21 August 2013

日本人の海外留学者数の減少と、大学発ベンチャー企業の減少

最近、日本人の海外留学者数の減少を問題視するWeb上の言論が増えている。
たとえば、

『日本で起きている皮肉な現象とは――留学生と採用の関係』
http://bizmakoto.jp/makoto/articles/1308/21/news004.html

“いま多くの企業から「海外経験が豊富な学生を探している」といった声をうかがっています。グローバル市場に展開しようと思っている企業にとっては、必要な人材ですよね。でも、留学生の数が年々減少している日本では、そうした企業が求める人材が不足している”

留学者数が減った原因としては、もちろん人口減少もあるが、次のような要因も大きいと解説されている。

“日本経済は長く不況の影響を受け、親の収入が増えませんでした。いや、むしろ減っていったので、子供を留学させる余裕がなかった”

ちなみに、留学者数の経年変化グラフは

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留学者数の推移(文部科学省統計より)


さらに、小学校・中学校・高校の学生数の推移は

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学生数の推移(文部科学省統計より)

上の2つのグラフを観てみると、大学生人口の増減にほぼ一致しているような気もしますね…

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可処分所得の経年変化

90年代以降は、長期停滞経済でほぼ所得水準が一定なので、所得が留学生数に影響しているとは思えない。

それより問題なのは、大学発ベンチャー企業数の減少数が、人口減少に比べて急ピッチ過ぎること

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大学発ベンチャー企業数の推移

ピークは大学生数と一致しているが、この減少率が人口減少率に比べて遥かに大きいこと。

日本証券業協会が、“新しい技術やビジネスモデルを有し、大きなビジネスリスクをとって新規事業に挑戦する. ベンチャー企業の創出・成長が不可欠である。” と述べているように、既存の停滞した経済環境の中から、シュンペーター曰く『創造的破壊』が可能なのはベンチャー企業が最も有望だと言われている。

大量の製造工場を有するのパナソニックやシャープのような老舗大企業ではなく、アップルコンピュータのような新しい企業が製造外注というフットワークの軽さで世界制覇する時代だ。優秀な海外留学生が、死に体の大企業に雇用されるよりベンチャー企業を起こして次の世界一を狙ってくれる方が良いと思うがいかがだろうか。


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学校数の推移

さらに言えば最大の問題は、学生数が減っているのに学校数が全然減っていない。つまり、純粋に教育に回すべき国の予算が、学校という土建の箱物の維持につぎ込まれているということだ。日本は先進国の中でも一人あたりの教育予算が少ないと言われているが、何故かその予算が土建事業に大量に振り向けられているとすれば、詐欺だろう (笑

土建に費やすよりも、“留学支援”や“起業支援”をしたほうがどれだけマシだろう。