿を現している。
新しい公衆トイレは、小便器の赤外線自動洗浄器や、自動水栓の付いた洗面台だけでなく、室内暖房まで付いたハイグレードなものだ。
旧トイレがあまりにも「旧式」だったので、その違いにまず驚かされた。
最高峰に向かう自衛隊の管理道には、ノコンギクがたくさん咲いている。 今回歩いた縦走路で一番多く見かけたのも、ノコンギクだ。
自衛隊施設の北側に隣接する広場に、山頂標柱が建っている。標高は931m。
宝殿橋から2.5km、標高差240m、所要時間は32分だった。
六甲山最高峰から六甲ガーデンテラス
最高峰から西を見ると、六甲山地の中に林立するアンテナ群が見えている。 次の経由地、六甲ガーデンテラス(ロープウェーの六甲山頂駅)の横にあるNTTや兵庫県防災、NHKの中継施設だ。
六甲山最高峰より南西2.0kmにある六甲山上駅付近の通信施設群を眺める
時折、西からやってくる縦走登山者とすれ違うが、六甲山最高峰からガーデンテラスまでの区間は、歩いている人もまばらだ。
六甲山最高峰から0.9km、16分歩いた地点で、西おたふく山を経由して住吉台方向に降りる道との分岐点に出る。
ここで縦走路からそれて、舗装された管理道を通り西おたふく山まで往復することにする。
山頂は近畿地方建設局 六甲無線中継所の鉄塔の位置にあるらしく、六甲山最高峰に続き、ここも山頂には直に立つことはできない。
西おたふく山の無線中継所まで、およそ400mの管理道を往復した後、六甲全山縦走路に戻る。
まもなく、NTTや兵庫県防災、NHKの中継施設の鉄塔が目の前に現れる。 アンテナ群のある小高い頂きの上に登ると、六甲山最高峰や西お多福山が一望できる。
六甲山上駅に隣接する無線中継所群のある丘から北東方向に見える六甲山最高峰・西おたふく山
写真中央と左側のいくつかの巨大鉄塔群は、NTTの六甲山無線中継所。 いまではほとんどのパラボラアンテナが撤去されてしまい、単なる鉄骨ベースのみとなっている。 通信が光ファイバーと衛星に移行し、もうマイクロ波は使われなくなっているのだろう。
写真右奥に、ちょこんと出ているのは移動無線センターのMCA六甲制御局、兵庫県防災行政無線 六甲山中継所。右端にある変わった形のものは、一体何のアンテナなのだろう…。
六甲ガーデンテラスには巨大駐車場と飲食店街があり、たくさんの客が詰めかけている。 新型コロナの感染者が急増しているのに、これほど飲食店に入る人が多いのは驚きだ。
六甲山最高峰から西お多福山を経由してガーデンテラスまで約3.24km、標高差は120m(の下山)、所要時間56分。
六甲ガーデンテラスから摩耶山 掬星台
ガーデンテラスから六甲全山縦走路を130mほど進むと、住吉台に降りる石切道が分岐。
案内看板によれば、“御影石” と呼ばれた花崗岩がかつてこの辺りで採掘され、御影まで運ばれたため、「石切道」と名付けられたそうだ。
そのすぐ先で、縦走路は別荘街の道路に合流する。その合流地点に“みよし観音”の観音像がある。
1964年の日東航空おやしお号墜落事故の犠牲者を追悼する観音様のようだ。
別荘街の道路を横切り、神戸ゴルフ倶楽部のど真ん中を横切る遊歩道に入る。
ガーデンテラスから摩耶山の間の縦走路では、多くの登山者、トレランナーとすれ違う。 私が“逆向き”に縦走路を歩いているので、すれ違いが多くなるのだろう。
ヤマレコの記事を色々読むと、朝6時頃に須磨浦公園を出発した「六甲全山縦走」のトレランナーと、記念碑台から掬星台の間辺りですれ違うことになるようだ。
ゴルフ場を横断し、林の中に点在する別荘や企業の研修所の間を抜けると、六甲山小学校。
この小学校は、京阪神のマスコミが「今冬初めて暖房のストーブに点火した」と報道する、都会の中の寒冷地の基準のような学校だ。 小規模特認校制度で学区外からの通学が正式に認められている学校で、そのおかげで六甲山上の過疎地にもかかわらず廃校にならずに済んでいるようだ。
六甲ガーデンテラスから1.75km、標高差100m(の登り)、20分で記念碑台・六甲山ビジターセンターのある交差点に到達。 この辺りが、六甲山地での「中心街」だと思われ、交番や郵便局などがある。
県道16号の歩道をさらに南西へ行くと、旧六甲山ホテルを改修したレストランがある。 レトロ建築を再生した建物は、登山者には縁のない高級レストランらしい。
その前を通り過ぎてさらに先へ行くとアイスロードが分岐する前が辻。ここには登山者をターゲットとした酒屋 藤原商店がある。 屋外に置かれた安っぽいテーブルと椅子が、ちょうど心地よいのか…。
六甲ガーデンテラスから2.85km、丁字ケ辻に到達。 観光名所からの距離標識があり、今日出発した芦有道路の宝殿橋バス停からの距離が9kmと表示されている。
さらに県道16号を800mほど南西へ。
県道16号は六甲山牧場方向へぐるっと遠回りの道となるため、六甲全山縦走路は山中をショートカットする山道を経由する。
道路をショートカットする山道を800mほど南へゆくと、杣谷峠の近くに出る。
県道16号から分岐した掬星台に向かう管理道をしばらく歩くと、摩耶別山の登山道「アゴニー坂」の分岐点。
たった300mだが標高差100m登ることが出来るプチ急登が楽しめる、アゴニー坂。 管理道を行けばほぼ平坦だが、登山者なら急登を選択せねば…
出発から10km以上歩いてきたので、この急騰を駆け登る体力は、無さそう…
のんびり歩いて10分弱のぼると、摩耶別山(標高717m)の直下を通過し、忉利天上寺を見下ろす所に出る。
忉利天上寺からオテル・ド・摩耶の横を経由し、だらだらっと坂道を下っていくと掬星台の入口に到達。
今日見てきた中で、この場所の紅葉が最もきれいだった。
六甲ガーデンテラスより6.4km、所要時間1時間25分で到着。
登山者のほか、ここにはロープウェーなど市街地からの交通機関があるため、単なる観光客など沢山の人が “密” の状態で集合している。
なるべく人が少なそうな、東屋の隅っこで昼食。
331 kcal + 393 kcal = 724 kcal なので、そのへんのコンビニ弁当1食分とおなじくらい。 値段は170円なので、昼食としては格安の部類。
摩耶山 掬星台から阪神 岩屋駅
摩耶山からは、最も近い阪神岩屋駅に最短距離で降りることが出来る上野道、青谷道を通ることとする。
掬星台から六甲全山縦走路を西へ向かうと、すぐに上野道が分岐する地点。 かつて、ここから降りていった所に忉利天上寺があったので、分岐点には灯籠が建っている。
布引ダム方面から駆け上がってきたトレランナーが颯爽とすれ違っていく。 天狗道をずっと駆け抜けてきたのなら、相当なスタミナの持ち主だ。
標高690m付近で縦走路から分岐した地点より、一気に100mほど下ると、旧天上寺跡がある。1976年に伽藍が全焼して、いまは遺跡が残っているだけだ。
史跡公園の入口には、2018年9月の台風21号で倒れてしまった親子杉が、そのままの状態で残されている。
標高差50mほどある結構長い石段を降りていくと、火災から唯一生き残った仁王門がある。
仁王門をすぎると、上野道と青谷道が分岐している。尾根と谷のどちらを通りたいのかの選択だ。
今回は谷を選択。
前方から、沢山の子供の声が聞こえてくる。
ボーイスカウトの子どもたちのようで、30人ほどの小学校低学年(?)くらいの子供と、引率のリーダーが数名。 行者堂手前の沢を横切る辺りで追い抜く。
行者堂をすぎると、登山道は一部コンクリートで補強された生活道路となり、深い谷をトラバースして下っていく。
いくつかの堰堤の横を通過し、神戸市で唯一と言われる茶畑の前を通過。
摩耶山 掬星台から2.8km、標高差550m、所要時間59分で青谷道の登山口に到達。
ここから先は、普通の市街地の道路を一直線に下っていく。
神戸海星女学院、王子動物園の横を通って、阪急・JRの高架下をくぐり抜け、1.7kmほど歩いた所に阪神岩屋駅がある。
■ 阪神本線 岩屋駅 14:37発 → 御影駅 → 尼崎駅 → 野田駅 15:15着 (運賃310円)