氷河期世代、さらなる冷遇で終了…あと15年で日本人が直面する「恐ろしい悲劇」 2/26(水) 16:02配信 THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) (※写真はイメージです/PIXTA) 初任給が30万円超えという驚きのニュースが聞こえてくる昨今。初任給は20万円前後とされていた時代の人間からすると羨ましい限りです。特に大学を卒業してもまともに就職さえできなかった人も多い「氷河期世代」にとっては夢物語。今なお「大した給与アップを経験したことがない」という人たちも大勢います。何ともかわいそうな世代を生んだつけが、あと15年ほどで訪れようとしています。 初任給30万円超えも賃上げの波に乗れない「氷河期世代」 昨今、頻繁に聞く初任給引き上げの話題。インパクトが大きなものをいくつかピックアップすると、ファーストリテイリングは2025年3月以降に入社する新卒社員の初任給は33万円にする予定です。カプコンは2025年4月入社の初任給を28%引き上げ30万円にします。大和ハウス工業は2025年4月入社予定の新卒社員の初任給を月額25万円から月額35万円に引き上げます。大成建設は大卒初任給を前年度から2万円引き上げ30万円とする方針です。 大手企業は競うように「うちは初任給を引き上げます」と宣言していますが、同時にベースアップも発表しています。ただ基本給をあげられるのは一部の企業に限られ、日本全体が給与アップの流れにはなっているかといえば、そうはいいきれない状況です。 特に初任給アップで浮かれ気味のなか、置いてけぼり感が否めないのが氷河期世代を中心とした中高年層。厚生労働省『賃金構造基本統計調査』によりますと、昨年(速報値)とコロナ禍前の2019年の一般労働者の所定内給与を比較すると、平均額は月33万200円で、5年で2万4200円と7.9%増加しました。 一方、年代別でみていくと、明暗がくっきり。20代は1割程度増加していますが、年齢とともに増加率は低下し、50代前半では1%台にまで凹みます。 【年代別・2024年と2019年の給与比較】 20〜24歳:232,400 円/210,900 円(110.2%) 25〜29歳:267,100 円/243,900 円(109.5%) 30〜34歳:299,400 円/275,900 円(108.5%) 35〜39歳:328,600 円/305,300 円(107.6%) 40〜44歳:351,300 円/329,600 円(106.6%) 45〜49歳:372,500 円/350,300 円(106.3%) 50〜54歳:380,000 円/373,500 円(101.7%) 55〜59歳:391,000 円/367,100 円(106.5%) 60〜64歳:317,700 円/283,000 円(112.3%) ※数値左より、一般労働者の2024年所定内給与額/2019年所定内給与額(増加率) 人材獲得競争が激しい若年層は給与をあげざるを得ない。一方、中高年は人材流出リスクが小さく、給与の引き上げは後回し。「大した給与アップを経験したことがない」という人が多いのも、氷河期世代の特徴です。 低収入、低年金が確定的な「氷河期世代」 2024年時点で、40〜54歳だった人は、就職氷河期世代にあたります。1993年から2004年ごろに入社した人で、ちょうどバブル崩壊や金融危機と、日本経済がどん底だったときに就職活動を行いました。この世代は大学を卒業しても就職できなかった人たちが多数。非正規社員で働いた期間も多く、自ずと生涯年収は低くなります。生涯年収が低いということは、それだけ将来受け取れる年金が少なくなり、老後、生活に困窮するリスクが高まるということです。 その分、貯蓄があればいいのですが、収入が少ないのに貯蓄があるはずがありません。「氷河期世代は詰んだ……」といわれるのは当然のことといえるでしょう。日本経済がどん底だったときに、人件費の削減圧力が強まり、今なお続いています。その影響を一番に受けたのが氷河期世代なのです。 次々と高齢者が供給される2040年代の日本で起きること 超高齢化社会の日本において、2040年代の日本で起こるとされている2040年問題。これは1971〜1974年に生まれた団塊ジュニア世代が65歳を迎え、日本の総人口に占める高齢者の割合が35%を超えることにより起こるであろう諸問題を総称したものです。この団塊ジュニア世代から始まるのが就職氷河期世代。団塊ジュニア世代を頂点として徐々に人口ボリュームはしぼんでいきますが、それでも各年齢150万人程度と現在の2倍近くいます。それだけの人が毎年高齢者になっていくわけですから、社会に与えるインパクトがどれだけ大きいか想像に難くありません。 人口ボリュームが大きい世代が一気に高齢者となることで労働人口が急減。税収減少で財政がひっ迫するリスクが高まります。また医療・介護ニーズが高まるも人材確保が大きな課題となり、医療・介護難民が街中にあふれるという予想も。さらに高度成長期にから70年代は、日本のインフラが急ピッチで整備されていたとき。それらが次々と寿命を迎えようとしていますが、更新がうまくいっていない例は多く、埼玉県での道路陥没はその一例。同じような事故が全国で多発すると警告する専門家も。 このように人口に起因する社会問題。必ずくる悲劇的な未来で生きていくためにも自助努力が求められていますが、氷河期世代はすでに詰んだ人たちが大勢いる世代。本来、日本の社会保障制度は現役世代が高齢者を支えるように設計されていますが、高齢者となった氷河期世代を支えられるわけがなく……「選択肢は氷河期世代の救済に見切りをつけて、その先に新たな日本をつくること」という声も。何とも極端な意見ではありますが、直近では賃上げに期待できず、その先の社会保障も絶望的。氷河期世代、すでに見捨てられたといっても過言ではない状況です。 [参考資料] 厚生労働省『賃金構造基本統計調査』 https://news.yahoo.co.jp/articles/acf3c1ac919b101cdb66948c1ff916932056c82f