大阪・兵庫・京都の県境にある妙見山に登ってきた
ヤマレコの記事 『妙見山(上杉尾根〜山頂〜新滝道)』
自宅 〜 妙見口駅
■ JR 東西線 快速列車 新福島駅 08:10発 → 川西池田駅 08:24着 (320円)
東西線の快速列車は空いていた。連休なので通勤客は少なく、多くの人は海外旅行や日本国内の遠くへの旅行に出掛けてしまって、近隣の行楽は少ないのだろう。
川西池田駅で下車し、能勢電の駅へ。能勢電と阪急の駅は「合体」していて、改札口も同じだった。
■ 能勢電鉄 川西能勢口駅 08:34発 → 山下駅 08:50着 08:53発 → 妙見口駅 09:01着 (320円)
能勢電鉄の列車は、阪急電鉄で廃車になった「お下がり」の車両が使われている。塗装色も同じで、大学通学のときに乗車していた車両がまだ現役で走っていて懐かしい。
JR東西線の列車は空いていたが、能勢電鉄の都心方向へやって来る列車は超満員。 都心住民と違って、地方の人たちは「連休に行楽」なのだろうか。
山下駅で乗り換えた列車は、昔のデザインを復刻した「リバイバル塗装」の5100系車両だった。 車内はアマチュアカメラマンの風景写真の展示会場となっていて、通勤電車とはまた違う雰囲気だ。
妙見口駅で下車した人は、20人程度だろうか。 明らかに、通常期の週末よりも客数が少ないと思われる。 普段なら大量に見かける老人のハイキング団体も全く居ない。
駅前にはコンビニはないが、売店や地元のジビエ料理を出すB級グルメ店などがある。一角に観光案内所もあり、登山者向けのイラスト地図も無料で配っていたりする。大阪付近に数ある登山口の駅前でも、かなり充実したサポート体制の駅だと思う。
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妙見口駅 〜 登山口
妙見口駅前の駐車場の背後にある丘には、かつて吉川井戸城という山城があったとされる。駐車場に井戸城址と書かれた看板があるが、どこから登るのかなどの標識などは見当たらない
能勢町の『吉川井戸城発掘調査概要報告書.pdf』によれば、ここは“源満仲の家臣 藤原仲光が平安時代中期に築いた山城”とされている。“その後、清和源氏の流れをくむ多田氏一族がこの地を代々統治し、戦国時代には多田氏一族の吉川氏が統治していたが、吉川氏が没落した後に豊臣秀吉の家臣 木下典三左衛門がこの地域を知行地とした時に、井戸城が破却され” 現在に至るそうだ。
駅前から北へ、花折街道を歩く。 この街道は“200年から150年前にかけて、妙見参詣者の往来によって栄えた街道”だそうだ。 いまは、過疎化の進んだ里山の道だ。
昔の中学校の校舎がそのまま残っている、どこか懐かしい風景だ。
道路脇には「日本一の里山」という看板まで立てられている。 普通の田園風景だと思うのだが、都会の近くでは田園風景は貴重なのだろうか…
農村地帯には、そこにしか見られないようなサービスが… “コイン精米所” なるものがある。
Google検索したところプレハブ倉庫に精米機が取り付けられている精米所の装置は、およそ400万円ほど。精米サービスの相場は、10kgの精米が100円位だそうだ。 農家で自家消費しているところは助かるでしょうね。しかし、400万円を、玄米1袋30kgの精米料金300円で割ると、13,000回の精米をしてやっと建設費を回収できることになる。1日5名の客があったとして、7.3年。あまり儲からなさそうな商売だな…
駅から歩いて15分ほどで国道477号線の交差点にある登山口に到着。登山口横の住宅には、満開の里桜が咲いている。
妙見山 上杉尾根登山道
登山口の標高は245m、登山道の終点は妙見山上駐車場で標高は631m。およそ400mを登ることになる。
妙見山付近の植生図
これから登る登山道は、南側はケヤキの森にところどころスギの植林、北側はクヌギの植林という感じだ。
コンクリート舗装された管理道を2分ほど歩いて行くと、尾根に続く山道が分岐している。 標識が立っていて「登山口」と書かれている。 正式にはこちらが登山口のようだ。
登山口を入り、山道は一気に急登となる。
登山口から標高400mほどまでの登山道は、ケヤキなどが茂った夏緑樹林。所々に、植林された杉林が点在している。
尾根道の急登が終わり、標高450m付近(緊急通報ポイント「6」付近)でまず北側の視界が開けた所があり、谷間の黒川集落が見える
上杉尾根登山道(標高約460m)から見下ろした川西市黒川地区
その少し先(緊急通報ポイント「7」の少し先)では南側の視界が開けて、阪神間の市街地が見渡せる
上の写真で、阪神間の市街地の最も左側に見えている高層ビルは、南港のWTCビル(大阪府咲洲庁舎)。 残念ながら、箕面山などがある北摂山系でブロックされて、梅田や難波の高層ビル群は見えない。
標高530m付近まで登ってくると、登山道はほぼフラットになる。稜線の北側はクヌギが生い茂る落葉広葉樹林、南側はスギ。どちらも人間が植林した人工林だ。
上杉尾根 標高530m付近の登山道 (左側はクヌギ、右側はスギ)
「台場クヌギ」とは、植林されたクヌギは薪炭燃料とするため定期的に刈り取られるが、根本から伐採するのではなく、地面から高さ1mくらいの所まで残して伐採すると、残った切り株は枯れずに新芽が出てくる。伐採後10年程度で再び刈り取れるくらいまで育つそうで、それを繰り返すうちに樹木の高さ1mくらいの所で「台」のようにこぶができてしまったクヌギを「台場クヌギ」というらしい。
標高600m付近で杉林のなかの急登。すぐに妙見山上駐車場に出る。
緊急通報ポイントの標識は「15」
広い駐車場にはほとんど車が入っていない。やはり、連休は近場の行楽地ではなく、海外や遠くの有名観光地に行く人が多いのだろうか。それとも、家でのんびり「自宅警備員」をする人ばかりなのだろうか…
駐車料金は500円だそう。ケーブルカーとリフトの運賃は、往復で690円+690円=1,380円なので、1名でも電車より車のほうが安いという変な料金設定だ。ケーブルカーとリフトはもっと安くないと…
妙見山頂 ・ 日蓮宗霊場 能勢妙見山
駐車場を横切ると、妙見山の鳥居がある。鳥居の前の広場はバス停となっていて、日曜のみ余野行きの阪急バス137系統が2便だけ停車するようだ。行き先も微妙なので客が居るのかな…
大きな枝垂れ桜が満開です。
無料の駐輪場があり、10台程度のロードバイクがやって来ている。 千里中央? 北千里? いったいどこから走ってきているのだろう。
日蓮宗の寺院なのに鳥居。江戸期までの神仏習合の名残なのだろう。
能勢妙見山は、行基ゆかりの寺院があった為楽山の山頂に、江戸幕府の旗本能勢頼次が1605年に本殿(開運殿)を建立し妙見菩薩像を祀ったことを開基としている。
鳥居から星嶺に向かう階段を登って行くと、途中で山頂(三角点)方向を示す標識がある。
その方向へ、山道を少し登ると山頂に「彰忠碑」がある。脇には「三角点」と書かれた看板があり、それぞれ逆方向を示している。意味不明…
三角点はこの彰忠碑の後ろにある
参道の階段まで戻り、展望台にもなっている信徒会館 星嶺へ。
ガラス越しに見える建物内には、鯉のぼりが沢山吊り下げられている。
阪神間が遥か彼方に見え、上杉尾根の中腹から見た視界とほぼ同じ範囲、南港のWTCから西宮の甲山までが見えている。
この山門の所が、ちょうど兵庫県(寺院外)と大阪府(寺院内)の県境。 山頂付近は県境が入り組んで走っていて、一体どっちの県内を歩いているのかわからない
現在の本殿は、火災焼失後の1787年に再建されたものだそうだ。
妙見山 新滝道登山道
山頂からの下りは、山崩れで通行止めになっている新滝道コースを降りることとする。 本当に大規模に崩れているのなら引き返せば良いし、安定しているガレ場なら日本アルプス等での「バリエーション・ルート」と同じく注意して急いで通過すれば良い。
自己責任で…ということで
ケーブル駅方面と新滝道の分岐点の通行止め看板 (標高615m)
“土砂崩れ ! この先、ケーブル黒川駅へは通り抜けできません”
新滝道に入り、コンクリート舗装の急坂を降りてゆくと廃墟の建物が幾つかある横を通過し、数分で鳥居のところまで来る
鳥居の柱には “大正7年10月建立”とある。かつては、この道が妙見山への主要参道だったらしい。
登山道はコンクリート舗装が大半だが、所々に舗装されていない所もある。しかし道は完璧に整備されていて、特に危険を感じるところはない
谷底には水が流れていないガレ場が続いているが、標高450m位から下になると水がちょろちょろと流れるようになる。
妙見山付近の地質図
風化しやすい花崗岩の六甲山系と違い、ここ妙見山は丹波から亀岡などに広がる頁岩・砂岩が砕けたガレ場だ。北アルプスの槍穂高など、岩山の登山道を歩いている雰囲気が少しだけ出ているかな…。
(本場の北アルプスは、安山岩や流紋岩などで、頁岩・砂岩ではない)
標高400m付近、廃屋の横の橋を渡るところで、下から登ってきた家族連れとすれ違う。小さな子供も連れているが、バリエーション・ルートを登ってくるとは度胸がある
標高390m付近で、さらにソロ登山者とすれ違う。ここから下の状況を聞いてみたが、特に危険な所はなかったとのことだ。
谷底は大きな岩が転がっている。登山道も岩が散乱するガレ場的な道になり、登山してる雰囲気が出てなかなか良い。
標高360mほどの所に差し掛かると、ほぼ土砂で埋まってしまった砂防堰堤がある。登山道は堰堤の右岸を通過している
登山道をよく見ると、堰堤の向こう側がガレ場となっている
右岸側が少し崩れていて、登山道がガレ場となっている。 これが「土砂崩れ」の現場なのだろう。 土砂ではなく、岩が崩れている「ガレ場」だ。
落石がないかしばらく耳を澄まして観察するが、落石や土砂がパラパラと降ってくるような音は聞こえない。
バリエーション・ルートとしては、注意して通過すれば問題ないところだ。
標高330m。雄滝横にある鳥居を通過。
雄滝行場を過ぎると、再びコンクリート舗装された快適な道となる。
標高305m付近には、石碑がまとめて立っている。
標高260m付近まで降りてくると、登山口の鳥居がある
登山口 〜 妙見口駅
標高240mの場所まで降りてくると、ケーブルカーの黒川駅。 公衆トイレもある。
黒川駅前から数百メートル、国道477号線沿いを歩く。 国道の途中で、兵庫県から大阪府に県域が変わる。そのすぐ脇のため池のフェンスに、巨大な鳥がとまっている。
さすが、田舎に居る鳥は大阪城などに比べて大きさが違う…
妙見口駅 〜 自宅
■ 能勢電鉄 妙見口駅 11:34発 → 川西能勢口駅 11:59着 (320円)
■ JR 宝塚線 普通列車 川西池田駅 12:08発 → 尼崎駅 12:22着
■ JR 東西線 普通列車 尼崎駅 12:24発 → 新福島駅 12:34着 (320円)