26 April 2015

維新の会の大阪都構想だからこそ「反対」

大阪市廃止解体の住民投票が、5月半ば行われるが、維新の会の恫喝に負けたマスコミの腰の引けた報道姿勢を見ても、いわゆる「大阪都構想」が民主主義や資本主義に沿わない最悪の案だというのが、私の感じたところだ。

維新の描く未来の大阪は、最悪の時代錯誤案

そもそも、「二重行政が悪い」とかいう、一般人が全く体感できないような雲をつかむような話を力説するところは眉唾ものだが、維新の会が目指している「大阪都構想」が実現した暁に実現する「未来の姿」はもっと意味不明でとんでもない内容だ。

20150426-isinpress.jpg
維新プレス Vol.13 が描く、みらいの大阪

・リニア関空へ
・御堂筋にF1
・世界レベルの海上リゾート、大阪IR構想
… カジノの事(筆者注記)
・うめきた、さらにスケールUP!
・万国博覧会開催
・中之島ミュージアム アイランド構想
・御堂筋シャンゼリゼ計画

もうね、開いた口がふさがりませんわ (笑

WTCやりんくうビル、フェスティバルゲートなど、維新が力説する「二重行政の失敗作」をはるかに斜め上を行く、破綻懸念事業が列挙されてます。

子供の頃に読んだ、科学雑誌に描かれていた「みらいの ちきゅう」を思い出しました…

20150426-mirainosekai.jpg
かつての科学雑誌に描かれた、2000年に実現したはずの「未来世界」

実現したのは、ソフトバンクの「白い犬」だけです…

この絵本の世界より維新の案が最悪なのは、カジノ建設やF1誘致などの案が現在の技術や営業で「建設だけは可能」なこと。

かつて、銀行から金を借りて建設してみた「フェスティバルゲート」は、競争市場で負けて見事に廃墟になって破綻してしまいました。 役所の経営感覚の無さ、センスの無さは皆さんも覚えているでしょう…

維新の会や、その支持者の人たちは、自分たちが批判している「二重行政」を、自ら率先して行おうとしていることを気づいているのでしょうか。

出来損ないの高層ビル(WTC等)や商業施設程度なら、解体撤去も可能でしょう。維新の会がやろうとしている事業は、どれも海外のハゲタカ・ファンドや業界のマフィアを巻き込んだ壮大な計画だけに、容易には撤退できない(損切りできない)ものばかりです。途中で方針変更しようものなら、膨大な賠償金支払いをつきつけられるのは必定だと思います。

先進国だけでなく、どの国も経験したことのない急速な高齢化と生産者年齢人口割合の激減で、日本経済が急激に縮小し、国の破綻も起こりえると多くの経済学者が予測している中で、これほどギャンブルのような未来を描くのは危険です。 ギャンブラーが、一発逆転を狙っているようなものですが、維新の案は確実に失敗します。 (大阪の役人や経済界が手がけた事業で、成功した事例がないのに、未来だけ成功すると推測するのはおかしいです)

そもそも、都構想とは催眠療法にしか見えない

20150426-isinpress2.jpg
維新のビラに描かれた 「とこう草」

まるで、危険ドラッグのような命名の「とこう草」。 自民党は「毒まんじゅう」と表現していますが、危険ドラッグのほうが、ピッタリの響き (笑

作家で哲学者の適菜収が、維新の会の説明会を聞いた上で述べた言葉は、『スピーチの構成はよくできており、心理学の手法を応用した巧妙な詐欺である。その場では検証できない数値や嘘を積み重ねていくので、ある程度の教育を受けた人でも事前に情報や知識がなければ騙されてしまう。ましてや地元の老人が橋下の嘘を見抜けるとは思えない。』だ。

また、維新の会が使っている説明パネルについて、『悪質なのは、学者や市民団体がこうしたパネルの細工を指摘しているにもかかわらず、維新の会のウェブサイトに堂々と掲載し、使い続けていることだ。「大衆は小さな嘘より大きな嘘の犠牲になりやすい。とりわけそれが何度も繰り返されたならば」とヒトラーは述べている。橋下は「ウソをつかない奴は人間じゃねえよ」と述べているが、五月一七日の住民投票まで徹底的に嘘をつきとおす方針を固めたのだろう。』 というのも、個人的には感じているところだ。

破綻ビル「WTC」を造った大阪市職員も、破綻ビル「りんくうゲートビル」を造った大阪府職員も、経営センスや経済判断の無さはどっちもどっちだと思う。 そもそも、どちらを選んでもハズレの大阪府・市の役人の間で、破綻事業の付け回しをしても一向に経営改善するわけがない。たとえば維新の会が主張する港湾事業や下水事業を、大阪市から取り上げて大阪府に移管した所で、状況が劇的に改善するというのは、今の段階では根拠がない夢物語だろう。

そもそも、独裁国家を目指しているとしか思えない

関西の経済団体は『賛成、反対の両派に対し、冷静で活発な論戦を求める』という、これまた腰の引けたスタンスで「腫れ物に触りたくない」感たっぷりだ。

同記事によれば、『反対派には「市営地下鉄の民営化、府・市の水道事業統合などに対する方向性を示してほしい」』と、自民党などに責任転嫁するような発言をしているが、そもそも、自民党は国レベルでは公営事業は公設民営化(コンセッション事業化)を強力に推進しているため、維新の会も自民党も「民営化」では手を握れるはずだ。 問題は、民主的な話し合いすら出来ないような維新の会の政治姿勢なのに、誰もそこを指摘しようとしない。それこそが問題じゃないだろうか。

また、公営事業でも、二重行政解消で共通化できる管理部門の事務も、『人材の入れ替えなくして、革新性の高い事業を継続して生み出すことは難しい』(投資コンサルタント加谷 珪一氏による)のに、現在の職員を横滑りさせて看板だけ「市役所100%出資の株式会社」にするような案しか出せないところに、いまの役所や議員の限界がある。

おそらく、都構想案は成立するでしょう

冒頭に掲載した「みらいの ちきゅう」にはオチがあって、次のようなネタ絵画が出回っています

20150426-mirainosekai2.jpg
未来の世界 はめつ編

こうならないことを祈りますが、都構想が実現したら大阪から転出する人が多くなるでしょうね。 西成区の生活保護の付け回しが「新中央区だけ」になり、他の区の財政負担がゼロになるなら魅力的なのかもしれませんが (笑笑笑笑笑笑

こんな現実的な問題点についても、ごまかしてバラ色の未来しか語らない都構想は、やはり宗教です…