大阪市中心部を南北に縦断する鉄道トンネル「なにわ筋線」の建設をすると、土建賊が行動を起こし始めたようだ。現在、大阪駅から関西空港までのJR路線は57kmあり、これが約53kmに短縮されることになる(厳密には新路線の大阪駅は、JR東京駅と東京メトロの京橋駅くらいの離れたところに出来る)。 たった4kmを短縮するのに、3000億円もの巨費を投じた地下鉄工事と、工事による大規模な環境破壊・資源の無駄遣いと、将来に渡る維持費の支払いが発生する。
現在、天王寺駅から関西空港までのJR特急は所要時間約30分であり、表定速度が約90km/hである。例えば新たに出来る大阪駅から天王寺駅をすっ飛ばして関西空港までノンストップで走ったとして、所要時間は35分である。(新聞記事の所要時間30分は、非現実的な嘘八百である)
仮に、現在の走行距離が57kmある環状線経由で、これまた非現実的にノンストップで90km/hを維持して走ったとしたら、38分である。既に運行されている快速列車の所要時間19分を考慮すれば49分となるが、これは途中で各駅停車を追い抜けずのろのろ運転しているからだ。途中2駅程度に追い越しのための待避線をつくり(西九条駅はすでに待避線的な駅構造になっている)、天王寺駅も通過させればどうだろうか。
税金投入の3000億円の新路線でノンストップ特急35分、環状線に2駅程度の追い越し線を造った上でノンストップ特急(たとえば)45分であれば、どうだろうか。
羽田空港と成田空港を直通させるために、銀座線に待避線を設ける工事を差し置いてでも、地方都市の土建ばら撒き工事をすべきなのだろうか。羽田と成田の年間利用客数は合計で9889万人、国土交通省が調べている首都圏の鉄道路線31区間の平均混雑率171%。それに対して伊丹と関西の年間利用客数は3329万人、大阪の鉄道路線20区間の平均混雑率133%。なおかつ、2010年の羽田拡張後は、現在関西のみに就航して日本路線を維持している外国航空会社がなだれを打って成田に移動することも考えられるこの時期にである。
ちなみに、この路線の途中経由地は、地下鉄四つ橋線と千日前線と完全に並行しており、どちらの路線へも約500m位しか距離が無い… つまり、関空の時と同じく、身の丈にあわない都市インフラおねだり病の再発と考えるのが妥当なんじゃなかろうか。
10分の短縮のために、当初予想3000億円(工事中に必ず増額される)の税金を無駄遣いされ、その後も余剰な路線を維持するために、加算運賃を徴収され続けるような無謀な計画が、果たしてまともな経済対策といえるのだろうか?
本日のお題:これ以上、増税されてまで、公共インフラ造り続けますか?
==参考文献==
【朝日新聞】新大阪―ミナミ―関空 新線「なにわ筋線」、計画再始動
http://www.asahi.com/travel/news/OSK200902140014.html
【朝日新聞】成田―羽田、鉄道で1時間構想 国交省、都心に新線計画
http://www.asahi.com/national/update/0906/TKY200809060225.html
【Wikipedia】日本の空港(乗降客数)
http://ja.wikipedia.org/wiki/日本の空港
【国土交通省】主要鉄道路線の混雑率
http://www.mlit.go.jp/tetudo/toshitetu/03_03.html
【Yahoo路線情報】現在の列車の所要時間と、路線の距離の算定情報
http://transit.yahoo.co.jp/