31 May 2011

Softbank ホームアンテナFT(フェムトセル)とeo光

ソフトバンクのフェムトセル無線基地局(ホームアンテナFT)を、ケイ・オプティコムのeo光のインターネット回線に接続する場合、なになら重複するブロードバンドルータとか設置されますね…

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赤で着色した機器が新たに取り付けられる。 ホームアンテナFT(フェムトセル機器)は貸与品ということだが、(取り付け業者の話によれば)ブロードバンドルータとスイッチングハブは供与ということだった。

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ホームアンテナFTで設置される機器一式

■ 新たに取り付けられたブロードバンドルータは何のため?

工事業者の話やネット上の情報から、「ケイ・オプティコムとソフトバンクの責任分界点をはっきりさせるため、回線終端装置よりユーザ側の装置(通常はブロードバンドルータ)以下を完全に切り分ける」 という目的のためだけに設置されているようだ。

ホームアンテナFT(AP-SR2)に繋がっているイーサネットケーブルを、普通のコンピュータに接続すると、(予想通り)普通にインターネット接続された。ifconfig (Windowsであればipconfig)コマンドでゲートウェイアドレス(192.168.12.1だった)と表示されるアドレスを、ブラウザで開くとブロードバンドルータの設定画面が現れる。

pppoeの設定も、通常のeo光の設定と同じように行われているが、ユーザ名が「xxxxxxx@SBM」となっていて、新たにpppoe接続ユーザ名が付与されている。 (リースされたアドレスをつかんだままにしないように、無通信時間20分で切断される設定になっているが、本当に節電になるかはホームアンテナFTがどれくらいの間隔でpingを出しているのかによるね)

■ ホームアンテナFTをパソコン用のルータに接続したら…

試験的にパソコン用のルータに接続してみると、ちゃんと動作する。SIMロックやメディアファイルの再生制限などガチガチに制限で固めた携帯電話本体に比べ、なんと鷹揚な。無益な制限がバグに繋がるのを認識したのか、これから制限掛けていきたいのかは知らんけど…

■ 新設したルータとスイッチングハブは、技術的には不要、法的に必要

ホームアンテナFTを、既にあるブロードバンドルータの下流のどこに繋いでも、技術的には動作可能。今後、pppoeヘッダでケイ・オプティコムの局側でルーティング制限掛ける可能性が無いとは言えないけど、単に契約上の問題だけのような気もするねぇ。

日本のガラパゴス技術というか、ガラパゴス商売の手法を追求するなら、pppoeヘッダでルーティング制限掛けた上で、転送量を積算して、年間の総転送量に比例して「インフラ使用料金」を「ケイ・オプティコムがソフトバンクに請求する」というのが日本的だと思いますがいかがでしょうか。

もう、日本人は内向きに、ガラパゴスビジネスで自滅するしか無いっしょ。

■ 通信可能範囲

携帯電話から「 *2610 」に電話すると、固定基地局かフェムトセル基地局か、接続先を自動音声で教えてくれる。

部屋からどれくらい遠ざかると、外の固定局が勝ってしまうのか…。 隣の部屋の真ん中辺りまでしか無理ですね。それも、隣の部屋で携帯の電源を入れると、外の固定局を先に掴んでしまう。 フェムトセル、どんだけ弱い電波なのか…

■ 年間電気代の推定

機器消費電力年間換算電気代
ホームアンテナFT7W61kWh1525円
ブロードバンドルータ BBR-4MG3.55W31kWh775円
ハブ ETX-ESH5W2.5W21kWh525円

技術的に必要のないルータとハブは、電気代の無駄ですね。 電力が足りない、節電だと言っているこの時期に、電力会社が大株主のケイ・オプティコムは認識が足りないんじゃないでしょうか。


■ 雑感

フェムトセル基地局は隣の部屋に行くと繋がらなくなるくらい電波が弱いので、無線LANより狭い範囲でしか使えない。つまり、ブロードバンド回線(基地局)所有者以外が使うことは、普通は余り無い。 そのフェムトセル基地局を経由して流れてきたデータは、ブロードバンド回線契約とは相容れないとして、別途ルータ設置せよとかゴネる回線事業者もなんなんだろうかねぇ。 パソコンでファイル交換ソフト使われるより、スマートフォンでチマチマとビデオ再生してるほうがよほど回線占有率は低いのに。

フェムトセル基地局は、電波局として住所も届けられているので、移動させないために壁のコンセントパネルにワイヤーで固定とか、総務省のお役人様が言い出したんでしょうな。時代錯誤というか、合成の誤謬が行われてますね。 電波法も、それを監督する役所も、何年前の技術を前提としてやってんだか。

工事業者も、無駄だけど… と意気消沈しながらもワイヤー固定工事してました。


(発がん性も指摘される)強力な電波を出す屋外基地局よりも、インターネット回線のある全ての住宅に携帯電話の(微弱無線の)フェムトセル基地局をつけたり、無料のWifiスポットを設けたりするのは、技術の進歩に適合してるんだから、どんどん進めてもらいたいものだ。 それとともに、無駄な法律、無駄な規制、無駄な役所と役人の削減もよろしく 。


■ 参考資料

総務省: 「フェムトセル基地局の活用に係る電波法及び電気通信事業法関係法令
の適用関係に関するガイドライン」の一部改定に関する意見募集

総務省: 「フェムトセル基地局の活用に係る電波法及び電気通信事業法関係法令
の適用関係に関するガイドライン」の改定及び意見募集の結果

個人向けインターネット接続サービス「eo光ネット」におけるソフトバンクモバイル「ホームアンテナFT」への対応開始について
@IT: フェムトセル無料配布で浮上した「ただ乗り」問題


ガイドラインによれば、フェムトセル基地局運用者(つまり、ユーザ)が行う必要があるのは
・防護措置 → まともな場所に置け
・電源の安定供給 → みだりにコンセント抜くな
・通信内容の秘匿措置 → パケットキャプチャするな
・蓄積情報の保護措置 → ??(メモリー無いだろ)
・損傷防止措置 → 手荒に物をぶつけたりするな
・機能確認措置 → たまに赤ランプ付いてないか気に掛けてね
・接続品質の確保 → ソフトバンクに言われたくない!
電波法に書いてあっても免除されるのは
・予備機器、耐震対策、停電対策