02 June 2018

六甲山系 荒地山 〜 打越山 トレッキング

梅雨入り直前、この春最後の乾燥した晴天に、六甲山系の荒地山から打越山までトレッキングにでかけた。

ヤマレコの記録 : 『六甲山系 荒地山・打越山(城山・鷲尾山〜荒地山〜横池〜打越山)

野田 〜 芦屋 城山登山口

野田から乗った急行は、席が8割位埋まった程度で空いていた。 終点の西宮で特急に乗り換え。 こちらの特急は満員だった。まあ、1駅だから座れなくても何の問題もない。

■ 阪神電車 急行 野田 07:53発 → 西宮 08:10着
■ 阪神電車 直通特急 西宮 08:15発 → 芦屋 08:18着 (運賃 270円)

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芦屋駅に到着した直通特急 姫路行き

芦屋駅のプラットホームから、これから登る城山・鷲尾山・荒地山がはっきりと見えている。

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芦屋駅のプラットホームから見た荒地山、六甲山頂方向

駅を出て、芦屋川に沿って北へ。

税務署の植え込みの紫陽花が満開だ。 ツツジや山桜の時期は既に終わり、六甲山中には花はほとんど咲いていないはず…。 登山口までの沿道が唯一の花の観賞ポイントかもしれない。

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芦屋税務署前の紫陽花

川に沿って15分ほど歩くと、阪急芦屋川駅。駅前の小さな広場には、六甲山に登る登山客が大量に居る。ここからバスに乗るのか、それとも団体の集合場所なのだろうか…

さらに芦屋川・高座川に沿って北へ。

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山芦屋町付近から見た城山(鷲尾山)

芦屋駅を出てから20分で、六甲山方向への道(魚屋道)から城山方向への分岐点に到着。 今回はじめて、城山方向への道を選択する。

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高座の滝方向の道から城山登山口への分岐点

分岐点に立てられている看板には、城山の云われをこのように説明している

永正8年(1511年)細川高国澄元の両軍勢による鷲尾城芦屋河原の合戦は阪神地方の代表的な戦場として知られている。標高260m、いま城山の山頂に中世の城跡としての遺構は何も残っていないが、大阪湾を一望できる眺めは素晴らしく、動植物の観察や高座の滝までの2kmのハイキングコースとして親しまれている。

スマートフォンのGPSナビが、なぜか衛星をロストしている。 次にGPS衛星を捕捉して行動ログが再開されるまでの間、およそ40分間(登山口〜鷲尾山)、は分岐点や山頂、鉄塔などの地図上で場所が特定できる写真を撮影し、GPSログに手動で追記した。

魚屋道からの分岐点を過ぎ、高級住宅街の中の坂道を10分弱ほど登ると城山登山口がある。

GPSログ

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城山登山口 〜 鷲尾山

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山芦屋町の城山登山口

登山口から、つづら折りの山道が一気に城山の山頂まで続いている。

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城山の登山道

急登でもなく、ダラダラ坂でもない、適度なつづら折りの坂道を15分ほど登ると城山の山頂だ。標高は262.1mだそうだ。

山頂にはサンテレビとNHKの中継アンテナがある。

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城山の山頂

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城山山頂のサンテレビ中継アンテナ

芦屋駅から山を見上げた時に、山頂に存在する緑色の鉄塔は、この中継局アンテナだ。

城山をすぎ、ここからは尾根筋の道となる。ただし、小さな山の山頂を次々とピークハントするコースなので、道は登ったり降りたりを繰り返す。

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鷲尾山手前の送電線

荒地山に着くまで、3本の送電線をくぐる。まず1つ目の下を通過。 絶縁碍子が6枚挟まれているので77kV・66kVの特別高圧送電線のようだ。

低山なので、尾根筋を歩いていても鬱蒼とした木々に覆われていて、見晴らしも悪く景色は良くない。

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鷲尾山付近の登山道(尾根筋)

城山から歩くこと5分弱、標高271.8mの鷲尾山に到着。

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鷲尾山の山頂

このクラスの山には、山頂の標識などは全く立てられていない。 スマホの地図上でのみ実感できる「登頂」だ。

鷲尾山 〜 馬の背尾根 〜 荒地山 岩梯子

まもなく、高座の滝への分岐点がある。

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鷲尾山付近から高座の滝への分岐点

さらに数分歩くと、2本目の送電線の下をくぐり抜ける。

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鷲尾山と荒地山の間の登山道が横切る送電線

鉄塔に『仁川連絡線 36 昭和30年6月 関西電力』と書かれている。 碍子の数はここも6枚なので、77kV・66kVの特別高圧送電線のようだ。

この送電線を横切るとすぐに、名もない標高327mの山頂が有る。 山頂には3級基準点が埋め込まれている。

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名もない標高327mの山頂

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名もない標高327mの山頂に埋められている3級基準点

荒地山方向へ数分歩くと、地理院地図には記載のない高座の滝方向への分岐点が有る。

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高座滝への分岐点 (地理院地図には登山道なし)

高座滝方向を指し示す板には、その辺りの石で傷つけたと思われる「×」印が書き込まれている。ビニールテープに、『くずれ 注意』とマジックで書いたものも貼り付けられている。

続いて、今回の登山道で3本め、荒地山手前の送電線の下を横切る。

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鷲尾山と荒地山の間の登山道が横切る送電線

鉄塔の絶縁碍子の枚数が22枚と、ここまで横切ってきた鉄塔よりはるかに高電圧の送電線が横切っているのを感じさせる。 関電のWebページでは、この碍子の枚数は500kVの超高圧送電線とのこと。

登山道は一旦谷に向かって下り、谷の向こう側に荒地山が全貌を現す。 森林限界以下の低山なので木々に覆われているが、所々に岩壁が顔を出している。

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荒地山の全景

写真をよく見ると、岩場に数人の人が取り付いているのが見える。

一旦下った道は荒地山に向けて岩がゴロゴロと顔を出す登坂になる。 いよいよ、山に登っているという感覚を得られる。この辺りからGPSの受信状態が安定し、地図で現在位置が確認できるようになる。

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荒地山に向かう岩ゴロゴロの登山道

荒地山 岩梯子 〜 山頂

岩峰の荒地山に最初に取り付く事になる「岩梯子」が目の前に現れる。 城山登山口からの所要時間は55分ほど。

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荒地山の岩梯子(下部)

手・足を置く位置は明確なので、何の迷いもなくするするとよじ登ることが出来る

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荒地山の岩梯子(上部)

岩梯子をクリアすると、次に七右衛門嵒(しちえもんくら)が上に見えてくる。

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荒地山の七右衛門嵒

その向こうに青空が見えている小さな岩穴部を通りぬけ、体を180度ターンさせて、岩穴の上部の岩によじ登る。

残念ながら、ここだけは手と足を掛ける位置が明瞭じゃなく、腕力だけで体を引き上げる必要があった。

七右衛門嵒の先も岩場が続く。ここから先は、どの岩場を登るのか明確な標識などが見当たらない。どれを登っても「上の方」に行くには違いないので、自分の実力にあった岩に取り付けば良いということなのだろうか…

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振り返って下の方を見ると、テーブルロックの上で休んでいる人が居る。

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荒地山 テーブルロックの上で休憩する人

さらに頂上目指して登って行くと、岩に手と足を置く位置に少しくぼみが付けた所がある。丁寧にも、ロープが横に垂れ下げられていて、一応鎖場か…

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荒地山 岩場(鎖場)

微笑ましい、倒木を利用したハシゴ。 足場は十分安定しているので、ハシゴはなくてもいいかな

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荒地山 岩場(ハシゴ)

最後の岩場、サンデーモーニングを登る。しかし、この岩には妙な名前が付けられているものだ

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荒地山 岩場(サンデーモーニング)

岩場は、どこからでも神戸市街地が眼下に見える。 逆に、麓から登っているのを「観察」されているともいえる。

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荒地山 岩場の上部から見た神戸市街地

岩場をクリアして、なだらかな道を5分ちょっと歩くと山頂

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岩場から山頂までのなだらかな道

山頂は眺望が全く無く、三角点なども見当たらない。山頂らしきところには、かつて測量用の何かが埋められていたと思われる岩があるが、今は破壊されていて何もない。

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荒地山の山頂 (549m) 写真右端に測量用の何かの跡と思われる岩

荒地山 〜 横池

六甲山頂への主要登山道、魚屋道との合流点目指して緩やかな下り坂をどんどん下って行く。

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荒地山山頂から横池へ向かう登山道

住吉川支流の黒五谷の最上流、小さな沢の音が聞こえてくると、魚屋道に合流する。 荒地山の山頂から15分ほどだ。

六甲山頂に向かう主要登山道なので、こちらには沢山の人が歩いている。

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魚屋道から荒地山への分岐点

数分、山頂目指す人の流れに逆らって歩くと、打越山への分岐点に出る。

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魚屋道から打越山への分岐点

ここから打越山に向かう森林管理歩道(南パノラマ道)に入る。こちらを歩く人は殆ど無く、再び静かな山行になる。

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横池に向かう森林管理歩道と、ミツバツツジの新緑

登山道の少し下に横池が見える。 山肌を少し下って、池を観に行ってみる。

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横池

横池 〜 七兵衛山

再び登山道に戻り、森林管理歩道を西へ。 時折、登山客にすれ違う。

道はなだらかに下っていく。パノラマ道と名付けられているが、眺望は全く無い。

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横池から七兵衛峠へ向かう森林管理歩道

魚屋道の分岐点から20分、横池で少し道を外れたので実質的には15分ほどか… 七兵衛峠に到達。

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七兵衛峠

ここでハブ谷を経由して八幡谷に向かう道が分岐するとともに、七兵衛山の山頂に続く道も分岐している。

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七兵衛山への分岐点

「休憩所迄5分」と併記されている。 ちょうど昼食を食べたい時間帯なので、休憩所目指して登ってみる。

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七兵衛山の山頂(462m)と休憩所

休憩所のベンチからは、神戸市街地が一望できる。

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七兵衛山の休憩所から見る神戸市街地

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今日の昼食は86円のドーナツとカレーパン

食べ始めた時には誰も居なかった山頂の休憩所、しばらくすると次々と登山客が昼食を食べにやってくる。

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山頂で食べるドーナツ

七兵衛山 〜 打越山 〜 住吉台登山口

七兵衛山を後にし、再び森林管理歩道まで戻る。

さらに西に向かうと、打越峠。 ここで南の八幡谷、北の黒五谷に向かう道が分岐している。

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打越峠

峠を越えて、だらだらと坂を登って行くと、5分ほどで打越山の山頂に到着。

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打越山の山頂

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打越山の山頂標識 (481.6m)

ここから、住吉川の谷間に向けて一気に下っていく。 1箇所、下の写真のところで道を間違えた。 スマートフォンのGPS地図を時折確認しているから、気づくことが出来た。

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この地点で道を間違えやすい : 右側が打越山方向の道、左側が住吉川方向の道。写真手前方向が岡本方向への尾根道

下り道で1箇所、住吉川に向かって眺望の開けた場所があった。標高410m付近。そこから、六甲山の主稜が一望でき、西おたふく山や六甲山の山頂が見える。

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打越山から住吉川へ下る道から見る六甲山主稜

写真右側の高いアンテナ1本(自衛隊)が立っているのが六甲山の山頂。左側のアンテナが何本も立っている所が西おたふく山。

まもなく、住吉川から聞こえてくる沢の音が段々と大きくなってくる。森林管理歩道はスギの群生地を横切る。

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スギの群生地

谷底付近まで降りてくると、沢に木橋が架かっているのが見えてくる。すぐ上流には、大きな音を立てて水が落下する堰堤が見える。

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住吉川に架かる木橋

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住吉川の堰堤(五助堰堤と小峰ヶ原第二堰堤の間)

ふと足元を見ると、橋の袂の法面にユキノシタが咲いている

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ユキノシタ

住吉川の右岸を登り返し、しばらく行くと湧き水が出ている水場がある。 マウンテンバイクで登ってきた人が自転車を掃除していた。

まもなく林道と合流。時間はちょうど12時。打越山の山頂から35分掛かった。

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住吉川沿いの林道から打越山に分岐する地点

ここから少しだけ住吉川上流方向に向かい、五助堰堤を観に行く。

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五助堰堤

林道は五助堰堤が終点で、車が転回するために少し広くなったところにシートを敷いてお弁当を食べている家族連れが居た。

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住吉川流域 砂防・治山施設地図

砂防・治山施設の地図には、さきほど打越山から下ってきたところにあった堰堤の名前は出ていない。このレベルの地図では、小さいのまでは網羅していないのだろう。

林道をどんどん下っていく。住吉台の住宅街に近づいてくると、崖沿いにアジサイが植えられている。

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住吉川沿いの林道に咲く紫陽花

12時25分、住吉台の林道入口に到着。

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住吉台の登山口(林道入口)

住吉台登山口 〜 大阪 野田

林道入口から数分歩くと、バス停がある。 バス停は「エクセル東」と、マイクロソフト社が命名権を買ったかのような名前だ。

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住吉台 エクセル東バス停

■ 住吉台くるくるバス エクセル東 12:30発 → JR住吉駅 12:48着 (運賃 210円)

バスは標高265mのエクセル東バス停から、幾つものバス停に停車しながら坂道を下り、標高21mのJR住吉駅まで走る。

なぜか阪急や阪神の駅には立ち寄りもせず、停留所もない。 それぞれの駅に停留所を設置する「権利」を買うと、この運賃ではやっていけないのだろうか。

終点のJR住吉駅バス停は、駅から少し距離のある国道2号線のところにあった。目の前には、本住吉神社

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本住吉神社

Wikipediaの記述によれば、大阪の住吉大社と “神功皇后の三韓征伐からの帰途に船が進まなくなり、神託により住吉三神を祀ったと記される「大津渟中倉之長峡」” の「元祖の地位」を争っているとのこと。

それほど由緒ある神社のようだ。

バスを降りたJR住吉駅から歩いて10分弱、阪神電車の御影駅に到着。

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阪神御影駅

■ 阪神電車 直通特急 御影 13:02発 → 尼崎 13:19着
■ 阪神電車 急行 尼崎 13:24発 → 野田 13:30着 (運賃 280円)