製品の安全性に疑問が投げかけられている中国で、またしも新たな食品が発見されたようだ。
【北京=寺村暁人】中国河南省鄭州市政府の機関紙「鄭州日報」(電子版)は13日、食品添加物や化学薬品などで合成した「人造卵」が同市内で販売されていると報じた。
「人造卵」は、アルギン酸ナトリウムが主原料で、ミョウバンやゼラチン、でんぷんなども使われる。卵の殻は炭酸カルシウム製としている。
一見、普通の卵と変わらないが、ゆで卵にして食べるとゴムのような食感で卵の味はしないという。長期間食べ続けると、記憶力が減退したり、認知症の症状を招く可能性があると警告している。
食品添加剤業者の話として、毎日3000~4000個を生産している業者もいると伝えた。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070813-00000112-yom-int
農業という従来型手法ではなく、化学的な合成手法という切り口で「卵」という畜産製品を製造してしまったというニュースだが、こういう挑戦に対してマスコミは批判だけしていていいのだろうか。
現在の農業は、地球上の全人類を最低限養っていくだけの生産力は持っていない。(よって、発展途上国では飢餓が起こっている)
今後、人口が増えることと同時に人間の活動が宇宙空間にまで広がっていく段階で、食料をどのように作るのかはもっと真剣に議論してもいいのではないだろうか。
いまのところ、バイオテクノロジーという、生物学的な手法が未来の食品・医薬品製造で主流のようではある。 (宇宙船などの閉鎖性領域で、ある種のバクテリアや菌類を用いて廃棄物の処理をしてみたり、リアルな農作物を育ててみたり)
しかし、もうひとつの切り口として、食品・医薬品の直接製造というのが行われてもいいはずだ。
ステーキを食べるために、牛を育てる、そのために餌となるとうもろこしを育てるなどという無駄なステップを踏むのではなく、炭素・水素・酸素・窒素からたんぱく質を合成して、それを肉の形にする”工場”があっても問題ないはずである。 全ての食品を、農産物という形ではなく、化学的に合成した工業製品として製造しても、人間の栄養摂取の面からはまったく問題ないはずだ。
中国が生み出した、この人造卵。 案外、未来を見通した技術のブレークスルーなのかもしれない。
※ 日本では、シャケの卵 (イクラ) を、完全に工業製品として製作している工場があるが、あまり知られては居ない。