東北地方を未曾有の大津波が襲い、多くの人命が奪われたことはとても悲しいことだ。
津波被害に逢った南三陸町のこの写真をまずごらんいただきたい
南三陸町 (配信:ロイター通信社。米国yahooニュースより転載)
この記事を書いている時点で、1万7千名の市民のうち、約1万名が行方不明ということだが、見ていただきたいのはこの写真に写っている町の両側を流れる川だ。
手前が太平洋で、左側から流れ込んでいるのが水尻川。上から流れ込んでくるのが八幡川だと思われる。川の河口には「水門」の残骸が写っていて、宮城県のホームページによれば河川防潮水門(水尻川防潮水門と八幡川防潮水門)だそうだ。
これらの防潮水門は宮城県津波対策ガイドラインに基づいて建設され、津波災害を防ぐためのものであるらしい。
宮城県のガイドラインによれば
<海岸保全施設の整備>
① 河川,海岸の防潮堤や水門については,その多くが昭和 年のチリ地震津波を契機として建設さ 35
れ,老朽化等も進んでいることから,防潮堤等の改築を推進する必要がある。
② 防潮水門等の閉鎖の操作は,そのほとんどが現場で行う必要があり,操作する者への危険が伴うこと
から,遠隔操作可能水門への改築等を推進する必要がある。
③ さらに,水門等の一元的な遠隔操作や津波・高潮等の情報を収集・監視する津波・高潮防災ステー
ションの整備についても今後検討する必要がある。
http://www.pref.miyagi.jp/kikitaisaku/torikumi/gaidorain/gaidoraintop.htm
また、平成19年の宮城県発表によれば、これらの施設は一応の完成を見たそうだ
地震とともに起きるおそれのある津波災害から県民の貴重な生命・財産を守るため,県では河川防潮水門において,これまで以下の整備を進めてきました。
・耐震性能が不足する施設の耐震化
・老朽化した施設の延命化
・ゲートの開閉速度の改善
南三陸町内の河川防潮水門(9水門)について,システムが完成したことから,完工式をとり行います。
http://www.pref.miyagi.jp/kasen/kisya_boutyousuimon070323.html
八幡川防潮水門 (kasen.netより転載)
この状態からさらに増強された姿が、2個下の写真に見られる
防潮堤を横切る道路には防潮鉄扉 (kasen.netより転載)
で、これらが役に立ったかというと、ごらんの写真のような感じである。
南三陸町 (配信:時事通信社。日本yahooニュースより転載)
河口に見える防潮水門は閉鎖されているように見えるが、大きく破損しているのもわかる
南三陸町 (配信:時事通信社。日本yahooニュースより転載)
津波は高さ10m程あったとも言われ、この写真にあるように3階建ての建物の上に自動車が持ち上げられるくらいの高さがあったのは確かだ。宮城県が『システムが完成』と胸を張った程度の施設では、まったく役に立たなかったのではないだろうか。
ガイドラインには『防潮水門等の閉鎖の操作をする役所の人間が津波に巻き込まれる可能性』を示しているが、実際に警官が何名も行方不明になり、職員が勤務する状態の町役場ごと消滅したところもあるという。 次にこういう地震が起きれば、情報と知識を持った役場の人間が職場放棄して一目散に逃げる(自衛隊以外は生命維持のための緊急避難で逃げ出しても、罪に問われない)可能性が限りなく高まったのではないだろうか。
岩沼市の堤防を乗り越える津波 (配信:毎日新聞社。日本yahooニュースより転載)
堤防をものともせず、直角に横切る津波の先端。 津波を防ぐには、高さ10m以上の頑丈な防壁がどの河川にも必要。まったく非現実的だが…
東日本のプレート境界で空前規模の地震エネルギーが解放された後、必然的に目を向けざるを得ないのは、これも膨大な地震エネルギーを溜め続けてきた、西日本地域の太平洋沿岸に延びるプレート境界地震だ。宮城県沖、茨城県沖と、震源が南下しながら連動発生した巨大地震の次に来るもの、それはやはり、「首都圏直下」「房総半島南沖」「東海・東南海・南海トラフ」、これらを震源とした巨大地震の大破局しか考えられないのだ。
もう手遅れかもしれないが、覚悟を決め、出来る限りの備えを整えてカウントダウンを待つしかなさそうだ……。
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20110312-00000301-playboyz-soci
歴史的に見て、この記事の言わんとしている事は正しいのだろう。時期が時期だけに、もう少しマスコミとして配慮しろといいたいところだが…
防災施設は当てにせず、地震が起きれば最低でも高さ10m、歴史的には高さ20m程度の津波が来ると仮定して、頑丈なビルの上に駆け上る。これしかなさそうだ。