京都御苑付近を歩いた帰り、島津製作所 創業記念資料館を見学した。
日本で最初の医療用X線撮像装置が入口を入ってすぐの所に展示されている。
医療用X線装置 DIANAの制御盤と機械整流式高電圧発生装置
1918年製のこの装置は、X線撮像装置のうち、交直変換器(後ろの巨大な木製キャビネット内)とその制御装置(手前のもの)。
交直変換器(AC-DCコンバーター)と言っても、よく見れば単に交流周波数と同期して回る電極の回転経路の一部にブラシを接触させて電流を取り出すという、半波整流しているだけのことなのだろう。(素人判断)
表面は大理石でできているようです。重厚です。
手前のガラス製品の部分にクーリッジ管(熱陰極管)が取り付けられていて、発生したX線は左奥の方向に射出されるようになっている。
医療用X線装置 DIANA X線発生装置に取り付けられているクーリッジ管
クーリッジ管の原理は、高温に熱したフィラメントから熱電子を発生させ、高電圧で加速して、金属ターゲット(陽極)に衝突させるとエックス線が発生することを利用している。Wikipediaに掲載されている図が分かりやすい。
島津のDIANAが開発された当時はクーリッジ管(熱陰極管)がまだ完成しておらず、クルックス管(冷陰極管)が使われていたそうだ。(当初は特許の関係で島津で製作することが出来ず、東芝から購入していたそうだ)
X線発生管の予備を格納する棚には、両方の種類のものが並べて置かれている。
上の2個と中段右側、下段右側のものががクーリッジ管、中段左と中央、下段の左ものがクルックス管。
杉田玄白の解体新書が書かれたのが1774年、宇田川玄随の西説内科撰要も同じような時期に書かれているはずなので、そこころに顕微鏡が作られていたとしても何の不思議もない。
1セルの起電力は約1.9Vです。
少量の希ガスを封じ込め、真空近くまで空気を抜き、両端の電極から放電してやるとネオン発光します。そう、単なるネオンです。19世紀末に考案された装置です。