15 May 2015

大阪都構想で府に譲り渡す市の資産は無償譲渡?

テレビの各局で、橋下市長と、反対派の自民・公明・共産・民主の議員との討論が垂れ流されている。

維新の会は橋下市長以外が出てこないのは、単なる独裁政権だから、他の議員を出しても仕方ないのだろうかと思うが、どうなんだろうか…

というようなところは横に置いておいて、ぜひTV局には質問してほしいことがある。

市の資産は特別区には引き継がれず、大阪都に引き渡されるそうだが、それは「無償譲渡」なのか「有償譲渡」なのか。 市(特別区)の帳簿の資産の部から差し引いて、府の帳簿の資産の部に編入するのに、いくら何でも「無償」はないだろう。 府の中での「大阪市民の権利」は人口比の250万人/800万人 だけしか存在しない。

所有権が薄まるのに、金も寄越さないとは、単なる詐欺だ

というところで、ひとつイラストを作ってみた

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古代より、中央から独立し、より自治権を得る方向で人間の文明は動いてきたのに、大阪都構想はそれを真逆でやろうという変なプランだ。

東京が東京市から23区に解体されたのは、第二次大戦の戦争遂行のためであって、決して経済的問題を解決するためではなかった。 それに、その戦争にすら負けた。

歴史をひもとけば

古代ローマでは、集落は発展すると一定の権限を持つ「ムニキピウム(自治市)」に昇格し、さらに「コロニア(植民市)」に昇格することで、地方税の徴税権を得て自ら都市開発したり、裁判を行ったりする権利を手に入れていったとされる。

中世のヨーロッパでは、「都市特権」と呼ばれる権利を領主から、更に発展した街では神聖ローマ皇帝から得て、街独自の防衛や市を取り囲む城壁を作る権利を得たり、徴税権を得たり、貿易特権などの商業的権利を得たりすることで街は発展していったとされる。

日本でも、中世に堺のような自治都市が市民の努力によって作られた。第二次大戦後は、県の影響を排除して、地元住民に都市の運営を取り戻すため、「中核市」や「政令市」になる都市がどんどん出てきた。

都市自ら、都市を解体して権限を全て返上し、お上の支配を受けるだけの受動的な村落になりたいと願った例は、大阪を置いて他にはない。 じっさい、どのように没落するのか、文明の進化ルールに逆らったその結果が楽しみだ。