30年くらい前のエアコンの写真をわざと使った心理作戦広告
(広告の文書は、10年前なんだから、10年前のエアコン写真を使わないのは詐欺)
長く使えば、それだけ愛着がわきます。
でも、古い家電は、いまこそ環境のために買いかえてほしいのです。
「まだ使えるのにもったいない」そう考える方も多いと思いますが、家電の部品は、その多くがリサイクルされ、新しい製品に生まれ変わります。
「お金がかかるから…」と考える方もいらっしゃると思いますが、例えばエアコンであれば、10年前のものと比べ、電気代は年間約1万円の節約になるうえに、CO2削減の効果は、年間約150kgになります。
他にも、電球、冷蔵庫、テレビ、洗濯機、炊飯器、ガスコンロなど「古いものから買い換える、というエコ」を一つでも多く実践してください。
そして、買いかえたら、これまで同様、大切に使ってください。
CO2削減のための私たちからのお願いです。
この文章を入力している部屋に付いているエアコンは、およそ10年前の松下電器製エアコンだ。
1998年製 CS-SG22MR : 出力2.2kW (定格消費電力:冷670W/暖855W)
本体 70,800円、工事費・吊金具18,000円
で、最新の松下のエアコンをヨドバシカメラのホームページで検索すると
CS-V227A : 出力2.2kW (定格消費電力:冷435W/暖455W)
本体 62,820円(10%ポイント考慮) 工事費・吊金具 約20,000円
もう少し高いのでは
CS-EX227A : 出力2.2kW (定格消費電力:冷370W/暖405W)
本体 89,469円(10%ポイント考慮) 工事費・吊金具 約20,000円
確かに、2200Wの冷房出力を得るのに、10年前の機種では670Wだったのが、現在の機種では400W前後と言うことになっている。さすが、技術の進歩はすばらしい…
電気料金での損得
実際の電気料金から逆算した感触より、7月~9月・12~2月の6ヶ月間、1日5時間(インバーターのため負荷率50%と仮定)利用したとして電気料金を算出してみる
(東京電力のホームページによれば、従量料金の最も高い区分では22.31円/kWh。)
10年前のエアコン(夏季3ヶ月の電気料金)
670W * 50% * 5h * 30日 * 3ヶ月 = 150.75kWh : 冷房運転
855W * 50% * 5h * 30日 * 3ヶ月 = 192.37kWh : 暖房運転
よって、電気料金は (150.75+192.37)kWh * 22.31円/kWh = 7,655円
最新のエアコン(夏季3ヶ月の電気料金)
370W * 50% * 5h * 30日 * 3ヶ月 = 83.25kWh : 冷房運転
405W * 50% * 5h * 30日 * 3ヶ月 = 91.12kWh : 暖房運転
よって、電気料金は (83.25+91.12)kWh * 22.31円/kWh = 3,890円
差額 3,765円が1年間に得する電気料金です
得する電気料金を積み上げたら、何年でエアコン購入費を回収できるか…
(62,820円+20,000円) / 3,765円/年 = 22年
22年使わないと、高効率エアコンも元が取れません!
今度は、環境論者のCO2換算のほうで比較してみます
環境学はさっぱり分からんので、Googleで引っかかった文献から計算してみました
アメリカ連邦環境局(EPA)のレポートによれば、東京電力の電気を使っている場合、電気 1 kWh を発電するためには約 0.38 kg の二酸化炭素が発生するらしい。
消費電力の差を二酸化炭素に直すと
((150.75+192.37) - (83.25+91.12))kWh * 0.38kg/kWh = 64kg
1年間に64kgの二酸化炭素量の削減になります。
さて、エアコンを製造するのにどれくらいのエネルギーを消費し、二酸化炭素や他の廃棄物を出しているのか…
立命館大学と国土交通省の共同レポートによれば、家庭用エアコン1台製造するのに必要なエネルギーは
新たに作る場合:370,000kcal (=430kWh)、CO2排出量は22kg・炭素換算(=80.6kg)
リサイクルの場合:それぞれ48,100kcal(=55kWh)、3.1kg・C(=11.3kg)。
エアコンの家電リサイクル法のリサイクル率が60%というのを加味すると、80.6 kg*0.4 + 3.1kg*0.6 =34.1kg
エアコン1台あたり、製造に34.1kgの二酸化炭素が排出されていることになります。
高効率エアコンで1年間に削減できるCO2量 64kg < エアコン製造でのCO2発生量 34kg
二酸化炭素だけの面から見れば、高効率エアコンに買い換えたら1年以内に製造時の排出量はチャラになると言う計算です。
では、消費者はどう動くのか
環境のためだけに、22年間(多分、機器の耐用年数以上 w)も元が取れないハイリスクの投資をしてまで、エアコン買い換えますか?
この計算の大前提の電力量あたりのCO2排気量も、原子力発電比率を上げれば数値は変わってきますし、日本全体で高効率の家電品に買い換えた時にどれくらいのCO2削減になるのか、数値的な裏づけを全く書いていないような「宣伝」はいかがなものなんでしょうか。
「鯨がかわいそう」だから、捕鯨は反対という感情的理論と同じ線をいく「環境論」は、テロリズムと同じくらい危険です。