20 July 2020

コロナ助成金審査補助の派遣で見た現実…

とある新型コロナ助成金の審査補助に派遣され、そこで目にしたニッポンの現実

コンピューターではなく、あくまで人力で !

給付金の支給が諸外国に比べて遅すぎるのは、日本が「自動化」より「人力」を選択したIT後進国だからでしょう。

和暦から西暦の変換は、対照表を使って人力で

PC画面上に西暦で表示された生年月日と、身分証明書コピーの和暦の生年月日。 和暦と西暦が一致しているか、紙に印刷された対照表でチェックするんです。

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サーバ上で自動変換は「やってはならない」のでしょう

口座名義の半角カタカナ化ルールも人力でチェックと修正

口座名義は、半角カタカナで、かつ小文字はダメ、姓名の間や株式会社との間は半角1文字空けるなどのルールがあります。 これも人力チェックして修正します。

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たとえば、画面上で「カフ゛シキカ゛イシヤ」 の「ヤ」が大文字なのか小文字なのか見分けますが、そもそも画面上の文字が小さすぎて見分けが付きません。 気合で見分けますが、3割くらいは申請者が入力ミスしてます。 もちろん、人力で修正です。

住所や銀行支店番号も、人力でチェックと修正

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郵便番号や全国の住所一覧から自動入力・チェックしたり、銀行の支店番号と支店名は自動変換出来るはず。

もちろんお役所仕事では自動化は厳禁らしく、全て人力でチェック、修正します。

それにしても、自分の口座番号を間違えて入力している申請者が数パーセント居るのですが、他人がチェックするから適当に入力しとけば良いと思ってるんですかね…

チェックと修正を人海戦術で行い、審査が超スローペースになるのは、「この国民あって、この役所」 なのでしょう

誰も税金を払っていない国、ニッポン

確定申告書から見えること

添付書類に、昨年の確定申告票のコピーがあります。 他人の確定申告を次々と見ていくと、ある事実に気付きます

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8割以上が納税額ゼロ、つまり赤字法人・赤字の個人事業主なんですね。

2019年都道府県別「赤字法人率」調査、赤字法人率66.6%、7年連続で改善
国税庁が2019年2月28日に公表した「国税庁統計法人税表」(2017年度)によると、赤字法人率は66.6%(前年度67.6%)だった。全国の普通法人271万6,818社のうち、赤字法人(欠損法人)は181万977社…

産業別の赤字法人率は、最高が小売業の74.5%(同75.1%)。以下、金融・保険業69.1%(同68.9%)、サービス業他68.6%(同69.4%)の順。

https://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20190808_01.html

この記事のように、体感8割が赤字というのは間違っていないようです。

しかし、本当に赤字なのかは別の添付ファイルから疑問も…

収入を証明する帳簿がいい加減

小学生の子供でも許されないような、いい加減な帳簿が散見されました。

例えば…

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こんな収入額の帳簿が添付されているのです。毎月の収入が千円台が切り捨てられて、数万円レベルでフラットなんです。その金額で確定申告書が税務署に受け付けられている(スタンプが押されている)のですから驚きです。

会計ソフトを使ってちゃんと帳簿を作成している企業、個人事業主は1割もありませんでした。あくまで、添付書類から推測した私の体感ですよ…

複式、単式 という区分け以前、小学生の小遣い帳にも達しないレベルで確定申告が可能で、赤字法人となって節税が出来る、ニッポンとは素晴らしい国だと思います。

そもそも、年商10万円の事業者って…

申請書では年商10万円(売上額)とかいう確定申告書が1割くらいあって、そんな事業者でも今回、何十万・何百万円の給付金がもらえるのでしょう。

しかし、よく考えてみると、この申請者は本当に事業主なのか、単なる「扶養手当をもらうための無収入を証明する確定申告」を作っただけの人なのかというギモンも湧いてきます。

報道では「私給金を不正取得した」という摘発例もあるようですが、体感1割位が「事業主じゃなさそうな確定申告書」なので、よほどひどくない限り摘発はされないんでしょうね。

事業所の写真は、単なる住宅です

高級住宅に、高級乗用車

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豪華な新築住宅に、高級乗用車が置いてある。 これが、事業所の証拠写真のよくある例です。 事業所とみせるためなのか、表札の横に、申し訳程度に「企業名」を書いたA4用紙の紙が貼られていたりします。 写真撮影のときだけ、看板を意図したんですね

しかし、国民の税金を何十万円、何百万円も給付する相手が、「高級住宅・高級車などの高額資産を保有して、小学生レベルの小遣い帳で確定申告した赤字法人」 では釈然としません

個人的には、過剰な自己資産を処分して、それでも困窮してるから国の私給金というくらいでないと納得できないですね。あくまでも個人の感覚ですけどね

が、審査ルールはこういう例でも却下とは規定されていないので、書類はスルーです。

事務所は汚部屋、がらんどう …

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まるで、整理整頓の出来ない子供部屋を撮影したような写真が添付され、事務所の証拠写真だったりします。 脱ぎ散らかした服や、ぐちゃぐちゃの毛布がベッド上に散らかっているのはお約束です。

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がらんどうの部屋に、ちゃぶ台とPCという例もありました。 汚部屋を開陳するのは恥ずかしいので、徹底的に掃除して生活感を抜き、家具すら撤去して撮影した涙ぐましい努力の跡が見受けられます。

どちらにしても、これで「事業の実態が証明できる」とは言えないと思うのですが、監督者は『事業をやっていないという証拠は何処にもないので、却下する理由もない』と業務指示を出してきます。

つまり、どんな部屋の写真を撮影しても、審査スルーは変わりませんでした。

※ 住宅、部屋の写真はGoogle検索で出てきた画像を加工しています。 申請書類のではありませんのであしからず。

この派遣のお仕事を通じてわかったのは、政府の徴税も支出もザルで、うまく立ち回った人間が濡手に粟の金を得ているということです。 みなさん、うまく立ち回りましょう (笑