27 October 2017

六甲山系 摩耶山トレッキング(新神戸〜布引ダム〜市ケ原)

新神戸からトゥエンティクロス、徳川道を通り摩耶山へ。下山は上野道を下ったトレッキングの記録。

もくじ

・その1 : 新神戸駅〜布引ダム〜市ケ原
・その2 : 市ケ原 〜 徳川道 〜 穂高湖 〜 摩耶山 掬星台 〜 上野道 〜 西灘駅

ヤマレコの記事

大阪から、新神戸駅の登山口へ

■ 阪神本線 野田 07:11 → 甲子園 07:22 (急行)
■ 阪神本線 甲子園 07:26 → 神戸三宮 07:44 (快速急行、 野田より運賃 300円)

急行電車は空いていたが、甲子園駅で乗り換えた奈良発の快速急行は混雑していた。

20171027-sannomiya-train.jpg
神戸三宮駅に到着した快速急行(折り返しで奈良行き)

神戸三宮駅で下車。東改札から出て、地下道を通りJR三宮駅の出口からフラワーロードに出る。 ビルに囲まれた大都会の道路で、中央分離帯に「花を植えている」ことから名付けられたそうだが、何処に花…。 大都会の幹線道路にありがちな、緑の低木が植わってるだけですね。

20171027-sannomiya-flowerroad.jpg
フラワーロード (三宮駅付近から六甲山方向を眺める)

この道路は、かつて生田川が流れていた跡地で、1871年(明治4年)に河川改修で流路が付け替えられたので道路とされたそうだ。今日のトレッキングは、この生田川を上流域まで谷に沿って登る予定だ。

神戸市のホームページによると、フラワーロードの建設経緯は、『江戸時代末期~明治初期の生田川は川幅80~100m程度。当時、通常の水量はわずかですが、少しの大雨でたちまち氾濫し、港や居留地付近に被害をもたらしていました。居留地側からこの川の改修を強く要望され、明治政府も放置することが出来ず、明治4年に付替工事を行うことになったのです。新川の完成で不要になった旧河川の敷地に幅18mの道路を設け、現在のフラワーロードになりました』 とされる。

新神戸駅方向に向けて歩いて行くと、何軒ものコンビニがある。 適当な場所で昼食のおにぎりを購入しておく。

三宮駅から歩くこと約10分。 フラワーロードと生田川がぶつかる所が新幹線の新神戸駅前だ。生田川とその堤防上の歩道が新幹線の高架駅下を通過している。この歩道を通って新幹線の線路の北側に出ると、そこが布引の滝・布引ダム方面への遊歩道入口だ。

20171027-shinkobe-front.jpg
新神戸駅前の生田川沿いの歩道 (直進すると向こうに見える新幹線駅の下をくぐり抜けられる)

新幹線の高架をくぐり抜けると、目の前には六甲山の巨大な崖(諏訪山断層沿いに設けられたコンクリート擁壁)が迫り、その壁に布引付近の登山道案内図が掲示されている。 標準コースタイムまで記された分かりやすい地図だ。

20171027-shinkobe-map.jpg
新神戸駅の北側登山口に貼られた巨大案内地図

この地図とヤマレコの山と高原地図を用いた登山計画から、今日のトレッキングの各区間の所要時間・標準コースタイムを書いたのが下の表だ。 写真撮影で立ち止まりまくっていたので、コースタイム程度の速度でしか歩けていない。

区間時刻所要時間標準コースタイム
新神戸駅 〜 市ケ原(桜茶屋)8:10 〜 9:171:071:00
市ケ原(桜茶屋) 〜 縦走路(天狗道)分岐9:17 〜 9:260:090:15
縦走路(天狗道)分岐
〜 あじさい広場(高尾山砂防堰堤)
9:26 〜 9:410:150:20
あじさい広場(高尾山砂防堰堤)
〜 森林公園東口
9:41 〜 10:110:300:35
森林公園東口
〜 桜谷分岐(徳川道・シェール道)
10:11 〜 10:370:260:20
桜谷分岐(徳川道・シェール道) 〜 杣谷峠10:37 〜 11:030:260:30
杣谷峠 〜 摩耶山 掬星台11:03 〜 11:310:280:35
摩耶山 掬星台 〜 史跡公園(天上寺跡)11:55 〜 12:060:110:20
史跡公園(天上寺跡)
〜 五鬼城展望公園 登山口
12:06 〜 12:450:391:10
合計時間4:104:05

GPSログ


トラッキングログの元ファイルをダウンロードする場合はこちら(GPXファイル)

新神戸駅の登山口から、布引の滝まで

新神戸駅からはしばらく急な坂が続く。途中に 「滝山城跡」の石碑がある。ここから布引の滝の南にある城山(標高321m)の城址に登る目印のようだ。

Wikipediaによれば、滝山城が最後に使われたのは戦国時代初期だ。

20171027-takiyama-castle.jpg
滝山城跡の石柱。ここから滝山に登山道が続いている

滝山城(城山)へ続く階段ではなく、数軒の家が建っている広い道路の方を坂道を登ると、砂子橋(いさごばし)というレンガ造りの橋が生田川に架かっている。

『砂子橋は、1897年(明治30年)頃に造られた、布引谷から北野・奥平野浄水場へ向かう導水管を通すためのレンガアーチ橋』神戸市ホームページより)で、重要文化財だそうだ。 橋を渡ったところにある説明板には「布引水路橋」とも書かれている。

20171027-isagobashi.jpg
砂子橋 (いさごばし)

橋を渡ったところから、布引の滝や布引ダムがある公園的な地域『布引・市ヶ原』になるようで、登山口のように車止めが道路に植えこまれている。

20171027-nunobiki-entrance.jpg
砂子橋を渡ったところにある公園入口の看板

ここには登山道などの地図ではなく、なぜか水道施設の説明看板が掲げられている。おそらく、『布引水源地水道施設の重要文化財指定』を説明したいのだろうが、この簡潔な地図では十分には理解できない… (ネット検索が必要)

この水道局の看板の右側に歌碑が写っているが、布引の滝(雄滝)までの間に「布引三十六歌碑」が所々に立てられている。公園の入口は1個目ではなく、既に3個めということで

布引の
  滝の白糸
    わくらはに
訪ひ来る人も
  幾代経ぬらむ
        藤原行能

川沿いの道を少し行くと、布引の滝 雌滝(めんたき)がある。滝を眺めるために架けられた(?)橋の上は休憩スペースのようになっていて、体操をする中高年齢の人が疎らにやってきていた。

20171027-nunobiki-mentaki.jpg
布引の滝 奥に見える雌滝 (めんたき) と、手前の取水堰堤

奥に見えるのが雌滝(落差19m)、手前の大きな滝が1900年に造られた取水堰堤(高さ7.7m)。神戸市のホームページによれば、ここから取水された水はいまでも奥平野浄水場に送水されているそうだ。

最上流にある雄滝を目指して、コンクリートで舗装された園路を登っていく。 園路沿いには、ところどころに歌碑が立てられている。 この日は平日(金曜日)だったため、観光客や登山客とすれ違うことはほぼ無い。

20171027-nunobiki-kaidan.jpg
コンクリートで舗装された園路 (雌滝と鼓滝の間)

20171027-nunobiki-tutumigataki.jpg
布引の滝 鼓滝 (つづみたき)

鼓滝は園路側にあり観賞用の橋がないので、正面から眺めることが出来ない。

雄滝までの園路を歩いていると、所々、轟音を立てる“滝”がある。そのなかでも大きなものが、鼓ヶ滝取水堰堤跡だ。現在は廃止された北野浄水場へ送水していた取水堰だ。

20171027-tutumigataki-syusui.jpg
鼓ヶ滝堰堤 (かつて、ここから北野浄水場へ12インチと8インチの導水管が引かれていた)

新神戸駅より歩くこと15分。 各所で写真撮影したので相当時間ロスがあったので、標準コースタイム程度で布引の滝 雄滝(おんたき)前に到着。 展望場所は「狭ご路も橋」(さごろもばし)という橋。橋の銘板の横には歌碑がある。

我世をは
  今日か明日かと
    待つ甲斐の
涙の滝と
  いつれ高けむ
      在原 行平

在原行平が、兄の業平らと共に布引見物に来た時に詠まれた歌で、伊勢物語や新古今集に収められている。

行平は、自分が思うように活躍できないのをもどかしいと思っている心を「この滝と、涙の滝のどちらが高いだろう」と詠んだものだそうだ。

20171027-nunobiki-ontaki.jpg
布引の滝 雄滝 (おんたき)

雄滝は落差43mで、4つある布引の滝の中で最大のもの。雄滝のすぐ下流、「狭ご路も橋」のほぼ真下には夫婦滝という小さな滝もある。

雄滝の水しぶきが猛烈に吹き下ろしてきて、この展望場所にはそれほど長くは居られなかった。

布引の滝から、布引ダム(五本松堰堤)まで

雄滝の前よりつづら折りの階段を登ると、滝を見下ろす場所に茶屋がある。営業しているのか居ないのか、ひっそりとしている…。 今日は観光客が少ない平日なので、こんなものなのだろうか。

20171027-ontaki-tyaya.jpg
おんたき茶屋

この茶屋は歴史が古いらしく、明治には既にここに茶屋があったそうだ。(茶屋のホームページより)

滝から吹き下ろす水しぶきを受ける展望場所(狭ご路も橋)よりも、高みにある茶屋のほうが、一休みするにはちょうど良さそうだ。 昔の人はよく考えて茶屋を作ったものだ。

さらに数分間坂道を登ると、神戸の市街地を見下ろす「みはらし展望台」に出る。新神戸駅からの獲得標高は100mほどで、この辺りの標高は160mほど。 六甲山から神戸市街地を見下ろす南方向の展望は、どこも逆光でそれほど綺麗ではない。ここも例外ではなかった。

20171027-nunobiki-tenboudai.jpg
みはらし展望台

みはらし展望台から布引ダムまでは、ほぼ水平に近い道になる。 しばらく歩くと、木造つり橋風の猿のかずら橋の袂を通過。 鋼鉄製の橋だが、表面に木の皮や枝を貼り付けて木造風にしている。 徳島県にある「祖谷のかずら橋」を模して装飾したそうだ。

20171027-sarunokazurabashi.jpg
猿のかずら橋 (この橋を渡ると、滝山城のある城山への道となる)

猿のかずら橋の一つ上流にある、大正初期に造られ重要文化財に指定された谷川橋を渡り、道は布引ダムの方に向かっている。頭上には、布引ハーブ園に向かう神戸布引ロープウェイのゴンドラが次々と通過していく。

20171027-nunobikiropeway.jpg
谷川橋上空を通過する布引ロープウェイ

谷川橋を通過すると、布引ダム(五本松堰堤)放水路に造られた五本松かくれ滝の轟音が聞こえてくる。先週の台風で大雨が降ったので水量が多く、「かくれ滝」というイメージではない。

20171027-gohonmatu-taki.jpg
五本松かくれ滝

滝の横まで来ると、布引ダム(五本松堰堤)の堤体が目の前に姿を表す。1900年に造られた重力式コンクリートダムで、堤高は33m。重要文化財に指定されている。

この辺りの標高は約180m。みはらし展望台からの獲得標高はたったの20m。15分ほど掛かったが、ほぼ水平の楽ちんな遊歩道だった。

20171027-nunobikidam.jpg
布引ダム(五本松堰堤)

堰堤の下流側には、配水池と思われる建物が2つある。

20171027-nunobikidam-haisuiike.jpg
布引ダム(五本松堰堤)と配水池らしき建物

ダムの横には、色付いたモミジが数本ある。平地と違い、この辺りはかなり冷え込むので、色付きも早いのだろう。

20171027-nunobikidam-momiji.jpg
布引ダム(五本松堰堤)と色付いたカエデ

五本松堰堤(布引ダム)から、市ケ原まで

堰堤上部まで階段を登ると、目の前には堰堤でせき止められた布引貯水池が広がっている。

20171027-nunobiki-tyosuiike.jpg
布引貯水池

貯水池をオーバーフローした水は、上流から見て堰堤の左側にある越流部から流れだし、さきほどの五本松かくれ滝へ流れ込んでいる。

轟々と水が音を立てて流れ落ちている越流部の上には、五本松堰堤管理橋が架かっている。摩耶山方面へ続く遊歩道は、この管理橋を渡って上流へ向かう。1900年に完成した管理橋は、軽便鉄道のレールを再利用して造られているそうだ。この橋も重要文化財に指定されている。

20171027-nunobikidam-eturyu.jpg
布引貯水池管理橋と越流部

この写真の越流部の右側が布引貯水池。貯水池から流れ落ちた水は、左側の水路で上流から来た分水堰堤隧道(排砂バイパス)から流れてきた水と合流し、写真左奥方向の五本松かくれ滝へ向かう。

管理橋を渡り切ると赤レンガ造りの電気室があり、その横に布引断層が崖の断面に現れている。 説明板があり、断層はここから布引ダムをちょうど横切る形で東西に延びているようだ。

20171027-nunobiki-dansou.jpg
布引ダム管理橋の付け根付近にある布引断層 (写真中央に縦方向に割れている)

20171027-nunobikidansou-map.jpg
布引断層・諏訪山断層の位置図

布引貯水池左岸(東岸)の道をどんどん歩いて行く。二重になっている池の周囲のフェンスが水没している部分があり、洪水レベルまで増水しているのだろう。

20171027-nunobiki-tyosuiike2.jpg
布引貯水池左岸の道路を進む

市ケ原(桜茶屋)

五本松堰堤から10分ほど歩くと、布引貯水池の最上流部にある分水堰堤の前まで来る。ここで遊歩道が川沿いから折り返して新神戸・布引ハーブ園へ続く道路と合流する。ここが市ケ原だ。

20171027-nunobiki-bunsuientei.jpg
布引分水堰堤付近 (市ケ原の合流点付近から見下ろしたところ)

低木や雑草がからまるフェンスで囲まれた向こうには、重要文化財の分水堰堤や分水堰堤隧道の入口などがある。 看板も出ているが、雑草が覆い尽くしていて見えにくい。

20171027-itigahara.jpg
市ケ原 登山口

市ケ原には茶店が3軒ある。

一番手前の茶店「紅葉の茶屋」では、人懐こい番犬が道の真ん中をウロウロしていて、テラス席には3匹の猫が鎮座している。看板犬に看板猫… のようだ。

登山道を少し進んだところに「あけぼの茶屋」の廃墟があり、その向こうに「桜茶屋」と公衆トイレがある。桜茶屋はこの日は営業しているかどうか分からなかった。

登山者が1名下山してきていて、公衆トイレから出てきたところだった。 ということは、生田川が増水していても、登山道は何とか通れるということだろう。