生駒山脈の最北端、淀川に接するぎりぎりの所にある国見山と交野山を歩いてきた。
ヤマレコの記事 『 国見山・交野山(津田駅 -おおさか環状自然歩道 - 私市駅) 』
■ JR東西線 新福島駅 07:18発 → 住道駅 乗り換え → 津田駅 07:57着 (運賃 470円)
土曜なので通勤客が皆無。 住道駅で下車する高校生がいくらか乗っているくらいで、列車は基本的に空いていた。
駅舎正面の壁に、「おおさか環状自然歩道」の地図・道標が取り付けられている。今日歩く予定の約10kmのコースが「おすすめ1日コース」とされているようだ。
距離的には1日もかからないはずだが…。
駅舎のすぐ東側にある線路を横切る東西連絡地下道を通って、線路の東側に出る。
この地下道は、カラフルな絵画が全面に描かれている。
GPSログ
津田駅 から 国見山の登山口へ
津田駅から東へ住宅街の中を700mほど歩いていくと、国道1号線の高架道路が生駒山麓に沿って走っている場所に行き当たる。
国道の高架下を渡ると、その向こうにため池がある。 ヤマレコでルート作成したGPXファイルは、このため池の脇から尾根筋を直登するルートを示している。 このルートは生駒縦走歩道ではなく、森林管理道なので登山口の道標も何もない。
国道1号線に沿って300mほど京都方向に歩くと、生駒縦走歩道の登山口の看板がある。
国見山の登山口(国道1号線) … 「おおさか環状自然歩道」の標識がある
国見山の登山口から国見山へ
雑木林の中の道を登ること数分、左手に津田サイエンスヒルズに建つ工場の建物が並んでいる。登山道からよく見える位置に、「仁丹」の赤い大きな文字が目立っている。
仁丹といえば、明治時代に生まれた亡き祖父が食べていた銀色の小粒の飴を作っている会社という印象だ。
サイエンスヒルズから登山道に入る経路もあることから、山道の始まりは実質的にここ。そして、杉の植林を盗難から守るための共有林組合の「監視詰所」がある。
詰め所には、疫病退散の神 “アマビエ” が鎮座している。
少し進むと、尾根を直登し夫婦岩の所に出る分岐点がある。今回はそちらには行かず、メインルートをまっすぐ進む。
その少し先から杉林が始まり、更にしばらく歩くと林を切り開いた「桜のデッキ」という所に出る。
この場所には、かつて国見山に存在した津田城の遺構があり、「土塁跡」の標識が立てられている。
津田城は1490年に津田正信が築城した山城で、三好勢に属していた津田氏の城であったため、1575年に織田信長に攻められ落城したとされる。
ここから山頂までの間は、かつての津田城の城内。 土塁、掘割らしき起伏がいくつか見えるが、特に標識などは立てられていない。
国見山の山頂へ向かう分岐点がある。
階段を登ると、すぐに国見山の山頂。
山頂には標識と方位盤があり、鳥の写真を撮る登山者が数名いた。
山頂から西を見ると、六甲山の山塊が中央に見え、その手前が吹田市や宝塚市の辺りのようだ。
京都方面を見ると、天王山のすぐ右側に、うっすらと愛宕山が見えている。
大和を本拠とした松永氏、摂津を本拠とした三好氏にとって、北摂(大阪北部)と山城(京都)を見渡せるこの場所は城を築くに値する場所だったのだと思う。
国見山から交野山へ
国見山から降り、先程の分岐点を通って、生駒山縦走路(おおさか環状自然歩道)をさらに南へ向かう。
枚方市野外活動センターへの分岐をすぎると、交野カントリー倶楽部のフェンス横を通過する。
池の畔には、交野市の生き物ふれあいセンターという自然観察館がある。
このあたりで、今日の行程の3分の1(国道1号の登山口から約2.8km)まで来たことになる。
この道路を渡ったところが、交野山の登山口的な場所になっていて、「交野山森林公園」の地図が立てられている。
ここから交野山の山頂まで、標高差100mの少し急な登山道となる。
登山道を7分ほど登り詰めると、目の前に巨大な花崗岩の山頂が現れる。この巨石は、観音岩と呼ばれているそうで、側面に梵字で “聖観世音菩薩” の石刻があるそうだ。
交野山は、古代より神の宿る山として信仰を集めてきたそうだ。
そして、交野市(かたのし)にあって、交野山(こうのざん)と呼ぶのは、古くからの呼び名だからだろう。
ここで、iPhone SEでパノラマ写真を撮影。 大阪市内(あべのハルカスも見える)が展望の左端で、そこから六甲山系、画面中央に北摂山系、愛宕山、京都盆地と京都市、比叡山と京阪神の山並みが一望できる。
目の前の枚方市を拡大すると、こういう感じになっている
ここまでの行程は、国道1号の登山口からの距離が3.29kmで、所要時間が1時間5分ほど。
交野山から大阪府立くろんど園地へ
山頂から南へ降りてゆくと、登山道は鳥居をくぐり抜けて続いている。ふり返ると、山頂付近は巨大な岩山となっている。
この巨大な岩は、三宝荒神と呼ばれているそうで、登山道の鳥居はその「二の鳥居」だそう。 山頂の観音岩と、この三宝荒神の大岩の間に、三宝荒神を祀るステンレス製の祠があるそうだが、気づかなかった…
府県道7号を100mほど南へ歩くと、2010年に休止(議会報告広報誌)した交野市野外活動センターの門がある。
門の横に人間がかろうじて通れるくらいの隙間(通用口?)があり、私の前を行くハイキング客が通り抜けていく。
本来、通行止めになっているはずだが、ここは自己責任で通行してみる。
野外活動センター(跡)の道を進んでいくと、おおさか環状自然歩道の道標が今でも残されていて、問題なく通れそうだ。
野外活動センターの敷地を出て、生駒縦走路をさらに歩いていくと、山間の水田が現れる。
野外活動センターの池から流れ出た水を引き込んだ水田で、ちょうど刈り取りが終わったところのようだ。
しばらく歩いていくと、山間の傍示集落の端っこに出る。傍示(ほうじ)とは、「傍(ふだ)を立てて国境を示した」ということから、この地名が付いたらしい。
自然歩道から道路に出たすぐ右手の崖下に、天満宮と書かれた鳥居がある。 鳥居の奥に神社に続く階段などはなく、単なる崖があるだけ。
不思議な鳥居だと思ってWeb検索すると、鳥居と少しずれた所に神社に通じる苔むした階段があるとのこと。
かつて、交野から熊野大社に詣でる街道として使われていた時代、ここに熊野遙拝所として八王子を祀った小祠があったという記念碑。
その旧街道を200mほど奈良県に向かって歩くと、くろんど園地のメインゲートがある。 国道1号の登山口から5.2km、1時間50分歩いてきた。
管理歩道を500mほど進むと駐車場があり、5台ほど車が停まっていた。そこからさらに300mほど行くと八ツ橋という 「京都名物の和菓子」 のような名前の場所がある。
くろんど園地の管理歩道(車道)と、ラクウショウの並木(車道の右側)
ラクウショウ(落羽松)は、沼沢地での根元が少し水につかった状態(冠水)で自生する、メタセコイアのような葉を持つ木だそうだ。 確かに、湿地に架かっている八ツ橋の周囲は、この松の木で覆われている。
さらに400mほど行くと、バーベキュー場があり、その料金を徴収する園地案内所(管理棟)がある。
園地案内所の自販機でコーラ(150円)を買い、持ってきたパンで昼食とする。
くろんど園地から京阪私市駅へ
昼食タイム 20分ほど休憩したのち、さらに管理歩道(車道)を南へ歩く。
休憩所の中には、園内で見られる動植物を丁寧に描いた図鑑的なものや、季節の話題の書き物が展示されている。 なかなか好感度の高い展示物で、絵心のあるセンスの良い職員が居るんでしょうね。
すいれん池の周囲では、少しずつ紅葉が始まっている。
すいれん池から月の輪の滝までの間は、いろいろな花が咲いていた。
谷間の登山道は標高を下げていくにつれ、大きな岩がごろごろ転がっているようになる。
最近雨が少ないので、水量がめっきり減ってしまった月の輪の滝の横を通過する。
ここから先は月輪瀧道というらしく、その道をしばらく歩くと住宅街に出る。国道1号の登山口から8.8km、昼食の休憩も込みで3時間10分の行程だった。
津田駅を出発して3時間25分かかり、11時45分に京阪私市駅に到着。
乗りたいのはこっちですね。 支線を単純往復するだけの路線なので、先頭車両にFRPか何かでこういうデコレーション付けたら、乗客喜ぶこと間違いなしでしょう。
■ 京阪 私市駅 11:54発 → 枚方市駅・京橋駅乗り換え → 中之島駅 12:41着 (運賃 440円)