六甲山に登った記録
毎日見ている景色のど真ん中に六甲山。今日はその頂上に登ってみる。 日の出から30分後、朝日を浴びて赤く染まる大阪の街と六甲山。 モルゲンロート… なわけないか。
自宅 〜 阪神芦屋
駅に向かう途中、コンビニで昼食のおにぎり2個(245円)を購入。今日の昼ごはんは、自宅から持参した小さいサイズのチキンラーメンと、フィッシュソーセージ、それとおにぎり2個の予定。
■ 野田 07:24 → 西宮 乗換 → 芦屋 07:48 (阪神電車 270円)
自宅から六甲山の最寄り駅まで20分ほど。案外近いが、なかなか登る機会がないのが六甲山。
阪神芦屋をスタート、ゴール地点とする今日一日のGPSトラッキングは次のような感じだ。
トラッキングログの元ファイルをダウンロードする場合はこちら(GPXファイル)。
阪神芦屋駅からは、これから登る六甲山方面が一望できるが、残念ながら六甲山最高峰は荒地山(549m)などに隠れてしまっている。
いかにも山頂ぽく、大小のアンテナ2本が立っているのは、西おたふく山(878m)。国土交通省のアンテナ2本。 六甲山最高峰には、自衛隊のアンテナ1本なので、知っていれば簡単に判別できる。
地名を入れてみるとこんな感じ。これから、高座谷方向に向かう。
阪神芦屋 〜 阪急芦屋川 〜 ロックガーデン入口
阪神芦屋駅を出ると、すぐ近くにレトロ建築の芦屋警察署。レトロなのは旧館の表面を移植しているからで、中身は1995年の阪神大震災後に建てられた最新のビルだという。 最近、こういう表面だけ移植するビルが流行してるんですかね。
警察署の横から、芦屋川に沿って歩く。500mほどでJR山陽本線の「上を」通り抜ける。 この辺りは、川の下を電車の線路がもぐって走る、典型的な天井川。さらに川沿いに400mほどで、阪急の高架の下をくぐり抜ける。駅前には、何十人かの登山客が集まっている。 休日の9時を過ぎると、駅前の広場は登山客で大混雑するそうだ。 そうなる前に出発しないと、登山道で渋滞に巻き込まれてしまう。
さらに芦屋川沿いに上流方向へ向かうと、『高座の滝・ロックガーデン』と書かれた標識があり、その指示通りに住宅街の中を歩いて行く。
住宅といっても、お金持ちの邸宅が多い。
阪神芦屋駅を出て、およそ20分。 邸宅街は途切れ、高座川沿いの山道となる。さらに5分ほど歩くと、ロックガーデン入り口の茶屋がある。
この手前に公衆トイレがあり、ここから山頂までトイレは無い。標準コースタイムなら2時間50分ほどの距離だ。
ロックガーデン入り口 〜 風吹岩
高座の滝 08:24通過 → 風吹岩 08:57到着 所要33分 (標準コースタイム40分)
滝乃茶屋の店頭には、手書きの値段表が置いてあり、いくつかピックアップしてみると
・おでん 1個120円
・うどん、そば 550円〜
・焼きそば、焼きうどん 600円
・カレーライス 500円
・焼きギョーザ 350円
というような感じだ。 芦屋川駅と20分ほど離れていることを『考慮した』値段設定なのだろう。
茶屋2軒を抜けた所に、滝がある。
芦屋大悲閣のホームページによれば、『高さ約10mの夫婦滝であって、昔は修験者の道場として著名であった。滝の300m上流にある中ノ滝付近の斜面から鎌倉時代初期のものと推定される土師質灯明皿や瓦器の包含層のあることが報告にある。このように祭祀性の遺物の出土や立地条件から、霊場であったと思われる。』という歴史ある滝だそうだ。
この滝を過ぎて、少し階段となった登山道を登って行くと、ロックガーデンが現れる。
『花崗岩が風雨の侵食によって、つくりだされた得意な景観地。1924年頃からロック・クライミング クラブの人々によって、登山練習が始められた近代登山の発祥の地である』
入り口から見て中央の道が一般客向けの難易度の低い尾根 『一般コース』。左側が地獄谷を進む『中級コース』。 右側が高座谷を進む沢登りコース。 とりあえず、一般コースを進みます。
いきなりこのような、岩の壁。 ただ、傾斜はそれほど強くなく、足場もたくさんあり、落ちてもすぐ下は平らな地面なので高度感もなく、一般向け練習台として最適な山道です。
少し登ると平らな地面があり、連続して岩場が続いていることはないので、確かに練習台にはうってつけだ。
岩場の雰囲気出てきましたね。ただ、北アルプス 穂高岳などの岩稜は「安山岩」なのに対して、六甲山は「花崗岩」。花崗岩の六甲山は、岩が風化して粉々になり、もはや岩稜ではなく土が多い山になってしまっている。
楽しい岩場歩きも、わずか10分程度で終わってしまう。 ここから普通の登り坂となり、送電鉄塔の下を1つ通過し、2つ目の鉄塔の下が風吹岩。この辺りが、荒地山からのびる尾根の上になるだろうか。
岩の上に登ると、猫が居る。
登山客が残していく、弁当などの残骸を食べているのでしょうか。
眺望の良いポイントが少ない、今回の六甲山登山道では珍しい眺望ポイント。
風吹岩 〜 本庄橋跡(本庄堰堤)
風吹岩 09:01出発 → 雨ヶ峠分岐点 09:39通過 所要38分 (標準コースタイム50分)
風吹岩を出発し、ゴルフ場 芦屋カンツリー倶楽部までの間は、なだらかな登山道。しばらくすると、緩やかな下り坂となり、谷底にあるゴルフ場に向かって降りてゆく。
ゴルフ場に差し掛かる手前の小川には、『この谷の水は水質検査の結果、汚染がひどく飲料には適しません』 と掲示されていたが、さすがにゴルフ場の横の川の水を飲もうと言うチャレンジャーは居ないでしょう。 芝生を維持するために、グリーンキーパーが除草剤や肥料などを駆使しているため、どうしても近くの川には微量の農薬成分が出てしまう。 環境基準内ですが、飲みますか… と言われてもね。
ゴルフ場を横切ると、雨ヶ峠に向かって高度差150mほどの登り坂となる。
雨ヶ峠に到達。この登山道で初めての「まともな休憩施設」だ。ここで六甲山最高峰と、東おたふく山方向に登山道が分岐している。この峠は六甲山の稜線から分岐した尾根上にあるが、道は再び谷に向かって降りてゆく。
雨ヶ峠分岐点 09:39出発 → 本庄堰堤 09:51通過 所要12分 (標準コースタイム20分)
登山道はしばらくすると下り坂になり、谷の奥に砂防ダムが見えてくる。住吉川上流の本庄堰堤だ。
登山道は、この写真の右側の尾根(写真撮影している側)から、左側の尾根に、本庄堰堤の所で乗り移っていく。
本庄橋跡(本庄堰堤) 〜 一軒茶屋
本庄堰堤 09:51通過 → 一軒茶屋 10:26通過 所要35分 (標準コースタイム60分)
本庄堰堤の横を通り過ぎると、少し広くなった場所があり、ここで住吉川を渡河する。といっても、ほとんど水の流れていないせせらぎ程度だ。
ここから、「七曲り」と呼ばれる標高差約280mの急登となる。
急登、緩やかな坂、急登 … の繰り返し。下り坂というのは皆無。 急登の最初のうちは、ヨメナがたくさん咲いていて心が癒やされ、中盤以降は所々に色づいた木々があって目の保養となった。
本庄堰堤から先の登山道で、紅葉が目立ってきたのは、それだけ標高が上がってきたからなのだろう。
一軒茶屋 〜 六甲山 最高峰
一軒茶屋 10:28通過 → 六甲山最高峰 10:35到着 所要7分
値段設定は地上とそれほど変わらず良心的。ただ、飲み物の種類が微妙…。
六甲山 最高峰
逆光気味なのと、粉塵濃度が高め(環境省の発表資料では、灘観測所 11時のPM2.5濃度は12ug/m^3)なので、大阪方向は白く霞んでしまっている。
昼食は、最高峰にある東屋で、お湯を沸かしてソーセージ入りラーメンを作り、朝購入してきたおにぎりと共に食べる。 風が少しあったため、火が煽られてカップの湯が完全に沸騰しなかった。
昼ごはんの、ソーセージ入りラーメンを、固形燃料ストーブで加熱
六甲山 最高峰 〜 有馬温泉
六甲山最高峰 11:06出発 → 有馬温泉 阪急バス ターミナル 12:12到着 所要66分
一軒茶屋のトイレに行く。水道はなく、トイレに掲示された看板では雨水を洗浄水として利用しているようだ。神戸の観光地の中でも、かなり登山客が集まるこの場所なのだから、井戸を掘って水を供給するくらいのことは出来ないものだろうか。電気は来ているし、井戸さえ掘れば衛生状態は改善する。
有馬温泉まで4.0kmと書かれている。坂道を下るとすぐに、吉高神社の廃墟がある。貼り紙がしてあり、遷座したとある。流石にここでは参拝客を集められなかったのだろうか…。
有馬までは、歩きやすく整備された下り道がずっと続いている。
一軒茶屋と有馬温泉のちょうど中間地点辺り、峠の茶屋跡の東屋がある。 説明板には『この道は、江戸時代、有馬温泉に神戸の魚を運ぶために使われました。明治7年 大阪・神戸間に鉄道が開通すると、住吉駅が有馬温泉の最寄り駅となり、徒歩・馬・駕籠による交通が盛んになりました。 新しい茶屋も出来ました。』とある。 昔は、温泉に向かう客も、六甲山頂付近を越えて歩いていたんだ…。 健脚だったんだな。
一軒茶屋(六甲越)から40分、登山道に『有馬温泉・有馬稲荷神社 近道』の標識が地面に転がっている。 ヤマレコで自動作成した登山ルートは、こちらの近道の方を指している。 近道に入ってみる。
荒れた急坂を10分ほど下ると、有馬稲荷神社に出る。
拝殿前からは、有馬温泉の谷間が一望できる。 魚屋道に入ってから、初めての眺望ポイント。
九十九折の階段を降りると、温泉街の端に出る。振り返ると、近道だけあって急傾斜の階段だ…
バス : 有馬温泉 〜 阪神芦屋
阪急バスの有馬バスターミナル付近で30分ほど時間を潰し、芦屋行きバスに乗車。 有馬から乗車した乗客は6名程度。
■ 有馬 12:40 → 阪神芦屋 13:25 (阪急バス 780円)
バスは芦有ドライブウェイに入り、九十九折の道でどんどん高度を上げてゆく。 六甲山最高峰に近い宝殿橋バス停(標高約710m)まで、わずか13分で到達。 ここから登山客が1名乗車。
展望台バス停には何台か車が停まっていて、観光客が阪神〜北摂方面の景色を眺めている。 六甲山最高峰より200mほど低いが、景色はほとんど似たようなものだ。