21 July 2008

支離滅裂

北海道に新幹線を作って欲しいのか、それとも身の丈にあった自活をしたいのか、報道機関すら軸足が定まってませんね…

(1) 都会の税金で、インフラ整備から運営まで金を出させようという案

【北海道新聞】 新幹線の札幌延伸求め800人行進

 北海道新幹線の札幌延伸実現を求め、札幌市内で大規模な街頭行進が十八日に行われ、約八百人の市民らが新幹線早期着工の必要性を訴えた。

 札幌商工会議所や札幌市などの主催。参加者は札幌市中央区のホテルで総決起大会を行った後、道庁まで行進した。

 上田文雄札幌市長や高向巌札商会頭らを先頭に、「札幌市民には新幹線が必要です」などと呼びかけながら、約二十分かけて市内中心部を歩いた。

 道庁では、全国知事会議で出張中の高橋はるみ知事に代わり、山本邦彦副知事が出迎え、「皆さんの熱意をばねに精いっぱい取り組みます」と述べた。

 新函館-札幌間など、新幹線の未着工区間については、今年三月に方向性が出るとみられていたが、財源問題などで結論が先送りされ、来年度予算の概算要求がある八月が当面のヤマ場とみられている。
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/politics/105881.html

ちなみに、JR東海は自社で「リニア新幹線」を建設することを発表してます。 さすがです。 経済インフラが必要であれば、必要となる地域で自らファイナンスすればいい訳です。

だいたい、「新幹線早期着工の必要性を訴えた」って…  当然、参加した800人は、自己の財産全額を寄付して建設工事するくらいの覚悟があるんですか? 無いでしょう w

(2) 人口減で崩壊するから、身の丈にあった街づくりをしようという案

【北海道新聞】 衝撃試算 2035年の北海道人口

 北海道の人口が、二○三五年に四百四十一万人まで減少する-。国立社会保障・人口問題研究所による衝撃の試算が五月末、明らかになった。二○○五年からの三十年で、空知・胆振・上川管内の人口合計にほぼ匹敵する百二十一万人が減り、人口規模は一九五○年代前半に逆戻りするというのだ。人口四百四十万人の北海道とは一体どういう社会なのか?そもそも、この推計はどこまで信頼できるのか?

441万人まで減少 どんな社会に?

 道内人口が二割以上も減れば、働き手の減少、社会保障費の負担増、さらなる少子高齢化と、深刻な影響が予想される。

 道内のシンクタンク未来総研(札幌市北区)の原勲理事長は「人口減の最大の問題は自治体の財政赤字」と指摘する。自治体の主要な財源である地方交付税は、人口が算定基準の一つとなっており、人口減が収入減に直結するためだ。

 原氏の試算では、二○三○年には道内百八十の自治体のうち、百三十八自治体が財政赤字に転落する。原氏は「このままでは市町村が存続できない。何らかの手だてが必要」と警告。昨年には、三十年後の人口減社会に対応する大胆な設計図を提案した。

 「三十万都市」を基準とする市町村合併だ。

交付税減、自治体軒並み赤字 未来総研 「30万都市で生き残りを」

 背景に「最適自治体」という考え方がある。人口と面積、一般会計の予算規模からみて、一人当たりの行政コストが最小となる自治体のこと。

 原氏がはじき出した最適自治体は、人口十三万人、面積三百十一平方キロメートルで、予算規模五百六十五億円。室蘭市と伊達市が合併すると、ほぼ「最適自治体」になる。

 ただ、行政効率だけなら「室蘭+伊達」が最適だが、原氏は「一人の人間が、生涯をその土地で完結させるには、十三万都市では規模が小さい」とみる。

 この最適自治体を二つ合わせて三十万都市にすれば、大学、働く場所、文化施設、高度な医療を提供する総合病院などの機能が維持できるため、人口流出も抑えられる。

 三十万都市といえば、現在の旭川や函館に近い規模。原氏によると、江戸時代の藩に相当するという。

 「人口減社会では、満遍なく公共投資を続けることは無理。それでも人里離れて暮らしたい人は、電気や道路など公共サービスを受ける権利を主張せず、コストは自己負担すべきだ」と原氏はいう。

 ならば、北海道の基幹産業である農業や漁業はどうなるのか?

 農業について原氏は、耕地を集約し、法人化した大規模な農場を、都市に暮らす住民が経営する姿を想定。さらに、大規模農業の基盤に立ち、食品加工業などの産業を興すことを提案する。

 もちろん、原氏の主張には異論もある。長野大環境ツーリズム学部の大野晃教授は、人口を都市に集中させる施策に「森林の荒廃を招く」と批判的だ。上流の農村、中流の町、下流の大都市をそのまま保ち、一つの川の流域で市町村合併する「流域合併」を提案する。だが、人口分散による行政コストをどう維持するか、課題は残る。

 広大な無人の空間に、百数十万人を擁する大都市札幌と、約十個の三十万都市が浮かぶ。原氏の描く三十年後の北海道は極端にもみえるが、人口減社会をにらんだ一つのプランである。

 人口四百四十万人、うち四割が六十五歳以上というこの推計は、衝撃的だが、現実離れした数字ではない。社会全体で二○三五年の設計図を描くきっかけにできないだろうか。
http://www.hokkaido-np.co.jp/cont/oh-sapporo/11601.html


この報道姿勢で明らかなのは、「税金投入して無駄遣いしまくり = 道庁中心の動き」、「身の丈にあった街づくり = 市の合併で出来る広域自治体」 という流れなんでしょうかね。

いつまでも大規模開発しか追い求めない都道府県って…  

一般市民 (土建利権とは関係ない人) の立場では、市(広域自治体)があれば当面の生活は困らないわけで、税金無駄遣いしまくって借金作りまくる都道府県って、いまいち役割なさそうな気がするんですけど。 二重行政なんだから、都道府県を廃止して 「国と市」だけでいいと思うんですけど、どうなんでしょうかね。


ちなみに、「広大な無人の空間に、百数十万人を擁する大都市札幌と、約十個の三十万都市が浮かぶ。原氏の描く三十年後の北海道」 のような姿は、現在のアメリカやヨーロッパのような形を目指しているのだろうか。
そうだとすれば、日本の中心でも「東京から大阪まで新幹線の車窓で街が途切れることが無い」 ような延び切った都市の姿を、将来的には東京に集約する方向に向かうのだろうが、首都圏には地震発生の可能性という爆弾があるためこれ以上の集積は難しいんじゃないかなぁ…  (大阪も直下型断層があるので、できるなら大阪の企業を茨城・福島といった首都圏1時間圏内辺りに移すのがいいのかもね)